4万年筆工場に潜入。
本社をあとにし、
平塚の万年筆工場にやってきました。
お話を聞かせていただいたのは、
製造部の小池さん(右)と六田さん(左)。
ふたりとも、胸ポケットにペンがたくさん!
さすがペンのメーカーですね。
今日は、カスタム74の「金ペン」の部分の
製造過程を見せていただきます。
見学用のキャップをかぶって、出発!
製造は、金(合金)の延べ棒を作るところからスタート。
0.5mmのうすさに伸ばしたものを、
ペンの形に打ち抜きます。
くり抜かれたペン先は、このうすさ!
しかも、ペン先のほうが若干厚くなっています。
これにより、金ペンならではの「しなり」が生まれるそう。
イリジウムとオスミウムを混ぜたイリドスミン粉末に
電気を通し、3000度以上の高熱で溶かしてから
表面張力によって球状に。
製球の工程を何度か繰り返し、よりなめらかな
ペンポイントの球を作っていきます。
じつはこれ、直径は約1mmほどなんです!
ペンポイントの球を、ペン部分に溶接する工程。
通電して金を溶かし、固定していきます。
ひとつひとつ、人の手と目でチェック。
手前が、球をつけたもの。
奥が、まだついていないもの。
文字と模様を刻印し、丸い穴を開ける工程を経て、
ペン先に細い溝を入れます(=切り割り)。
ズレのないように、ひとつひとつルーペで確認。
刻印と切り割りが入り、カーブを描くように
プレスされたペン先は、こんなかんじに。
細ーく入っている切り割り、見えますか?
切り割り加工によってでできた0.15mmのあきを
ぴったりくっつけるように調節します。
人の手によっておこない、ルーペでチェックします。
さらに、重りのついた装置を使って、
書くときの荷重(筆圧)がかかったときに
寄せた部分が開くかどうかを確認します。
ペン先やペン芯などを組み立てたら、最終チェックへ。
インクが入っていない状態で、書き味を確かめます。
紙に当てたときの微妙な振動や音を手がかりに調整します。
引っかかり(ザラつき)があった場合は、
少し磨きを加えて整えていきます。
これで、ペンが完成です。
ボディのひとつひとつのパーツが作られる際も
工程ごとに人の手によってチェックをします。
こちらは、ペンクリップの部分。
最後のボディ組み立ても、
やっぱり人の手で丁寧におこなわれます。
ピカピカになって箱詰めされ、
全国の文房具店などへ運ばれます。
見学を終えて
- とってもおもしろかったです。
万年筆って、思った以上に人の手で
作られていたんですね。
もう、手作りと言ってもいいぐらい!
- しかも、1本の万年筆が手元に届くまでに、
これだけ、人の手から人の手へと
渡ってきていたなんて‥‥じーんとしました。
- うん、リレーみたいだった。
心を込めて作られているのが
すごくよくわかりました。
- 今日見ていただいたのはほんの一部で、
これ以外の、たとえばペン芯部分にだって
工夫や緻密な計算がたくさんつまっているんですよ。
万年筆って、動力を使わずにインクを出したり
止めたりできるわけで‥‥
アカデミックであり、なおかつ
サイエンスティックなものでもあるんです。
最初に作った人は、やっぱりすごいと思います。
- 今日はありがとうございました!
(おわります)