4ビートルズになりたい。
- ビートルズも、
ものすごく仲が良く見える時代が
ある程度長いじゃないですか。
『ア・ハード・デイズ・ナイト』とかの
映画を見ていても、
ドキュメンタリーに見えますよね。
- そうだね。
- たぶん演出の指示が
たくさん出ているわけじゃなく、
彼らがふつうにしゃべっていることを
そのまま撮っていたりしますよね。
- うん、うん。
- あれは、若い男の子を憧れさせるよなぁ。
なんていうのかな。
みんなが対等で、順番に冗談を言って、
誰かがからかったり、あるいは、かばったりして。
あんなおもしろい遊びはないよね。
- ない!
あれを見てしまうと、
「ああ、こんな人たちになりたいなあ」って
思うんですよ。
- ああ。なりたい!
- 冗談言って、
マスコミから皮肉を言われても
上手に言い返したりして。
- 映画の中で
「ポールのおじいさん」っていう役の人を
じょうずにからかったりとかね。
- そう考えると、ビートルズは
音楽の魅力プラス
キャラクターの魅力っていうのも
大きいと思うんですよね。
- 「彼らは何が好きなんだろう」とか
「どんな服を着ているんだろう」、
「どんな家に住んでいるんだろう」みたいに
彼らが選ぶものをトータルに‥‥
- 全部、知りたかったよね。
- 「どんなものを買っているんだろう」って、
彼らのことを「消費者として」見たかった気持ちは
すごくあったわけ。
- 同じソックスを30足買ってこさせたとかね。
そのあたりを知っていくと
リアリティが入ってきますよね。
- うん、おもしろくなる。
それを「カルチャー」っていうんだと
思うんですよ。
- あぁ、ひとつのカルチャーができちゃうんだね。
それを他のミュージシャンや
一般のファンの人が真似していくわけだ。
- そうだよね。
- でも一番たまげたのは、やっぱり
4人全員が髭はやしてた、レコードの写真。
- あぁ、あれね。
- 「え、髭って、はやしていいの?
ふつうは剃るもんでしょ、髭は!」
- 会場
- (笑)
- 眼鏡もかけてるし。
- うん、おばあちゃんみたいな眼鏡ね。
「これでかっこいいの?」って思った。
- 髪の長さも怪しかったよね。
- ちょっと短くなっててね。
そういう髪型の変化も
わたしたちにとっては
けっこう重要でしたから。
- 重要、重要。
- 髪型を変えると、
生き方も変えられるっていうのが、
わたしにもあったんで。
- 「何をしてもいいんだ」っていうのを
知っていても、
そんな簡単にできるものじゃないんですよね。
「人から見て、何がかっこいいかな」って
思ってしまうわけで。
- 1966年の来日の時はあんな
マッシュルームカットだったのに、
その半年後のビジュアルは、いきなり髭だもん。
驚きましたわ。
- 会場
- (笑)
- なんだか、そろそろ時間のようなので、
慶一くん、最後にひとことを。
- リアルタイムじゃない方々には
申し訳ないですけれども、
わたしたちは、
「次の新譜、何かなぁ」っていうのを待てる
リアルタイムにたまたま生きてたんで、
当時のことが鮮明に記憶に残っている。
こんなにいいことはないです。
すぐ覚えて、翌日は口笛吹きながら
学校に行くんだよ。
- それで、がっかりする権利もあるんだよね。
「こういうアルバムが出ればいいなぁ」って
漠然と思っているのを裏切られて、
「うわ、髭かよ!」みたいな。
- 会場
- (笑)
- 「せっかく床屋の人が、あの髪型を覚えて
切ってくれるようになったのに、
こんどは髭かよ!」
- それで、少しすると
やっぱり真似しちゃうんだよね。
- そうそう(笑)。
「‥‥おぉ、髭だよ!」。
- 会場
- (笑)
- でも、今日は本当に来てよかったなあ。
- よかったね。
パロッツの演奏を聴いているときは
ただのいちファンになっちゃったけど(笑)
(客席に向かって)
みなさん、よかったですよね?
- 会場
- (拍手)
- ああ、よかった。
「今日が楽しかったからまたやりましょう」って
言われちゃったらどうしよう(笑)。
でも、1年後ぐらいに
またやれたらいいなって、ちょっと思っています。
今日は、ありがとうございました。
- ありがとうございました。
(対談は、これでおしまいです。
引き続き、動画をおたのしみください。)
著作権の関係上、
残念ながら演奏録音の公開ができないのですが、
(ほんとうにすみません!)
演奏の合間におこなわれたトークの一部を
みじかい動画にまとめました。
ぜひ、ごらんください。
The Parrots(ザ・パロッツ)プロフィール
1990年、吉井守を中心にを結成。
都内のライブハウスで活動を開始。
六本木「アビーロード」オープンと同時に
活動拠点を移し同店のレギュラーバンドに。
1994年、英国リヴァプールで開催される
世界最大のビートルズ・フェスティバル
「ビートルズ・コンベンション」に東洋初の出場を果たす。
2013年には来日中のポール・マッカートニーから
プライベートパーティーに招待され演奏。
「I Saw Her Standing There」では、
ポール本人のヴォーカルで共演した。
2017年9月、吉井守が急逝。
12月、新メンバーの星宣彦、佐藤仙が加入し
新生パロッツとして活動スタートした。