2003年にデビューした
「ほぼ日」のやさしいタオル。
ふつうのタオルは両面がパイルのところを、
「片面がガーゼ、片面がパイルの重ね織り」
でつくったことが、
デビュー時からかわらない、いちばんの特徴です。
今回、その織りが、二重から三重になり
(ダブルガーゼ+パイルになります)、
より「やさしく」なることは、
前回の更新でお伝えしたとおりです。
さてきょうは、やさしいタオルの
「それだけじゃない」特徴を、あらためて紹介します。
ほんとうにこまかな工夫、こんなにあるんですよ。
やさしいタオルの、だいじなコンセプト。
2000年頃、「ほぼ日」が
タオルの開発をはじめるにあたり、
「いいタオルとは何か」を考えました。
当時、タオルといえば「いただきもの」が主流。
みんな、自分の好きなデザインや、肌ざわりの
タオルを使っていないんじゃ?
という疑問が、タオル開発のはじまり。
そして、決めたのが、こんなコンセプトでした。
- 肌ざわりがよいこと。
- 吸水性がたかいこと。
- 古びないこと。
- 洗いやすいこと。
- 乾きやすいこと。
- いつも持ち歩きたくなるデザインであること。
LA加工でパイルの糸をふっくらさせています。
パイルに使う糸は、洗濯・乾燥をくりかえしても、
ふっくら、ハリのある状態を保ちたいと、
織る前の糸の段階で「LA加工」をほどこしています。
LAは、liquid ammonia(液体アンモニア)のこと。
いっぱんの綿繊維の細胞壁(セルロース)は
断面がいびつな円形で、
洗濯と乾燥を何度も繰り返すうちにつぶれて
さらにいびつになり、しわが増えて、
次第に型くずれしていきます。
でも、液体アンモニアを
糸の細胞壁(セルロース)にしみこませると、
糸のよぶんな緊張をほぐし、
いびつだったかたちがふっくらします。
そのあとに液体アンモニアを抜くと、
細胞壁が形状記憶されます。
水分を吸ったときにふくらんで、
しぼったときにぺちゃんこになっても、
乾くとまたふっくらともとどおりになる
「やさしいタオル」の特長は、
撚り方や織り方とともに、
このLA加工によるところが大きいのです。
パイルの糸はヴィーナスシード。
やさしいタオルは、2016年秋から、
ヴィーナスシードという綿を使っています。
それまでは、スーピマコットンという
超長繊維綿でしたが、
糸メーカーが生産を終えたのを受け、
タオルをつくる工場である
今治・藤高のチームといっしょに
「やさしいタオルにとっていちばんいい糸」
を探しました。
ヴィーナスシードは、
陽射しのあふれるギリシアで育った、
生産量のすくない稀少綿。
超長繊維綿ではありませんが、
一般的な綿にくらべると繊維長が長く、
また、織度(糸の太さ)が太いのが特徴で、
GMO(遺伝子操作の種)は使っていません。
選んだポイントは、タオル(パイル)にしたときの
ハリとコシと肌ざわり。
いろんな糸でつくったタオルを使ってみて、
これがいちばん気持ちがいい!
それが、ヴィーナスシードを選んだ
大きな理由のひとつでした。
糸は双糸で、上撚りを8回に。
そうして空気をたっぷりと含ませることで、
やわらかさとふっくら感を出しています。
ガーゼは、木綿の風合い。
木綿のさらっとした風合いを大切にするために、
一般のガーゼ用の糸よりも太い糸で
ざっくりと織りました。
吸水スピードが早く、
肌にそっと押しあてるだけで、
水や汗をすっと吸収します。
なぜ片面ガーゼ、片面パイル?
やさしいタオルは
片面パイル、片面ガーゼ、さらにその真ん中に
もう1枚のうすいガーゼを組み込んだ三重織りです。
どうしてそんな構造にしたのかというと、
さらっとした木綿の風合いのガーゼ面は、
肌をこすらずに、そっと汗を押さえるときに、
ふわふわのパイル面は、たくさんの水分を
いっきに吸収するときに、
裏表それぞれの使い心地がたのしめるから。
また、片面をガーゼにしたことで、
両面パイルのタオルよりも軽くつくることができ、
かさばりにくくなっています。
早く乾きますから、洗濯もらくなんです。
デビューした当時は
「重いタオルこそが良いタオル」と考えられていたので、
こんなふうに「軽くて良いタオル」をつくるのは、
ある意味、ひとつの挑戦だったんですよ。
ダブルガーゼとパイルの三重織り
今回のリニューアルで、
ガーゼとパイルの二重織りから、
ダブルガーゼとパイルの三重織りになりました。
ガーゼを重ねることで、中に空気がふくまれて
ふっくら感、保温性が増し、
糸量が増しますから、保水性も高い。
濡れたからだや髪をはやくかわかします。
6つのサイズがえらべます。
いちばん大きな「バスタオル」を基本に、
その半分の面積の「シャワー」、
タオルといえばこのサイズ、の「フェイス」、
おおきめのハンカチサイズの「ハンド」、
それよりちょっとたてながの「キッチン」、
うんとちいさな「ハンドよこなが」。
やさしいタオルは、6サイズ展開です。
といっても、すべてのデザインに
6サイズを揃えているわけではなく、
サイズもデザインのひとつと考え、
ラインナップを決めています。
ハンガーループがついています。
さっと壁のフックや、S字フックにかけられるよう、
ハンガーループがついています。
ループの素材は、リネンコットンです。
四国山脈の伏流水で洗っています。
織り上がり、染め付けられたタオルは、
のりや余分な染料を落とすため、
タオルの洗い専門の工場に運ばれます。
四国・今治で作られるやさしいタオルは、
工業用水を使わずに、
四国山脈からの恵まれた伏流水を使って洗っています。
伏流水は、土壌という自然の濾過装置を介して
わき上がってくるので、
雨が少ない水不足の時期も、
水の成分やコンディションがかわりません。
1年を通じて「新鮮な水」です。
そして、このタオルの洗い専門の工場で
使っている伏流水は、
無菌状態であることが自慢です。
やさしいタオルを洗っている伏流水は、
飲むことができる、きれいで安全性の高い水なのです。
洗剤は、シャボン玉石けん。
タオルを洗うのに使っている洗剤は、
合成洗剤ではなく、シャボン玉石けんです。
天然由来の成分のみを使い
(原料に石油を使っていません)、
石けん成分以外は、無添加。
蛍光増白剤も入っていない、やさしい石けんです。
タオル工場の藤高で、このシャボン玉石けんは、
赤ちゃん用のタオルの洗いに使っています。
パッケージをあけたときに、ほんのり香るんですよ。
シャボン玉石けんについては、こちらをどうぞ。
柔軟剤は使っていません。
柔軟剤は、いうなればリンスのようなもので、
繊維をコートします。
その結果、繊維はふっくらつややかになりますが、
コートされた分、吸水性が低くなります。
買ったばかりの一般のタオルが
最初のうち水を吸わない理由はここにあります。
そして、家庭用の柔軟剤と違い、
業務用はたいへん強力なものを使っているため、
家庭で数回洗ったくらいでは、柔軟剤は落ちません。
伏流水で徹底的に洗い、柔軟剤で仕上げをしない
やさしいタオルは、最初から吸水性が高く、
肌のことを大切に考えているタオルです。
織りとプリント、ふたつのデザイン。
2003年のデビュー時、やさしいタオルのデザインは、
2色をつかったチェックと、色無地でした。
現在は、織りに使うことができる色の数もふえ、
また、ストライプやトリコロールなど、
織りで表現できるデザインも豊富に。
プリント技術がよくなったことで、
シルクスクリーンのような技法で1枚ずつおこなっている
プリントも、多色刷りができるようになりました。
2012年からは「ボタニカル・ダイ」という
植物由来の染料を使うシリーズも登場、
よりやわらかく、きれいな発色のタオルも人気です。