- ーー
- はじめまして。
よろしくおねがいします。
- 山本
- よろしくおねがいします。
今日、ぜったい緊張するだろうなと思って
昨日は予行練習をしてきたんですよ。
- ーー
- えっ、そうなんですか?
- 山本
- はい。主人を相手に手帳を見せていたんですけど
「ちょっと見て。こんなん貼ってる!」
「うわあ、私のこのときの心境!」
みたいな感じで大騒ぎ(笑)。
- ーー
- (笑)
手帳を読み返されてみて、いかがでした?
- 山本
- 読み返すと、書いた当時の
いろいろなことを思い出しましたね。
たとえば、このページを見ると
「うちの犬、このとき、まだ生きてたんやなぁ」とか。
- ーー
- 「犬のごはん」とか「ペットシーツ」とか
書かれていますね。
- 山本
- はい。このときは徳島の実家で
暮らしていたんですけど
毎日、犬の介護に追われていたんです。
うちの家族は私以外みんな犬が苦手だったのと
私が頼み込んで飼うことになった経緯もあって、
「自分がリッキーの面倒をみなくちゃ」と思って。
仕事の昼休みに家に帰って
面倒を見てから仕事に戻ったり、
床ずれをするから3時間ごとに動かしたり‥‥。
すごく大変だったのを覚えています。
- ーー
- このページを読むと、リッキーへの
思いがあふれていて、切ないですね。
- 山本
- そうですね。
「リッキーとは添い遂げた」という気分でしたね。
この時期はずっと犬の面倒をみていたので
自分の時間がなかったんですけど、
リッキーがいなくなって、悲しみつつも
だんだん自分の時間が持てるようになって、
旅行もできるようになって
少しずつページの内容が変わってきました。
- ーー
- ほんとですね。だんだんカラフルに。
このイラストも、かわいいですね。
- 山本
- ほんとですか? うれしいです。
でも、イラストを描いているのって
このページぐらいだと思います。
昔は、マンガ家を目指していたんですけど。
- ーー
- え! そうだったんですか。
それは、どんなきっかけで?
- 山本
- 小学1年生のときに、卑弥呼のことを描いた
歴史マンガを読んで、それがおもしろくて
自分も絵を描くことが好きだったし
「マンガ家になりたいな」と思ったんです。
高校では美術を専攻していたのですが、
「やっぱりやりたいのはマンガなんだ」と
京都精華大学のマンガ学科にすすみました。
- ーー
- マンガ学科!
じゃあかなり本格的に目指されていたんですね。
- 山本
- そうですね。
当時は持ち込みに行ったりとか、応募したりとか、
かなりがんばっていたんですけど、
まぁ、いろいろあって、こんがらがって
結局挫折した形になってます。
卒業後は全然関係ない職場で働いて
東京に住んでからは
資格をとって不動産業界に入りました。
これは、宅建の資格試験前のページです。
このときちょっとナーバスだったみたいです。
- ーー
- ご自分を励ましているのが、文章からも伝わってきます。
山本さんが「コピー大賞」の授賞式のときに
「20代後半から、友達と一緒に
自分応援キャンペーンを始めた」
とおっしゃっていたのを思い出しました。
- 山本
- そうですね。
「自分を応援する」という発想も
自分に自信がないところが始まりでした。
がんばりたいときとか、不安で仕方ないときとか、
どうにか踏んばりたいときに
まわりから「自信持って」と言われても、
信じられる自分がいない。
だけど、信じられないからといって、
自分なので見捨てるわけにはいかず。
「じゃあもう、応援しかないやん」という感じで(笑)。
そこから、この発想につながりました。
- ーー
- そのときの気持ちや状況が
手帳に正直に書かれているように感じます。
- 山本
- そうかもしれないです。
だから後になって読み返すと、
書いている内容に励まされることもあります。
と言いつつ、忙しいときは
何も書いていないんですけどね。
そういうときでも「日々の言葉」の
気に入ったところに付箋を貼ったり‥‥。
- ーー
- 付箋がたくさん!
しかもこうやって感想も書いてくださって。
- 山本
- はい。けっこう思ったことを
自由に書いちゃってます。
- ーー
- あと、手帳にはさんでいる、
このイラストも、すごくかわいいですね。
- 山本
- あ、これは、大学時代に、
当時同級生だった今の主人が
「551の蓬莱」という豚まんを
モチーフにして描いたキャラクターなんです。
何年か後に再会して、付き合うことになって、
その記念に私が描きました。
なんか、ちょっと浮かれていたのかも(笑)。
- ーー
- ということは、
旦那さんも同じマンガ学科だったんですか?
- 山本
- はい。主人は今、マンガ家になっています。
- ーー
- え!
- 山本
- 『コミックビーム』という雑誌に
山本健太郎という名で描かせてもらっています。
『ファイトじじいクラブ』とか
最新作だと『ウインド・ハート・ブレーカー』と
いうマンガなんですけど。
- ーー
- (iPhoneで検索して)
うわぁ。ほんとだ。 すごいですね!
後で読ませていただきます。
ところで、このコピー大賞があった月のページに
「式まで1か月!」と書かれているんですけど
ご結婚されたのは
コピー大賞の授賞式のすぐ後なんですか?
- 山本
- そうなんです。入籍は先にしていたんですけど、
結婚式は10月だったので、
この時期は、もうめちゃくちゃ忙しかったです。
- ーー
- 予定がぎっしりですね。
披露宴の準備で相当お忙しい中、
授賞式に出ていただいて
ありがとうございました。
- 山本
- いえいえ、とてもうれしかったです。
それに、あんなふうに人前に立たせていただいたので
おかげさまで結婚式では緊張しなかったんですよ。
授賞式で全く知らない人の前でスピーチするという
あの緊張感と比べたら
結婚式なんて「みんな知り合いやん」みたいな(笑)。
- ーー
- (笑)
ところで山本さんご自身は、
マンガは今、全然描いてないんですか?
- 山本
- ここ2年ぐらいは
まったく描いていないですね。
本当に気が向いたときだけ、
イラストをちょこっと描くぐらい。
‥‥ただ、実は今日、付け焼き刃なんですが
感謝の気持ちをマンガで描いてきたんです。
しばらく描いてないから自信がないんですけど‥‥。
- ーー
- えっ!
マンガを!?
- 山本
- はい。
ペンが乗っていないところもあるし、
お見せするのが恥ずかしいんですけど。
「ほぼ日」の松本さんから、
取材のお話をいただいたときに
すごくうれしかったので、その気持ちを。
- ーー
- うわぁ‥‥これはすごいです。
糸井や乗組員の特徴がよく出ていますね。
- 山本
- 久しぶりに描いたから、線もガタガタで恥ずかしい。
でも「ほぼ日手帳」は方眼がガイドになって
フリーハンドで線が書けるから
漫画を描くのにちょうどよかったです(笑)。
- ーー
- なるほど、方眼が意外なところで役にたつ(笑)。
最後にすごく素敵なページを
見せてくださってうれしいです。
今日は本当にありがとうございました。
- 山本
- こちらこそ、ありがとうございました!
▲手帳のポケットには、愛犬リッキーの写真など
「応援」グッズがいっぱい詰まっていました。