思い切って、黒一色のタオルをつくりました。
名前は「ノワール」。
フランス語でnoireは黒をあらわすことば。
でもただの黒ではなく、
この黒、すごくニュアンスがあって、
かなり濃い、深い色をしているんです。
そもそも、
いままで「やさしいタオル」では
黒いタオルをつくったことがありませんでした。
なぜかというと、染めの関係で、
濃い色になるほど、糸がかたくなり、
水を吸いづらくなってしまうから。
なので、濃い色は紺が限界だと考えていたのです。
それが今回、「やさしいタオル」をつくる
今治のタオルメーカー・藤高のみなさんの努力で、
あたらしい染料を開発。
やわらかさがあり、吸水性を保った、
「黒い」タオルをつくることができました。
使用しているあたらしい染料は、
これまで藤高が使ってきたものと比べて、
濃度が1.6倍(!)あるのにもかかわらず、
吸水性をよく保つのが特徴です。
つまり、同じ分量の染料を使用しても、
品質をかえず、より黒くなる効果があるんです。
さらに、従来から使用している「LA加工」
(糸じたいの細胞壁を形状記憶し、
つぶれてもふっくらと立ち上げる加工)は、
糸のすべりがよく、加工していないものに比べて
光沢を与える特徴がありますから、
このあたらしい染料の効果とあいまって、
発色がはっきりと、
より黒く見えるようになっているんです。
シンプルな黒のタオルですが、
その黒のニュアンスを出したくて、
あえて、平織りのガーゼではなく、
ヘリンボーンの綾織りを使いました。
光によってすこしずつ変化する黒は、
インテリア性も高く、使う場所をえらびません。
「やさしいタオル」の写真の
スタイリングを担当している伊藤まさこさんは、
「このタオル、髪を染めたときに拭くのに、
すごくいいかも!」と。
なるほど、そんな使い方もいいですよね。