「こぎん刺し」という名前、
みなさんは耳にしたことがありますか。
青森県、津軽地方で生まれた刺し子のひとつで、
江戸時代から約400年にわたって
受け継がれてきた、伝統の手仕事です。
こぎん刺しには、さまざまな模様があり
それらは津軽弁で「もどこ」と呼ばれています。
地元の身近な動植物や風物をモチーフに、
津軽弁で名前がつけられているんです。
魚のうろこ、ちょうちょ、お花などをイメージした
複数の種類の「もどこ」を組み合わせて
幾何学模様が作られています。
ほぼ日手帳のカバーはすべて、
弘前こぎん研究所の刺し手さんの手で
「もどこ」が刺されていて、
手帳カバー1枚分を刺すのにも
2日から3日はかかります。
糸を刺すときに、あえて少し緩みを入れることで
ふっくらした仕上がりになりました。
精巧な織機でも再現できないさわり心地です。
手仕事から生まれたこぎん刺しの温かみを
ぜひ感じてみてくださいね。
弘前こぎん研究所
青森県弘前市在府町61
TEL 0172-32-0595
9:00~16:30(土日祝休)
「こぎん刺し」の手帳カバーとカードケースを
プロデュースするのは、布芸展のおふたり。
みつばちトートの束松陽子さんと、
お菓子研究家の福田里香さんによって、
2004年に発足したプロジェクトです。
布芸展は「民藝」をテーマに、
布物の魅力を新しい視点からとらえ、
「布芸」の魅力を展示会の形式で
紹介する活動をしています。
もともと、津軽で生まれたこぎん刺しは、
「藍染めの麻布に、白い木綿糸」で刺されますが
布芸展のこぎん刺しでは、
「生成りの麻布に、数色の木綿糸」を用います。
現代では防虫のための藍染めが必要でないことや、
色とりどりの服と合わせることを考えて、
あえて布を染めずに、生成りの美しさを
そのまま活かすことにしているそうです。
こぎん刺しの基本は忠実に守り、
たて糸に沿って奇数の目をすくって
直線的に刺していく規則性は、そのまま活きています。
1、3、5、7と奇数の目を刺すことで
自由に縫われる刺繍とは異なった、
美しい幾何学模様の刺繍が生まれるのです。
また、こぎん刺しは装飾としての刺繍でなく、
補強や保温のために刺繍されているもの。
たとえば、バッグの底部分であったり、
ストールの首に当たる部分であったり。
1年間ずっと持ち歩く「ほぼ日手帳」も、
なるべく美しい状態を保ちたいもの。
3つの手帳カバーにはそれぞれ、
表紙の中央、角の部分、背表紙と
異なる場所にこぎんが刺されています。
「働く刺繍」としてあるべき姿に
手帳カバーとの相性の良さが見られます。
束松 陽子
毎月変わる帆布の中から好みの配色を選択できる
セミオーダーメイドのトートバッグを、
職人と二人三脚で製作・販売。
WEBでのトートバッグ販売で注目を集め、
全国各地のショップやギャラリーで展示販売のイベントも。
シンプルで機能的なデザインと丈夫な作りで、
高い人気を得ている。
みつばちトート
福田 里香
お菓子研究家。民藝運動に傾倒する両親のもとで、
民藝に囲まれて育つ。2002年、青森県美術館準備室が主催する
アートフェスに参加したのを契機に地元との交流が始まり、
束松陽子と布芸展を結成。ふたりの共著に
『こぎん刺しの本ー津軽の民藝刺繍』(文化出版局)がある。
著書に『フードを包む』(柴田書店)、
『自分でつくるグラノーラ』(文化出版局)、
『フレーバーウォーター』(文化出版局)、
『一年中おいしいアイスデザート』(主婦と生活社)などがある。
2015-09-24-THU