「私、この髪型似合ってますか?」

シンクー
ヘアライターというお仕事について、
まず、教えて下さい。
佐藤
髪のプロである美容師と、
一般の女性たちをつなぐ存在だと、
私は思っています。
美容師さん側からの、
「こういうヘアスタイルを流行らせたい」とか、
「新しいカラー剤を試してほしい」といったことを、
噛み砕いて、一般の女性たちに伝える。
シンクー
ええ。
佐藤
逆に、女性たちが今、
髪について困っていることを、
美容師さんにフィードバックする。
シンクー
なるほど。
佐藤
その橋渡しをすることで、
お金をもらっている仕事です(笑)。
本を書いたり、ワークショップや講演会、
それから、雑誌で記事を書いたり、
伝える場所や方法は、いろいろです。
シンクー
その橋渡しについて書かれた著書、
『女の運命は髪で変わる』は、
19刷にもなるロングセラーで。
そのあとに出された、
『女は、髪と、生きていく』と合わせて、
髪二部作と呼ばせていただきたいです。

佐藤
ありがとうございます。
シンクー
一冊めの、『女の運命は髪で変わる』
を書かれたきっかけは、
どういうところだったんですか。
佐藤
日本って、世界的に見ても圧倒的に、
女性が美容院にいく頻度が低いんですよ。
年間に1回、もしくは、年に1度も美容院に
行かないっていう人だけで、
3分の1いるんです。
シンクー
街中にこんなにヘアサロンがあるのに。
佐藤
私もその数字を聞いたときは衝撃で。
どんなに雑誌のビューティページを作っても、
美容室に行かない層や、
そもそも美容に興味のない人には、
アプローチできないって思ったんです。
じゃあ、どうやったら届くだろうって考えたときに、
やっぱり、テレビや新聞の力だろうな、と。
でも、テレビや新聞で取り上げてもらうには、
本が一冊作れるくらいの熱がないと。
それで、本を書きはじめた部分が大きいんです。
シンクー
なるほど。そして、たくさんの方に読まれて。
佐藤
ええ、おかげさまで。
ヘアライターとして、メイクよりも、服よりも、
髪が大事なんだっていうことを、
ずっと伝えてきたつもりだったんです。
それさえ伝われば、みんなが幸せになれると、
本気で信じていたんですよ。
だから一冊めを書いたことで、
私の役割は終わったと思ったくらい。
それなのに、本を持って、
全国の読者にイベントで会ってみると、
「あれっ?」って。
シンクー
なにか発見が。
佐藤
みんながつまずいてるのって、
美容師さんとのコミュニケーションなんですよ。
講演会の最後に「質問ありますか?」って聞くと、
1時間、2時間、質問の列が途切れないんです。
悩んでいることはみんな同じ。
「私、この髪型似合ってますか?」
「私のどこが、ダメですか?」なわけです。
私から見ると、どう考えても上手くいってるのに。
シンクー
理論上は、似合っている。
佐藤
そうです。
たとえば、癖毛がすごく上手に切ってあったり、
丸顔が上手にカバーしてあって。
一流のヘアサロンに通っている人も多いし。
なのに、どこかピンときてないんです。

シンクー
なにか違う問題がありそうだ、と。
佐藤
顔型や髪質には合っていても、
その人の心に合ってないんだなって、
気がついてしまって。
「あ、もう一冊書かなきゃダメだ」
って思って書いたのが、2冊めの
『女は、髪と、生きていく』です。
シンクー
なるほど。
佐藤
美容師さんに対しても、大切な気付きですよね。
「お客さんの声、ちゃんと聞けてる?」って。
悩んでいる人に対して何をしてあげられるのか、
美容師さんに相談をして、
ワークショップのフレームワークを
一緒に作ったんです。
シンクー
そのワークショップ、
私も昨年参加しました。
佐藤
ええ、ありがとうございます。
大事なのは、内面と外面を一致させることなんです。
だから、自分がどうなりたいかが見えていなかったら、
永遠に迷子なわけですよね。

(続きます)

2021-04-01-THU

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