ほぼ日 | ほぼ日手帳での 大図さんとのお仕事、久しぶりですよね。 |
大図 | そうですね、手帳は久しぶりかも。 |
ほぼ日 | カレンダーとかハラマキとか ギフトパッケージとかありましたよね。 で、ザッとしらべたら手帳の仕事は 2009年の「ほぼ日のシールブック」以来でした。 |
▲ほぼ日のシールブック。 大図さんが手がけたクロスステッチをシールにしました。 |
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大図 | あ、そうですか。 もうそんな前に。 |
ほぼ日 | えぇ。 手帳クラブでもお話を訊いたりしてるから そんな前っていう感じがしなかったんですが。 |
大図 | うん、たしかに。 |
ほぼ日 | で、そんな大図さんに 今回、ミッキー&ミニーのクロスステッチステッカー 「ほぼ日のクロスステッチ」をお願いしましたが、 いかがでした? |
大図 | いかがも何も、 こんなに世界的に有名なキャラクターを 僕のテイストで作品にできるのは 本当に光栄です。 |
ほぼ日 | しかも、ディズニー公認ですからね。 大図さんのクロスステッチ、 ディズニー社内でも好評でしたよ。 |
大図 | ほんと、ありがたいですね。 |
ほぼ日 | 今回のような 「もともと存在するキャラクターを作る」 というオファーってこれまでありました? |
大図 | 多分‥‥なかったと思います。 |
ほぼ日 | ということは、 このミッキー&ミニーが初めて? |
大図 | 僕の記憶が確かなら(笑)。 |
ほぼ日 | 確かであることを祈ります。 じゃあ、その初めて既存のキャラクターを クロスステッチにする、ということで、 こういうところに気をつかった っていう箇所はありますか? |
大図 | (しれっとした表情で) いやぁ、とくに。 |
ほぼ日 | え、ホントですか?(笑) |
大図 | ホントですよ。 |
ほぼ日 | あのミッキーとミニーを まったく気をつかわず ここまでの作品にするなんて! |
大図 | ただ、どういう図案にするかは すごく考えましたね。 |
ほぼ日 | それは気をつかったわけではない、と。 |
大図 | えぇ。 おもしろいものにするための努力です。 |
ほぼ日 | じゃあ、どういうふうな流れで 図案を考えていったんですか? |
大図 | 最初にディズニーさん側から サンプルとして、 細かい目でリアルに作られたスティッチ(※)の クロスステッチを見せてもらったんです。 だからすごく細かい目のクロスステッチにして それこそ、イラストのような図柄を 再現することも考えたんですよ。 ※スティッチ ディズニーの『リロ&スティッチ』に 登場する異星から来たエイリアン。 |
ほぼ日 | はい。 |
大図 | でもそれだと、 なんかおもしろくないんですよ。 |
ほぼ日 | クロスステッチで細かくその絵柄を 再現しているだけですもんね。 |
大図 | だからその逆、 イラストのようではない、 単純化したミッキーとミニーを クロスステッチで再現しようと。 |
ほぼ日 | それは大図さんの真骨頂ですもんね。 |
大図 | (笑)。 |
ほぼ日 | じゃあ、現在のものが いちばん単純化されたものなんですか? |
大図 | いや、いろいろと試作を重ねた中には もっと単純なシルエットもありました。 円を3つで表すような ミッキーのアイコン的デザインって あるじゃないですか。 |
ほぼ日 | はいはい。 |
大図 | あれも検討しました。 |
ほぼ日 | へぇー。 |
大図 | でも、丸い耳がふたつついていて、 大きな鼻がついていれば ミッキーに見えるだろうな、と思って 現在の図案に落ち着きましたね。 |
ほぼ日 | クロスステッチとして おもしろいし、かわいいと思います。 |
大図 | どういうふうにおもしろくするか、 かわいくするか。 それがクロスステッチの図案を考えるときの 大事なところだと思います。 |
ほぼ日 | おもしろくとかわいくかぁ。 |
ほぼ日 | クロスステッチって刺繍だから、 ふつうは布に縫い付けることで 成立しますよね? |
大図 | えぇ。 |
ほぼ日 | でも、この「ほぼ日のクロスステッチ」では その布がなく、しかもステッカーになっている。 「どうなってるの?」って感じですよ。 |
大図 | ですよね? |
ほぼ日 | この商品は大図さんにご紹介していただいた 株式会社ラカムで作っているのですが、 実際、ラカムさんは どういうふうに作ってるんですか? |
大図 | それがね、僕も知らないんですよ。 |
ほぼ日 | えー?! |
大図 | 作りかたとかは あんまり知らなくても いいかな、と思って。 |
ほぼ日 | まぁ、たしかに。 ひょっとしたら スゴイ企業秘密かもしれないし。 |
大図 | ただ‥‥。 |
ほぼ日 | ただ? |
大図 | 仕上がりに関しては すごく口を出します。 |
ほぼ日 | 過程はまったく知らないが、 仕上がりには厳しい(笑)。 |
大図 | やっぱりクロスステッチなので 刺繍がキレイに「バッテン」に なってないとダメなんです。 |
ほぼ日 | なるほど。 |
大図 | 何度も何度も調整して、 やっとこの「バッテン」になってます。 |
ほぼ日 | たしかにこの「バッテン」は クロスステッチの命だし、 さっきの「これどうなってるの?」に 繋がっていると思います。 |
大図 | はい。 今回このクロスステッチの製作を お願いしているラカムさんは、 すごく協力的で、 とてもありがたい存在なんです。 |
ほぼ日 | ラカムさんと大図さんは どういう繋がりなんですか? |
大図 | それまでは一般販売するようなアイテムも コツコツ自分の手で縫っていたんですが、 もっと手軽にクロスステッチを 楽しんでもらいたいと思って 工場に発注することを決めたんですね。 |
ほぼ日 | うんうん。 自分だけでやるには限界があると。 |
大図 | それで刺繍工場に片っ端からメールで コンタクトを取りました。 そのときに知り合ったのがラカムさんなんです。 |
ほぼ日 | ラカムさん1社だけ? |
大図 | いや、何社かとコンタクトは取りました。 でも、実際に試作してみると どこもあんまりいい出来じゃないんですよ。 |
ほぼ日 | あ、それでラカムさんが‥‥。 |
大図 | いや、ラカムさんも あんまりよくなかったんです。 |
ほぼ日 | えぇっ?! |
大図 | ただ、ラカムさんがほかと違ったのは さっきも言ったすごい協力的だったんです。 何度も改良を重ねて、 満足のいくものに仕上げてくれましたね。 |
ほぼ日 | 今日お持ちいただいた この名画シリーズのバッジ、 すごくいいですよね。 |
大図 | ありがとうございます。 |
ほぼ日 | フェルメール、ひまわり、モナリザ。 一発でわかりますよ。 大図さんは簡略化させるのが うまいんだよなぁ。 |
大図 | いやいや、それはこの名画たちが 有名だからだと思うんですよ。 |
ほぼ日 | と言いますと? |
大図 | これがモナリザに見えるのも モナリザが有名で、みんなの頭の中に すでに存在するからだと思います。 |
ほぼ日 | 考えてわかるんじゃなくて 感覚でわかってるんですね。 |
大図 | そうです。 じつは、とある会社の依頼を受けて この名画シリーズ風のノベルティを 作ってるんですが、 これを越えられるものが作れないんですよ。 |
ほぼ日 | なるほど。 考えてモチーフが何なのかがわかるものって おもしろくないし、 かわいくないのかもしれませんね。 そう考えると 今回のミッキー&ミニーも同じですね。 |
大図 | これがミッキー&ミニーに見えるのも ミッキー&ミニーが有名で、 みんなの頭の中に すでに存在するからだと思うんですよ。 |
(インタビューまつりはこれにて終了です。 「ほぼ日手帳 2011 spring」は 明日から販売開始ですよー。) |