美容の世界へ、うっかり、ようこそ

シンクー
髪を委ねる美容師さんとは、
どうコミュニケーションすればいいでしょう。
佐藤
「こうなりたい」と「なぜなら」を、
セットにすると話しやすいですよね。
たとえば、
「色っぽくなりたい」って言うのは、
勇気が必要ですけど、
「最近いろいろカサカサしてきて、
全体的に女子度が下がってるから、
髪だけでも色っぽくしたいです」
なら、少し言いやすいと思うんです。
シンクー
そして、伝わりやすい。
佐藤
そう。美容師さんというのは、
髪質や顔型なんていうのはもう、
見ただけで分かるんです。
それより、本人じゃなきゃ知らない情報を、
ヘアサロンでは伝えるべきで。
シンクー
そうですね。
佐藤
「実は女らしいものに憧れています」とか、
「こう見えても性格はボーイッシュなんです」とか、
そういうことを伝えられると良いですよね。
これって、自分を大切にすることにも
つながると思うんです。
シンクー
あぁ、なるほど。
佐藤
自分が思っていることを大切にする。
人の意見に振り回されてしまうのも、
どこかで「自分なんて」って思うからなんです、きっと。
シンクー
ええ、ええ。
佐藤
髪に関して言うと、別に、
プラスαの特別なことは
しなくていいと思ってるんです。

シンクー
それは、心強いです。
佐藤
今やってることを、
置き換えてみるのが良いですよ。
たとえば、毎日アイロンで巻いてない人に、
アイロンを買ってくださいと言うのは、
そりゃあしんどいですよね。
シンクー
そうですね。
佐藤
そうじゃなくて、
シャンプーの仕方をちょっとだけ意識する。
泡で髪を洗うんじゃなくて、
頭皮をやさしく洗う意識を持つ。
美容院に行く回数も変えなくていいから、
行った時に、ちょっとだけ、
美容師さんとコミュニケーションをしてみる。
「伸びたぶん切ってくれればOKです」じゃなくて、
どんなふうになりたいんだっけ?
って、少し考えてみてほしいんです。
シンクー
それなら、できる気がします。
佐藤
これまでやってきたことを、ちょっとずつ、
自分にとって心地良いものに置き換えていく。
シンクー
なるほど。
佐藤
美容院って2時間ぐらいしか滞在しないと思うんですね。
たとえば、通う頻度は3か月に一度という人なら、
2時間少し頑張ってコミュニケーションしただけで、
残りの89日が快適になりますよ。
だったら、やっぱりそこは、頑張りましょう。
シンクー
そうですね。
佐藤
医者になら、真剣に話すじゃないですか。
間違った情報を与えてしまったら、
しなくていい手術をされるかもしれない。
髪もそうですよ。
特に年齢が上がってくると、
もう美容院はほぼ病院だって、
私、思ってるんです(笑)。
シンクー
その、上がってくる年代の
目安というのは‥‥。
佐藤
35歳で、髪は一度、曲がり角にきます。
でもね、年齢が上がれば上がるほど、
顔より髪の配点が高くなるので、
逆にいうと、チャンスですよ。
髪で下克上できると思ったら、ねえ?
シンクー
髪が元気な人って、溌剌として見えます。
佐藤
まさに、そう。
髪は体の一部ですから、
髪を褒められるということは、
「あなた自身がきれいです」
っていうことと同じ。
一瞬で気分が上がるんです。

シンクー
確かに。
佐藤
私、ずっと美容業界で仕事をしてきて、
考えてきたことがあるんです。
それは、今、美容に興味をもっていない層にこそ、
美容を届けたいって。
シンクー
なるほど。
美容に詳しい人のほうだけを
向くのではなくて。
佐藤
ほぼ日のコンテンツって、
うっかり読んでしまうものじゃないですか。
それまで知らなかった世界に、
「なんだろう?面白そうかも」って、
たまたま入り込んでしまうような。
シンクー
このインタビューもそうなって欲しいです。
佐藤
今は美容から遠いところにいる人にも、
うっかり読んでもらいたいんです。
自分を少し認めてあげるだけで、
すごく楽になりますから。
シンクー
本当に、そうですね。
今日はありがとうございました。

(終わります)

2021-04-05-MON

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