ほぼ日手帳 2016


		<ほぼ日手帳 カバー特集>
		一人ひとりのためにつくる
		小さな傘屋さんのものがたり。
		「イイダ傘店」の店主、飯田純久さんへのインタビュー。

お客さまのために、
傘を1本ずつていねいに仕立てる
オーダーメイドのスタイルの「イイダ傘店」
現在、オーダーしてから手元に届くまで
約6カ月待ち、という人気ぶりです。

ほぼ日手帳2016では、
その「イイダ傘店」の傘生地をつかって、
「ジッパーズタイプ」のカバーをつくりました。
オリジナルの「スクランブル」
カズンの「あじさい」
どちらも、つかった傘生地の絵柄は
飯田純久さんがデザインしたもので、
お客さまに愛されてきた絵柄でもあります。


「イイダ傘店」のアトリエは、
住宅街にひっそり佇む木造一軒家。
そこで、飯田さんはじめ
数名のスタッフのかたが、
ミシンと手縫いで生地を縫い合わせ
1本1本傘に仕立てていきます。

そういったものづくりの姿勢や、
今回のほぼ日手帳とのコラボレーションについて、
お話をうかがうためにアトリエへおじゃましました。

ーー
こんにちは。
今日はよろしくおねがいします。 
飯田さん
こちらこそよろしくおねがいします。
駅から坂が多かったでしょ。
ーー
はい、のぼったりくだったり。
しずかな住宅街にある一軒家がアトリエなんですね。
飯田さん
築35年以上は経っていると思います。
作品を発表する年2回の展示会の期間以外は
数人のスタッフといっしょに
この6畳一間を作業場にして、
傘をつくっているんです。
ーー
和室にみなさん座ってもくもくと作業されている‥‥。
なんだか不思議な光景です。
オーダーメイドの手づくりの傘を販売するスタイルは
あまりほかにはないと思うのですが、
飯田さんはもともと傘づくりに興味があったのですか?
飯田さん
いいえ、まったく(笑)。
傘づくりに興味があったわけでなく、
実家が傘屋さんでもないです。
学生時代は、美術大学でテキスタイルを専攻していて
アートやデザインを学んでいました。
卒業制作では、じぶんがデザインした絵柄を
染めたり織ったりして、その布で作品にします。
洋服や帽子やカバンといったファッションの王道は
なんだかじぶんに合わなくて。
考えた末、辿りついたのが「傘」でした。
ーー
そこから傘づくりを勉強した?
飯田さん
ビニール傘を眺めながら構造を理解したり
傘づくりを教えてくれる職人さんを探したりしました。
でも、手づくりで傘をつくっている店は
もう少ないんです。
お願いしても相手にしてくれないところもあって‥‥。
そんな中でたずねたのが、東京・三鷹の商店街にある
「ハマヲ洋傘店」の傘職人、鎌田智子さんでした。
ーー
そこで、いちから教わったんですか。
飯田さん
最初は「ぼくが染めた布を傘にしてほしい」と
お願いして、1本つくってもらったんです。
それをお手本にぼくは傘を何本もつくって、
勝手に鎌田さんのもとへ持っていきました。
「弟子を取る気はない」という鎌田さんを
ぼくが勝手に師匠とあおいで通いつめ、
傘づくりを覚えていった感じです。
鎌田さんに唯一傘にしてもらったのは、
最初の1本だけ。
ぼくの“傘づくり人生”における、永遠のお手本ですね。
ーー
そこで学んだ技術をもとに
すぐ傘づくりをお仕事にされたのですか?
飯田さん
いや、仕事にしようと思ったのは
それから2年後ぐらいでした。
最初はただの趣味のように
布のデザインを考え、傘をつくっていました。
するとともだちが
「傘をつくってほしい」と言ってきて
はじめてお金をもらって、
誰かのために傘をつくったんです。
その後、ぼくの両親やほかのともだちにもつくって、
さらにそのまわりのともだちや家族も
ほしいと言ってきてくれて。
少しずつご依頼がふえて、1本1本つくる、
いまの「個人オーダー」スタイルになりました。
ーー
当初は完成した傘を
ご自身でお届けされていたとか。
飯田さん
はい。
おわたしするときはいつも、
気に入ってもらえるかなという
ドキドキ感がありました。
お客さんのほうも、期待と不安があったと思います。
でも、傘を広げてバッチリだったときの満足感を
両方であじわえる瞬間がうれしくて。
それが「個人オーダー」をつづけたいという
思いの原点かもしれません。
ーー
飯田さんの布のデザインは
植物や幾何学模様、しま模様のほか
「クロワッサン」柄や「のり弁」柄など
たのしいビジュアルも多いですね。
飯田さん
学生時代、デザインの勉強をしてきたので
傘づくりが仕事になったからといって
売れるような布のデザインにしようとは
考えられなくて。
どれも、ぼく自身がたのしく絵を描くことの
延長線上で生まれたデザインになっています。
それが「生地の柄がおもしろいですよね」
「オリジナリティがありますよね」という
お客さまからいただくことばに
つながっているのかな、と思います。
ーー
今回、ほぼ日手帳でつかった傘生地の絵柄は
どのように考えられたのでしょう?
飯田さん
オリジナルの手帳に使った「スクランブル」は
2008年に発表した作品です。
ぼくはデザインを考えるとき、
雨の街で人びとが傘をさして歩く景色を
眺めることが多いんです。
そして、たくさんのビニール傘が
ひらいている場面を見ながら妄想して
一つひとつの傘に絵や色を入れていくんです。
だから、「スクランブル」は、その名のとおり
雨の日の渋谷のスクランブル交差点の眺め。
たくさんの重なりあった傘に色を入れたような
そんなデザインになりました。
ーー
「傘の花」がたくさん咲いている
様子なんですね。
カズンの「あじさい」のほうは?
飯田さん
2007年に発表したデザインで
「イイダ傘店」のお客さまにとっては
親しみのある絵柄です。
ぼくは植物のデッサンをすることが多いのですが、
「雨」や「雨傘」に一番しっくりくるのは
どの花よりも、やっぱりあじさいだろうと思って、
梅雨の時期にスケッチしたものを
そのまま傘にしました。
ーー
その2つの絵柄の傘生地が、ほぼ日手帳に。
飯田さん
せっかく傘生地を手帳カバーにつかっていただくので
「傘」というイメージがいちばんわかりやすく、
毎日もっていても飽きないような絵柄を
ほぼ日のみなさんといっしょに選びました。
ーー
完成した手帳カバーを見て、いかがですか?
飯田さん
傘生地が手帳という作品になって世に出るのは
じぶんたちだけでは生み出せなかったことなので、
とってもおもしろいです。
少人数でほそぼそとやってきたのに
いきなり全国のかたに届くというすごみも、
少しずつ実感しています。
ーー
いままでのほぼ日手帳のカバーになかった
つるつるした生地の感触もたのしいですよね。
飯田さん
そこは、雨傘の生地ですから(笑)。
多くのかたに気軽につかってもらえたらうれしいです。
ーー
今日は、ありがとうございました。
飯田さん
こちらこそありがとうございました。

飯田純久(いいだ・よしひさ)さん
1981年横浜生まれ。
多摩美術大学でテキスタイルを専攻。
卒業後、個人オーダーの傘屋「イイダ傘店」をひらく。
布の絵柄をデザインし、
日傘・雨傘のオーダー会を全国各地で毎年巡回する。
著書に『イイダ傘店のデザイン』(パイ インターナショナル)


			<「スクランブル」と「あじさい」のココにも注目!>
  • チャーム

    01
    ジッパーズのチャームは、
    かわいらしい傘のかたちです。

  • しおり

    02
    しおりの先は、
    雨のしずくをイメージしました。

  • タグ

    03
    「イイダ傘店」の
    オリジナルのタグがついています。

ほぼ日手帳2016 イイダ傘店  
			さわやかなイエローとブルーの傘が重なり合い
			たくさんの「傘の花」が咲いたようなデザイン
			[オリジナル ジッパーズ]
			スクランブル
			カバー&本体セット 7,020円
			カバーのみ 4,860円 
			ブルーの生地いっぱいに描かれたあじさいの絵は
			雨傘らしい「イイダ傘店」の人気の絵柄
			[カズン ジッパーズ]
			あじさい
			カバー&本体セット 10,800円
			カバーのみ 7,020円

2015-11-04-WED

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