2013年4月の終わりのこと。「ほぼ日のにほん茶」チームは、
新茶のシーズンに静岡県を訪れました。
まずは、2012年12月に販売したお茶「奥の」の畑を見せていただくことに。
目指す茶畑は、人里はなれた山のてっぺんにあるとのこと。
細く険しい山道を、奥へ、奥へと進みます。
到着した場所は、なんと山の斜面全体が茶畑!
お茶の木は夜間に伸びるため、夜の気温が低い山地のほうが
ゆっくりと成長し、香りのよい茶葉ができるのだとか。
案内してくださったのは、
「うおがし銘茶」専務取締役の土屋さん(右)と、
副工場長の増田さん(左)。この日は、お天気も最高でした。
新茶摘みがピークをむかえた、いちばん忙しい時期。
ふだん工場で経理や事務の仕事をされている方や
元工場長さんまでが総出で茶摘み作業を行っていました。
摘み取っているのは、この部分。
2枚の若葉の間から1つの芽が出ているので
「一芯二葉」とよぶそうです。
乗組員もチャレンジ。新芽の部分だけに刃が当たるよう、
ゆっくりとなぞりながら風力で茶葉を袋に集めます。
重い機械をバランスよく扱うのが難しく、とても大変な作業でした。
茶葉は、摘まれた瞬間から発酵がはじまり傷んでいくのだそう。
茶葉以外のものが混じっていないかをチェックしたら
大急ぎで工場へと運びます。
天にむかって、力強く伸びる「奥の」の茶葉。
10年かけて土壌をつくり、
強い木に育てるための工夫を続けてきました。
手塩にかけ、たいせつに育ててきた茶葉だけに、
収穫の時期は、ひときわうれしいとのこと。
つぎは、工場へとむかいます。
収穫された茶葉は「荒茶」にするための工場に集められます。
荒茶とは、生の葉を蒸して酸化しないように加工したもの。
蒸し時間が短いものを「浅蒸し」、長いものを「深蒸し」と呼びます。
「うおがし銘茶」は、先代から受け継がれてきた「昔ながらの深蒸し茶」を
荒茶の段階からつくるために、こちらの自社工場を開設しました。
蒸した茶葉の状態をたしかめる土屋さん。
複数の「揉み」工程を経て、乾燥させていきます。
機械で作業が行えるようになっても、最後は人間の感覚が品質を左右します。
機械だけに頼ることなく、常に人の目が行き届いていました。
「荒茶」ができあがりました。
続いて、最終仕上げをするための自社工場へ運びます。
「仕上げ工場」には、全国の契約農家さんから「荒茶」が届きます。
ここで不揃いな茶葉を揃え、焙煎を行うことで完成です。
できたばかりの茶葉を見せてくださった製造部の石田さん。とってもいい香り!
仕上げ工場内では、同時に試飲も行われていました。
味を平等にくらべられるように、
茶葉の重さを均一にするところからはじめます。
まずは仕上げをしていない「荒茶」の状態で
香りと味をたしかめます。
工場長の鈴木さん。まだ荒茶の段階で
火入れをしたらどんな味になるかわかるそう。
長年の鍛錬がものをいう仕事です。
続いて、茶葉の香りをたしかめます。
試飲部屋にはピリッとした緊張感が流れています。
同じ茶葉を、ニ煎目、三煎目といれます。
「三煎目でお茶の力に差がでます」という言葉が印象的でした。
この時期は、毎日何百杯ものお茶を飲み続けます。
ここが「うおがし銘茶」の商品としての品質を決める
最も大切な過程なんです。
全国の農家さんがていねいに育てた、みずみずしい新茶。
ぜひ、その豊かな香りと良質なお茶本来の味をたしかめてみてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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