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リバティファブリックを使った
Charlie's PaisleyとEmily、
どちらもとっても好評です。
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冨永、
矢部 |
ありがとうございます。
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今回、これらの生地の詳細もちろん、
リバティ社についてもご紹介できれば、と思っております。
よろしくお願いいたします。
では、早速、今回のCharlie's Paisleyと
Emilyの生地についてお話いただけますでしょうか。
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冨永 |
はい。
Charlie's Paisleyはイギリスの児童文学の重鎮として
数々の賞を受賞したイラストレーター、
クエンティン・ブレイクさんとの
コラボレーションで生まれた生地です。
ご自身の作品を多く残されている一方で、
ティム・バートンの映画
『チャーリーとチョコレート工場』で知られる
ロアルド・ダールの作品の挿絵も描かれています。
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矢部 |
彼の『Quentin Blake's ABC』という著書から
インスピレーションを受け、
リバティのデザイナーたちが、
今回のこのデザインを作ったというわけです。
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この生地はそういう
バックグラウンドがある生地なんですね。
ということは、
名前につけられている「チャーリー」は、
『チャーリーとチョコレート工場』の
チャーリーということですか?
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矢部 |
詳しいことはわからないんですが、
それは十分に考えられますね。
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冨永 |
通常はリバティのデザイナーが
生地のイメージに合った名前をつけるんですが、
このCharlie's Paisleyは
コラボレーションから生まれた生地ですので、
ひょっとするとクエンティン・ブレイクさんが
その名前をつけたのかもしれません。
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なるほど。
ポップさと奇怪さが混在している感じは
まさにそうかもしれませんね。
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矢部 |
Emilyのほうは、
もともと1940年代にデザインされたものなんですが、
残念ながらデザイナーが不明なんです。
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あまりにも古すぎて不明ってことですか?
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矢部 |
そうなんですよ。
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冨永 |
リバティ社には膨大なデザインのアーカイブがあって
そういう作者不詳なデザインだったり、
作者のイニシャルしかわからない、
なんていうデザインがたくさんあるんです。
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矢部 |
このEmilyは、
ずっとアーカイブに入ったままだったんですが、
2006年にようやく陽の目を見ることになりました。
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ということは‥‥
70年弱もアーカイブに?!
それはスゴい。
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冨永 |
もちろん当時のそのままではなく、
若干のリライトやリデザインはされています。
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そういうアーカイブにあるものが
陽の目を見るのはどういうタイミングなんですか?
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矢部 |
コレクションテーマが決まってからですね。
というのも、1回のコレクションにつき
約40パターンのデザインを発表しますので
秋冬、春夏で年2回、計80パターンもあるんです。
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冨永 |
これを全部新規デザインするのは大変です。
なので、新規のデザインを起こしつつも
アーカイブから見つけ出すということもします。
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当時もデザイナーがいて、デザインを描き起こす、
というスタイルだったのでしょうか?
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冨永 |
もちろんそういう方もいましたけど、
おもに、いろんな方がデザインしたものを
購入していたんだと思います。
現にウイリアム・モリス※が手がけたデザインなんかも
うちのアーカイブには貯蔵されているんです。
※19世紀の詩人でもありデザイナーでもある人物。
「モダンデザインの父」と呼ばれる。
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でも、2006年のコレクションで登場したEmilyが、
どうして2011年でも使用できるのでしょうか?
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矢部 |
それはですね、
2シーズン約80パターンのコレクションとは別に、
「This is Liberty」といえるような
クラシックコレクションというシリーズも
用意しているんです。
その中にEmilyは収録されています。
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冨永 |
シーズンコレクションでは、
デザイナーとのコラボレーションだったり、
ストーリー性があるものだったりと
いろいろなチャレンジをおこない、
いかにもリバティファブリックらしい定番のデザインは
クラシックコレクションでカバーする。
現在のリバティのコレクションは
この2本の軸によって成り立っています。
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矢部 |
しかもクラシックコレクションに関しては、
日本はリプロダクト(復刻)する技術を持っていますので
市場に合ったものを提供するべく、
日本とロンドンで少しだけ種類が異なるんです。
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「日本限定」というわけですね。
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冨永 |
えぇ。
クラシックコレクションのチョイスは
ロンドンでおこなっていますが、
どうしてもロンドン目線でのチョイスになります。
そこで、日本は日本の市場に合ったものをということで、
独自のチョイスになってます。
とはいっても、若干の違いだけですが(笑)。
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矢部 |
その若干の違いのひとつがEmilyなんです。
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あ、そうなんですか!
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矢部 |
じつはこれ、
日本のみのクラシックコレクションなんです。
2006年にシーズンコレクションとして登場以来
人気だったので、
日本ではクラシックコレクションとして残しました。
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なるほど。
私たちがこの生地にピンときたのも納得ですね。
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矢部 |
えぇ(笑)。 |
▲リバティのコレクションブック。左が日本版、右がイギリス版。
日本版にはEmilyの生地が収録されています。 |
(つづきます) |