1ほぼ日手帳で見守るコーチ
- ーー
- 吉谷ヘッドコーチ、よろしくお願いします。
ラグビー部の全員で「ほぼ日手帳」を
使っていただいて、ありがとうございます。
チームで使ってみて、いかがでしたか。
- 吉谷
- 僕は3年前からこの学校でコーチをしていて、
ほぼ日手帳の導入は、今年からになります。
2017年の一発目の練習の時に、
「明日、この手帳を買ってきて」と伝えたんです。
高校生の彼らからしたら
「ほぼ日」も「ほぼ日手帳」も、
知らないものだろうから、驚いたと思います。
- ーー
- たしかに、男子高校生はピンとこないかもしれません。
「ほぼ日手帳」を使うまでは、
どうやって練習を管理していたのでしょうか。
吉谷さんは会社員だから、
毎日の練習を見るわけにもいかないだろうし。
- 吉谷
- 2016年まではスマホのアプリを使って、
その日の練習のよかったこと、悪かったこと、
気づきをリーダーたちから共有してもらってました。
ミーティングの資料や練習メニューを共有したり、
ケガの状況を把握したりするためのものですね。
僕は休日しか練習を見てあげられませんが、
平日の練習もちゃんとやっていないと、
絶対に強くはなれないので。
- ーー
- 平日のほうが、日数は多いですもんね。
- 吉谷
- アプリでの報告は受けていたんですが、
去年は、目標にしていたところまで届かなくて、
何かを変えなきゃなと思ったんです。
負けた試合を振り返ってみると、
僕らコーチ陣が、与えすぎていたと気づきました。
選手も言われたことはできるけれど、
それ以外のことが目の前に起きると、
試合中に選手の動きが固まってしまった。
ラグビーの試合って、
同じ状況や景色は一度もないんですよ。
だから、グラウンドに立つ選手には、
自分で考えてもらわないといけないんです。
自分で考える機会を与えたくて、
手帳に記録をつけさせようと思いました。
- ーー
- 高校生のみんなは手帳を持ったことも、
あまりないと思うのですが、
吉谷さんが求めるような書き方は
最初からできていたのでしょうか。
- 吉谷
- 書くことをガチガチには決めていないんです。
体重管理のことがメインで、
食べたものと体重、筋トレの記録。
ベンチプレスの何キロを何回挙げた、
ということだけは書くように指示しました。
あとはもう、自由に使ってもらって、
学校のテストのことを書く人もいるし、
テスト期間になると白紙になっちゃう人もいます。
最近では、その日の自分の悩みとか、
個人的なことも全部書くように伝えています。
- ーー
- 当初の目的は、体重管理だったんですね。
言われてみれば、高校に入ってすぐなんて、
みんなヒョロヒョロだもんなあ‥‥。
- 吉谷
- やっぱり、体格の差は大きいです。
「ほぼ日手帳」を使う前は、
僕が部員の体重を管理していました。
データをまとめて目標数値をグラフにして、
ある程度の成果もでました。
ただ、僕の負担が増えているわりに、
「やれ」と言われたからやっている
感じになってしまったんですよね。
毎日体重を測っていなかったりもして、
まずは、その意識から変えたかった。
何を食べたのか、今日の体重は何キロか、
しっかりと記録を残すために、
手帳を使うように指示したんです。
- ーー
- 「ほぼ日手帳」を選んでいただいたのは、
もともと、ご自身が使っていたから?
- 吉谷
- 僕も使っていますが、仕事がメインで、
ラグビーとは関係なく使っていました。
大学の5つ下の後輩に、
布巻峻介というプロラグビー選手がいて、
今は「パナソニック ワイルドナイツ」という
チームに所属しているんですけど、
布巻が、手帳を使った感想を教えてくれたんです。
- ーー
- おお、プロの選手が。
- 吉谷
- 僕の使っていた「ほぼ日手帳」を布巻が見て、
欲しいと言っていたからプレゼントしたんです。
久しぶりに会って手帳を見せてもらったら、
「日本代表になる!」って決意を書いていたり、
いろんなことを書き込んでいたりしたんですよ。
それで、手帳を使いはじめた半年後に
本当に日本代表にもなっているんです。
- ーー
- スケールの大きな話ですね。ありがたいです。
(布巻選手へのインタビューは、
「ほぼ日手帳公式ガイドブック2018」に
掲載しています)
- 吉谷
- 布巻にはオリジナルを渡したんですが、
次の年には自分でカズンを買っていました。
どうしてカズンにしたのか聞いてみたら、
「ウェイトルームとかグラウンドに持っていって、
雑に書くことがいっぱいあるから、大きいほうがいい」
と言っていたんですよね。
それに、布巻は手がでかいんで、
小っちゃいサイズだと苦労したみたいで(笑)。
高校のラグビー部で手帳を導入する時にも、
1年使ってくれた布巻が言っているなら‥‥、
と思って、カズンにしました。
- ーー
- 理想的なモデルがいたから、
カズンになったんですね。
- 吉谷
- そうです、そうです。
布巻にもアドバイスを貰いましたもん。
ミーティングのメモ、食べたもの、
体重を書いたほうがいいと言ってくれて、
それは参考になりましたね。
布巻は、高校にもよく教えに来てくれるんです。
部員のみんなにとっても馴染みのある選手だし、
「日本代表が言うなら、僕らも使うか」
みたいに思ってくれたんじゃないですかね。
やっぱり、彼らにとっては「あの布巻選手」なんで。
- ーー
- 高校生たちが手帳を使い始めて、
変化は感じていますか?
- 吉谷
- 僕と選手たちとのコミュニケーション量が
圧倒的に増えていますね。
今までは誰とも話せない週もあったし、
みんなが考えていることもわかりませんでした。
今は、週末に積まれた手帳を見て、
交換日記みたいに使っているので。
- ーー
- 全員の手帳を見ることは大変そうですが、
部員のみんなに何かを書いたりもしますか。
- 吉谷
- 僕は、観察するのが趣味なんです。
練習中に気になる選手がいたり、
たとえば、いつもは練習の30分前に来るのに、
今日は5分前に来たような人がいたりしたら、
こちらからのメッセージとして、
「お前のこと見てるよ」という内容を書きます。
「あの時、ああいう態度してたでしょ」
みたいなことを書いたりとか。
- ーー
- 「俺のこと、ちゃんと見てくれてるんだ」
というのは、嬉しいですね。
- 吉谷
- 本気で叱った時にも、そこで終わらせずに、
手帳に説明を書くこともできるから、
コミュニケーションが取れて助かっています。
みんなの手帳を見ていると、
試合のあとに「ここがダメだった」と
きちんと自分の反省を書いていると、
やっぱり嬉しいですね。
自分で考える力をつけてほしくて始めたので。
- ーー
- 吉谷さんが就任されて、今が3年目。
自分が指導してきた1年生が3年生になって、
今年は芽が出るんじゃないかという年ですね。
- 吉谷
- 本当にそうです。
今年がたぶん一番成果が出ると思います。
現に今、チームの調子がいいんですよ。
前の年に戦った相手との差が
縮まっているのが分かるんです。
相手も伸びているとは思いますが、
それよりも、僕らは伸びている。
- ーー
- チームの目標と、部員のみんなへの
今後の期待は何かありますか。
- 吉谷
- 僕は本気で全国大会出場を目指していますが、
今後への期待のほうが大きいですよ、本当に。
もしも全国へ行けなかったとしても、
何も残らないのはすごく嫌なんです。
ラグビーから、人間にとって
大事なことを学んでほしいですね。
ラグビーはきっと、どんなスポーツよりも、
いいヤツじゃないとできないと思うので。
僕もコーチとして、卒業した子たちが、
きちんと自分に挨拶に来てくれるような
いいコーチにならなきゃいけないなと。
- ーー
- 人間性が出るスポーツなんですね。
ラグビーでのいい人は、
どう「いい人」なんでしょうか。
- 吉谷
- ラグビーでの「いい人」は、
相手のために動ける人ですね。
人のことを考えて、人のために動ける人です。
自分本位のプレーは、絶対にダメ。
日本代表も、みんないい人ですよ。
選ばれるためには、人間ができていないと。
仮に高校で通用したとしても、
将来は伸びないという例もたくさんありますから。
- ーー
- たしかに、日本代表の選手も印象がいいです。
ちなみに、吉谷さんご自身は、
「ほぼ日手帳」をどう使っているのでしょうか。
- 吉谷
- 僕はあまり使い方を決めつけていなくて、
ラグビーのことも、仕事のことも、
思ったことは何でも書いています。
自分が何かを見て思ったことを記しておいて、
振り返る時に「あの時、ああいうこと考えていたな」
というメモを2行に収まるように書いています。
- ーー
- 2行は、かなり短いですね。
- 吉谷
- ほわっと、そこだけ浮き上がってくるような感じです。
仕事では、僕のチームの後輩たちも
ほぼ日手帳を使っているんです。
会社の僕のチームでは大活躍してます。
みんな毎日、どこへ行くにも持ち歩いて、
僕が言ったことのメモを取ったりして、
真面目だなあと思いますよ。みんな書いてますから。
新入社員の新卒の子には、僕が手帳をプレゼントして、
人から教わったこと、怒られたこと、
できるようになったこと、
全部を書かせるようにしています。
紙の手帳って、仕事のマネジメントに、
すごく向いていると思うんですよね。
- ーー
- デジタルで予定を共有するのと、手帳に書くこと、
何か違いを感じることはありますか。
- 吉谷
- 全然違うと思いますね。
デジタルならみんなでシェアできて便利ですけど、
紙は、1対1で共有できることがいいですね。
パーソナルな悩み相談や、アドバイスができます。
手帳を見せてもらう時には、
その人に向けて、メッセージを書いています。
- ーー
- ラグビーでも、仕事でも、
マネジメントする心構えが変わってきそうですね。
それでは、部員のみなさんの手帳も
見させていただきます。
- 吉谷
- ええ。ぜひ見てやってください。
- ーー
- ありがとうございました!
(つづきます)