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今回、「ほぼ日のにほん茶」のために
仕入れてくださったのは
「ぽっかり」と「広びろ」の2種類です。
さっそく「ぽっかり」から
うかがってもいいでしょうか。
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柿崎 |
「ぽっかり」は、宮崎の「ゆたかみどり」という
品種を使ったお茶です。
まろやかなやさしい味わいが特徴の品種なので、
焙煎を弱めにして、口当たりのやわらかさを
引きだすような製法にしています。 |
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すごくやさしい味わいで、飲みやすかったです。
これは、宮崎県のお茶なんですね。
昔からお茶づくりが盛んなんですか?
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柿崎 |
そうですね。
全国生産量第4位のお茶の産地です。
一から農家さんとじっくりつきあって、
うちが目指しているお茶を作っていただけるように
お願いしてきたんです。
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信頼関係を積み重ねて、
作ってこられたんですね。
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柿崎 |
ええ。
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「広びろ」のほうはいかがでしょう。
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柿崎 |
こちらは、静岡県藤枝市の奨励品種である
「藤かおり」という品種を使っています。
めずらしい品種で、
味はすっきり、きりっとしているのに、
すごく華やかな香りがあります。
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試飲させていただいたら、
独特のジャスミン茶のような
華やかな香りがありました。
糸井も「おいしいねえ」と言って、
すごく気に入った様子でした。
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柿崎 |
ああ、そう言っていただけてうれしいです。
「広びろ」は、
香りがいちばん引き立つような火入れをしたんです。
ただ、おいしいもののなかでも、
さらにいい部分を、というふうに厳選しているので、
仕入れの量が少なくて申し訳ないです。
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いつもどういうことに気をつけて
仕入れてくださっているんですか?
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柿崎 |
まず、「ほぼ日」さん用には、
「ブレンドしないお茶」を
特別にご用意させていただいています。
お茶って、ブレンドすると増やせるんです。
ブレンドすることで足りない味を補えるなど
いい面ももちろんありますけど、
そのぶん味が複雑化します。
1つの畑で作った1種類の茶葉だけ、というほうが
お茶本来のシンプルで素直な味わいが出ますから。
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素材だけで勝負する、というぶん、
仕入れにもすごく苦労なさるんでしょうね。
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柿崎 |
とくに「広びろ」のような
比較的新しい品種の場合、
作っている畑自体が小さいので、
なかなか量が作れないんです。
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柿崎さんは長年仕入れを
担当なさっているんですか?
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柿崎 |
いえ、ぼくはもともと
販売担当として入社しまして、
ずっと店舗に立っていたんです。
入社したのが20年前で、
まだ本店しかない時代でした。
初代の会長にも
ずいぶんいろんなことを教わりました。 |
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仕入部というのは、
どんなお仕事をなさっているんでしょうか。
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柿崎 |
店舗にも立っているんですけど、
日々、静岡工場から商品の見本が届くので
それを見て商品にできるかどうか判断しています。
とはいっても、ぼくのもとに届くまでに、
すでに静岡工場で大量に試飲をしたうえで
選り分けられているので、
大変な思いをしているのは
ぼくよりも、静岡工場の者だと思います。
特に仕入れの時期は、
何百個もの荒茶が工場に届くんです。
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以前、新茶の季節に
取材させていただきましたが、
ひたすら試飲を繰り返されていて、
すごい作業だなぁと思いました。
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▲何百個という数の荒茶の味をたしかめる。 |
柿崎 |
深夜から起きて
何百種類もの見本を飲みつづけますからね。
香りをかいで、味見をして、
一瞬で、いい、悪いを決めていきます。
そうして、静岡工場の者が厳選したお茶が
東京にいる、ぼくのもとへ届けられます。
今年は静岡がずっと晴れ続きだったので
農家さんも工場も、すごく大変でした(笑)。
雨の日は収穫も仕入れも休みになるんですが。
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晴れだと、休みがないんですね。
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柿崎 |
そう。毎日晴れだから、
収穫も毎日、試飲も毎日!(笑)
そのぶん、いい状態で詰められましたけどね。
まぁ、毎年いいんですけど、
今年はダントツによかったんです。
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柿崎さんのところでは
どんな作業をなさるんですか?
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柿崎 |
ぼくは、何種類か届いた中から、
「もっと香りを出したい」とか、
「焙煎を強めて香ばしくしてほしい」とか、
もっとおいしくならないか、
もっとやわらかくできないか、というようなことを
調整する役目です。
今回の「ぽっかり」も、
何度も静岡工場とやりとりしました。
商品すべてに理想のイメージがあります。
それに近づくように、日々、届くお茶を
チェックしていく、という感じで。
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▲「こんなふうにお皿に全部開けて、
茶葉全体の形を見ることが大事なんです」と柿崎さん。 |
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お茶の味を記憶しておいたり、
微妙な味の違いを判別するというのは、
すごく難しそうな作業に思えるのですが、
どういうふうに訓練するんでしょうか。
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柿崎 |
やっぱり、ひたすら飲み続けることですね。
社長からも専務からも
「とにかく飲め」と言われています。
「ほぼ日」さんへの仕入れにしても、
去年のイメージを覚えておいて、そこに近づけていく。
それから、うちが大事にしている、
「良質な苦味、渋みがあるか」
というのは、常に意識しています。
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味を守り続けるっていうのは
想像以上に、大変なことなんでしょうね。
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柿崎 |
そうですね。
「お茶以外に手を出すな」
というのが、会長の代からの決まりで、
お茶だけで勝負しているので、
いいかげんなものはもちろん出せません。
「お茶というのは、
おいしいから毎日飲めるんだ」
というのが社長の方針です。
味がちょっと変わっただけでも、
お客さまにはすぐ気づかれますし、
その意味では、仕入れ部の役割は責任重大だと感じます。
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「おいしいから毎日飲める」という考え方って、
たしかにそのとおりだと思います。
お客さんからも、
「前回購入したお茶が
とてもおいしかったので、また欲しいです」
という声が、すごくたくさん届くんです。
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柿崎 |
「おいしい」と思っていただけたら、
それだけで、いちばんうれしいです。
うちは、ふだん使いのお茶を大切にしていて、
煎茶だけでなく、抹茶でさえも
本来は難しいものじゃないということを
伝え続けたいんです。
産地がどこで、このブランドだからおいしい、
という、うんちくを語るよりは、
「まずは飲んでほしい」というのが願いです。
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だから、すべての店舗で
気軽にお茶が飲めるように
工夫されているんですね。
すごく納得です。
どうもありがとうございました! |