わたしたち「ねむくま編集部」は、
「まくら」「かけぶとん」と、
「三種の寝器」のうち、2つに注目しました。
3つめの寝器に取り組む前に、
ここですこし、見つめる角度を変えてみましょう。
今回は、「アロマ」の特集です。
実はすでに、おすすめしたいほぼ日オリジナルの
アロマセットをご用意しているのですが、
そのお披露目に先駆け、
「香りと眠りの関係」について
快眠セラピストの三橋さんにお話をうかがいました。
──
眠りとなかよくなるためのアイテムについて、
以前「まくら」と「かけぶとん」のことを
三橋さんにうかがいました。
三橋
そうでしたね。
五感のなかでは、肌に触れる物、
「触覚」に関係するアイテムについて
お話ししました。
──
今回うかがいたいのは、
「アロマ」についてです。
三橋
「嗅覚」ですね。
──
はい、眠りと香りの関係について。
単刀直入にうかがいます。
アロマは、効果があるのでしょうか?
三橋
単刀直入ですね(笑)。
よい眠りのための、ひとつの方法として、
アロマ(芳香)を上手に使うことを
わたしはおすすめしています。
──
「寝るときにはアロマを」
ということはよく耳にするのですが、
アロマと眠りには
どういう関係があるのでしょう?
三橋
まず、アロマがなぜ眠りによいのかお話しします。
たとえば、
ラベンダーの香りをかいだら落ちついたとか、
レモンの香りをかいだらすっきりした、
というように、
花や果物などのよい香りには
一瞬で気持ちを切り替えてくれる力があります。
いい香りをかぐと、たのしくて明るい気分になったり、
落ち着いたり、心地よくなったりしますよね。
──
たしかに。
香りひとつで気持ちが大きく変わります。
‥‥あえてネガティブなことを言えば、
悪臭を感じると一瞬で不快にもなります。
三橋
そう。
匂いって、一瞬で気分を変えるんです。
よい方にも、わるい方にも。
──
はい。
三橋
いい香りであるアロマは、
嗅覚をとおして一瞬で脳に伝わり、
身体と心にはたらきかけます。
これをうまく使うことで、
ストレスからくる無意識の緊張をほぐして、
睡眠の質を高めることができるんです。
──
なるほど‥‥。
ここでも、リラックスがポイントなんですね。
三橋
眠りに関係するアロマには、
大きく分けると2つのジャンルがあります。
ひとつは、「リラックスする香り」。
これは寝る前におすすめです。
もうひとつは、「リフレッシュする香り」。
こちらは、目覚めたときと日中におすすめです。
──
寝るときにはリラックス系の香りで、
起きるときはリフレッシュ系の香り。
わかりやすいです。
わかりやすいのですが‥‥
実際に選ぼうと思うと、種類がすごいですよね。
三橋
それはもう、数多くの種類があります。
ブレンドしたものを数えたら、
無限と言えるかもしれません。
──
う~~ん‥‥。
三橋
大丈夫(笑)、好みで選べばいいんです。
──
好みで?
三橋
当然ですが、人それぞれに香りの好みは違います。
自分が心地よく感じるアロマを選んでください。
「この香りは落ち着くなぁ」とか、
「この香り、たのしくなってくる!」
という選び方がいちばんです。
迷ったときは、それぞれのアロマに
「リラックス系」などといった説明があるので
それを目安にするといいと思います。
──
様々な効果が書かれているけれど、
最終的には自分の好みで選んでいいんですね。
三橋
そうです。
たとえばラベンダーの香りが
睡眠によいことはエビデンスがあります。
でも、人によって好き嫌いがあるので、
ラベンダーの香りが苦手だなぁという人は、
ほかの香りを試してみてください。
さらに、香りはブレンドすると感じ方が変わるので、
ラベンダー単体だと好きじゃなくても、
別の香りとブレンドすると
「この香り、好き!」となったりするんですよ。
不思議でしょ。
──
不思議です。
人によってはリフレッシュ系の香りで、
リラックスするケースもありますか?
三橋
そういうこともあります。
たとえばミント類は、目覚めるときに適した
リフレッシュ系の香りなんですけど、
寝る1時間くらい前に
うすいミントの香りをかぐと、
ほどよいストレス発散になったあとで、
リラックスするというエビデンスもあります。
──
ほんとうに人それぞれなんですね。
三橋
アロマは薬ではないので、
使い方に自由度があります。
自分の好みの香り、使い方をさがして
いろいろと試せることもアロマのたのしみですね。
──
またもや単刀直入な質問なのですが、
そもそも、
いい香りでなぜ人はリラックスするのですか?
三橋
心身のメカニズムのお話ですね。
アロマは脳の中の「大脳辺縁系」という部分に
ダイレクトにはたらきかけるんです。
──
大脳へんえん‥‥
「へんえん」はどんな漢字でしょう?
三橋
「近辺」の「辺」に、「縁(えにし)」です。
──
大脳辺縁系。
それはどういう‥‥?
三橋
本能や感情などをつかさどる部分です。
「快・不快」を判断するところへ
香りはそこへダイレクトに伝わるので、
安らぎや心地良さを感じるんです。
──
脳の中でも、本能的で動物的な部分に。
三橋
そう。
──
ということは、
大脳辺縁系にたっぷりアロマを届ければ、
どんどんリラックスするわけですね。
三橋
いえ、それが実は、香りは弱めがいいんです。
──
え? 弱め?
三橋
アロマオイルの微粒子が
枕元にかすかにただようイメージです。
──
そうなんですか、弱め。意外です。
本能的な反応だから、
強く伝えたほうがはっきり出るのかと‥‥。
なぜ強めの香りだとだめなんですか?
三橋
香りが強すぎると
「この香りはなんだろう?」
という思考がはじまっちゃうんですよ。
──
‥‥ああーー。
イメージできました。
そうですね、たぶんそうなりますね。
三橋
前にご紹介したリラクゼーションメソッドの
4-7-8呼吸法や、
頭に「ん~」を響かせる方法、
カウントダウン法など、
これらにはすべて、
眠りをじゃまする考え事を消す効果があります。
アロマにも同じような効果が期待できるんです。
──
なるほど~。
せっかく考え事を消そうとしているのに、
香りが強すぎると、
その匂いについて考えてしまう。
三橋
はい。
香りは慣れてくると
だんだん感じ方が弱くなってきます。
ついつい強い香りにしたくなるんですけど、
強くしすぎると寝るときには逆効果です。
ちょっと弱いかな‥‥くらいがいい。
ほんのり香っていれば充分に効果があるんですよ。
(つづきます)
眠りのなやみ、
おしえてください。
日ごろ、眠りについて気になっていること、
疑問に思っていること、困っていることはありませんか?
ささいなことでもかまいませんので、ぜひ教えてください。
「ねむくま」編輯部と、顧問の三橋美穂さんが、
いっしょに調べて回答します。
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