昨日につづき、大人気のファブリックカバー、 |
ーー | 細かなバラの花が生地いっぱいに 緻密に描き込まれています。 その点で、 |
皆川 | こちらは、ひとつの興味から はじまったことなんですが。 |
ーー | はい。 |
皆川 | リバティ社が、どのくらいの細密なプリントの 再現が可能なんだろうか、と。 リバティのプリントのクオリティが とても高いことは、生地を見るとわかります。 で、実際それは、どのくらいまでの 細密な表現が可能なのか、 そのプリントの技術力とこだわりを、 自分の目で見てみたいという気持ちがあったんです。 |
ーー | それで、あえて緻密に描き込んだデザインを。 |
皆川 | はい。これは輪郭線など、 とても細かいタッチで描いています。 ややもすれば、つぶれてしまいそうな細い線です。 それが、かなり細密に再現されているので、 やはりとてもこだわりのある ブランドなんだなということがよくわかりました。 |
ーー | あの、たとえば、どういうところに 注目すればいいんでしょう。 |
皆川 | あぁ、そうですね。たとえば、 とくにこの黒い線は、とても細く描いていて、 点描のようなタッチで描いているところもあるので プリントの版を起こすのもむずかしい柄なんです。 それが、にじんだり線がかすれてしまうこともなく、 とても細密に再現されています。 プリントの段階でも、かなり細かいメッシュを使って デリケートにプリントされているんだと思いますね。 |
ーー | なるほど。 ちなみに原画というのは、どのくらいの大きさで 描かれているものなんですか? |
皆川 | 実寸で描いています。 オリジナルはイギリスに送ってあって いま手元にはないんですが、 これが原画のコピーです。 これをリピートして、 大きな生地にプリントしているんです。 |
ーー | うゎー、すごい繊細ですね。 |
皆川 | 版画のエッチングのようなタッチで、 エッジをきかせて描いたものですね。 |
ーー | なるほど、ほんとに緻密に。 ペンで描いて、色は‥‥ |
皆川 | 絵の具で、少し色をおくだけ。 塗るというよりはおいていく感じです。 |
ーー | 思ったよりも面積が大きくて、驚きました。 |
皆川 | あぁ、リピートの。そうですね、 だから、この範囲にある花は、 全部ちがうんです。 |
ーー | ひとつひとつ表情がちがっていて、 だから、規則的に並んでいるのに やわらかい印象なんですね。 |
皆川 | あと、葉っぱもランダムにすることで、 自然なバラつきが出るようにして、 チェックのイメージももたせています。 |
ーー | バラがチェックを形づくっているんですね。 それにしても、手帳の全面を ほぼカバーしそうな面積を すべて手描きされているとは‥‥ ためいきがでます。 途中で、あ、しまった、なんてことを 想像しただけでくらくらしますが。 |
皆川 | (笑)たしかに失敗ができないので、 すごく慎重に描きました。 でも、やり直しがきかない絵に 向かっているときの緊張感とか 描いているときの高揚感とか、 それを含めて、絵に残せたらと思っています。 |
ーー | こちらの<sleeping rose>は、 いま皆川さんが身につけていらっしゃるシャツが、 同じシリーズですね。 |
皆川 | はい、これは生地にオーバープリントしたものです。 この生地は世界中で販売するということもあるので うち(ミナ ペルホネン)らしくという意味で、 消してしまって、ところどころ見えるというのが、 うちらしい表現かなと思ったんです。 |
ーー | 「ローズ・ガーデン」といったイメージだったのが 森の茂みの野バラといった印象にすっかり変わって、 とてもおもしろいです。 では最後に。 手帳カバーになったものを ご覧になって、いかがですか。 |
皆川 | ぼくは手帳というものを使っていないんですけど、 使ってみたくなりますね。 リバティらしい感じもありますし、 この色なら、男女ともに使いやすいと思うので うれしいなと思いますね。 ちょっとシミをつけても平気かも(笑)。 |