ほぼ日 (以下 ───) |
このたびは、一緒に作らせていただいて、 本当にありがとうございました。 |
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野村 | いえいえ、こちらこそ。 じっくり組ませていただいたことで とてもいいものができて、うれしく思っています。 |
─── | お店では、どちらが人気ですか? |
野村 | いちばんはブルー、そして次にカモフラージュ、 それからレッドですね。 今年はネイビーをはじめとする青系の商品が すごく人気があるんです。 あと迷彩も。 だから実は、もともと予想していた通りの順番でした。 でも、レッドもけっこう出てるんですよ。 こういった明るい赤は 「PURPLE LABEL」ではめったに無い色なので、 それがいいのかもしれません。 全体的には、多くのお客様に ちゃんとよろこんでもらえてるみたいなので、 ぼくらもほっとしています。 |
─── | お店での動きをごらんになって、 買われている方の傾向などは、ありますか? たとえば男女だとどちらが多い、とか。 |
野村 | それで言うと、 この「FIELD PACK」は思いのほか 性別を問わず手にとってもらえているな、 という印象がありますね。 「THE NORTH FACE」にしても「nanamica」にしても 圧倒的に男性のお客さんが多いのですが、 この商品は、女性の方にも しっかり支持されているイメージがあります。 あと、目立ったケースとしては、 外国の方が買っていかれることが けっこうありますね。 |
─── | 外国の方、ですか。 |
野村 | ええ、「THE NORTH FACE PURPLE LABEL」って 日本オリジナルのレーベルで、 現在、日本国内でしか販売していないので、 日本に来られたときに わざわざお店に立ち寄ってくださる 外国のお客様が、わりといるんです。 そして、そうしたときに買うものとして 「FIELD PACK」を選んでくださったりしていますね。 おそらく、このサイズのものって、 ちょっとしたギフトとしても ちょうどいいんだと思うんです。 |
─── | たしかに、手帳カバーとしてだけでなく、 マルチケースとしても使えますし。 |
野村 | そうですね。 この中にデジタルのタブレットなどを入れても いいですから。 あと、外国からのお客様に限らず、 単体で購入されている方は、けっこういらっしゃいますね。 たっぷり容量があって、 手帳を入れた上で、さらに同じくらい がっつりモノが入ってしまうという 収納性の高さもいいんだと思うんです。 「FIELD PACK」という名前自体も ワクワクする雰囲気がありますし。 ‥‥そうそう、実はぼく自身も、 この「カモフラージュ」を自分用に買ったんですよ。 |
─── | あ、そうなんですか! うれしいです。 |
野村 | あと、うちのスタッフにも ひとり「ブルー」を買った者がいるんです。 つい先日は、ふたりで出かけた先で 「FIELD PACK」を一緒に机に並べて出したところ、 相手の方から 「‥‥あ、いま人気の商品なんですか?」 「はい、新商品なんです」 なんてやりとりがあったりしました(笑)。 |
─── | (笑)。 うちの会社(「ほぼ日」)でも何人も、 2014年用のカバーとして このシリーズを選んだ者がいますね。 |
野村 | この「FIELD PACK」、 「昔のバックパックをイメージして」という コンセプトも魅力的ですしね。 生地も、いいものですし。 カモフラのほうの「コーデュラナイロン(R)」は 頑丈さでよく知られている生地ですけど、 このレッドとブルーの「PARA社」の素材も、 すぐれた機能を持った生地で、いいんですよ。 |
─── | もともとはテント用、なんですよね? |
野村 | そうなんです。 軽くて丈夫なテント用ですね。 あと、ヨーロッパなどでは、 パン屋の軒先などにかかっている「ひさし」用に 使われていたりもするそうです。 テフロン撥水加工がしてあることで、 雨をしっかりはじいて汚れにくく、日焼けもしにくい。 長くつかうものとして、いい生地だと思います。 |
─── | あと、この「FIELD PACK」の特徴のひとつである この菱形の「ブタバナ」についても、 あらためて、どのようなものなのか、 教えていただけますか? こちら、昔ながらのバックパックに よく使われている部品なんですよね。 |
野村 | そうですね。 もともとは登山用のピッケルを 結わえるために、装着されていた部品です。 この穴にベルトテープを通して使います。 また、バックパックの下部に この「ブタバナ」が2つついている場合も多いのですが、 それも、ベルトテープを通すことで、 バックパックにマットを結わえたり、 濡れた傘などを装着したりできるんです。 今だと、この「ブタバナ」に キーホルダーや缶バッジをつけたりする方も多いです。 みなさん、思い思いに使われていますよね。 |
─── | 「FIELD PACK」ではメッシュポケットの内側に 「キーフック」がついていますが、 こちらもバックパックで、よくある仕様なのでしょうか。 |
野村 | わりとバックパックに限らず、 アウトドア用のバッグ全般で登場する仕様ですね。 「FIELD PACK」の場合はこの長さですけど、 バックパックについている場合だと 背負ったままカギを使えるように、 バンドがかなり長かったり、 伸縮性のあるゴムでできていたりします。 こちらの「FIELD PACK」でも、 この「キーフック」部分にカギをつけておけば、 ジッパーを開けるだけで、取り出すことなく そのまま玄関のドアをあけたりできます。 たとえば、こんなふうに使えますよ。 |
─── | あ、いいですね。 |
野村 | ええ。ここにつけておけば、 カギが見つからなくなることもないですし。 |
─── | 「THE NORTH FACE PUPPLE LABEL」というのは どういったコンセプトで 製品作りをされているブランドなのでしょうか。 |
野村 | ちょっと長くなりますけど、 「PURPLE LABEL」のもともとの本体である 1968年生まれの「THE NORTH FACE」というのは、 本格的なクライミングをする人たち向けに、 とにかく「高い機能性」を追求し続けて これまでやってきているブランドなんですね。 たとえばジャケットでも 「氷にピッケルを打ち付けるときに、 いちばん身体に負担が少ない角度の 腕の縫い合わせ方法」 といったことが徹底的に調べられていて、 そうしたデータをもとに 服のかたちを決めていたりするんです。 |
─── | そうなんですか。 |
野村 | ええ。結局、登山というのは命がけの行為なので、 「機能」が何よりも大切な軸なんです。 変な素材を使ったり、 身体に負担をかけすぎるシルエットだったりすると、 そもそも危険ですから。 また最近だと、 ハイテクでハイブリッドな素材を使って 「いかに強度を保ちつつ軽量なアイテムができるか」が 常にテーマのひとつだったりしますね。 何グラム軽くできるか、というのは、 山を登る人たちにとって非常に重要ですから。 |
─── | ええ。 |
野村 | ただ、「THE NORTH FACE」が追求しているのは、 まずは徹底的に「機能」であって、 その上で作られている服は 本当にハードなクライミングにまで対応できるものですから、 それをそのまま街で着ようとすると、 すこし不自然だったり、ということもあるわけです。 でも、アウトドアのアイテムというのは魅力的だし、 非常に機能的なものですから、 これを都市で着たい、と思ってくださる方もいるわけで。 それで「THE NORTH FACE PURPLE LABEL」は その「THE NORTH FACE」本体が追求し続けている 高度な技術を使いつつ、 ある程度のアウトドアシーンでも、都市での服としても、 どちらでも活躍できるアイテムを作ろう、というのが コンセプトとなっているレーベルなんです。 |
─── | アウトドアでも街でも使える、 ちょうどいいもの。 |
野村 | そうですね。 「THE NORTH FACE」の機能などの軸やクオリティを保ちながら 「都市生活者」に向けて作っているブランド、 とでもいえばいいでしょうか。 あと、昔の「THE NORTH FACE」のアイテムの オマージュのように作っている商品もあって、 それは 「昔のTHE NORTH FACEが作っていた いいもの、魅力的なものを、 今の人たちが使うものとしてふさわしいように アップデートする」 という方向性ですね。 |
─── | 今回の「FIELD PACK」も、そうですね。 |
野村 | ええ。クラシックなバックパックが持つ魅力を 手帳カバーでもたのしめる、という商品ですから。 ちなみに、 「PURPLE LABEL」商品の代表的なものとしては、 バッグやダウンジャケットなどが多いです。 |
─── | 「THE NORTH FACE PURPLE LABEL」の 最近の傾向って、ありますか? |
野村 | そうですね‥‥今年の秋冬もので言えば、 わりとベーシックなアイテムが多い気がします。 もともと年齢性別を問わず、 飽きのこない製品づくりを目指しているのですが、 最近は特に、変わったものというよりも、 スタンダードなアイテムが多くなっていると思います。 最初からパッと目を引くわけではないかもしれないけれど、 しっかり見てもらえれば、良さが伝わるものというか。 ぼくらとしては、かっこつけすぎずに、 シンプルなタイプのものでやってくのがいいかなあと 思ってますね。 |
─── | そして、シンプルに見える スタンダードアイテムでありながらも だけど、素材は非常に高機能だったり 細部にかなりこだわっていたりするわけですよね。 |
野村 | ええ。そうですね。 細部のディテールまで丁寧につくられていると やっぱり身につけたとき、うれしいじゃないですか。 だから、最先端の素材をつかいながら ファッションとしてもたのしめる、というのが ぼくらの得意としているところなのかもしれないです。 |
─── | ‥‥「FIELD PACK」も本当に、 ハイテクな素材を使いながら、 都市で持っていてもうれしいもの、ですね。 |
野村 | ああ、そうなっているといいのですが。 使ってくださるそれぞれの方が 思い思いにフィールドに連れて行って、 自由にたのしんでくださったらうれしいですね。 |
(野村さん、どうもありがとうございました!) |
2013-12-18-WED