08
理想のモノに出会うのはむずかしい
惠谷太香子さんとナイトブラ座談会(前編)
気持ちのいいものに包まれる心地よさと、 身体のラインをきれいに保ちたいという思い。 つきのみせは、下着に求めるさまざまな 「こうだったらいいな」をかたちにしてきました。 この冬、あたらしく登場するのは“ナイトブラ”です。 着心地やつけ心地がよくて、大人っぽくて‥‥ チームの理想をつめこんだものを、 下着デザイナーの惠谷太香子さんとつくりました。 敏感な肌の方にも安心の「スマイルコットン」を使用し、 一日中気持ちよさに包まれるインナーもご用意しました。 また、秋冬に手ばなせない、 「JOHA」のインナーが今年も登場。 スタイリストの轟木節子さんが、 心ときめくアイテムをセレクトしてくれました。
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惠谷太香子さんとナイトブラ座談会(前編)
あたらしく登場した“ナイト”シリーズ。 もともと、チームのなかで、 「ナイトブラで理想にピタッとくるものがない」 という話から開発が進みました。 着心地やつけ心地がよくて、大人っぽくて‥‥ 理想のナイトブラの話から、 下着デザイナーの惠谷太香子さんに 製品ができるまでのお話を聞きました。
女子美術短期大学卒業後、 ブライダルファッションデザイナーの 桂由美さんに師事。 その後フランス・パリのオペラ座衣裳室での修行後、 肌着・下着デザイナーとして独立。 キャリアを通して身に付けた 徹底した立体裁断の高い技術をいかし、 2003年には、大手ファストファッションメーカーの 下着部門が立ち上がるときの中心メンバーを務める。 現在は、自身でオートクチュールを発表するかたわら、 日本の「オーガニック素材」の先端を走る 名古屋の豊島株式会社と組み、 「cohan」「ma・to・wa」(マ・ト・ワ)などの プロデュース・デザイン・開発を担当。 日本の企業のみならず、香港やフランス、アメリカなど、 世界をまたにかけ活躍されています。
ハサウェイ 私はリラックスしたい派なので、 ナイトブラって聞くと 「夜まで締めつけられるのは勘弁だよ~」 というのが正直な気持ちで。
さゆり わかる。私もストレスフリーでいたい!
なつみ 私は心配になっちゃうんですよね。 なにもつけないで寝たら、 胸がどこかにいっちゃいそうで‥‥。
ハサウェイ なっちゃんとナイトブラをつくるにあたって、 いろいろ話しているんですけど、 ずっと、胸がなくなる恐怖に駆られているよね。
なつみ いつ頃からかわからないんですけど、 ナイトブラはずっとつけています。
さゆり どんなものをつけてるの?
なつみ ホールド感があるつけ心地が好きなので、 今は脇高だけどきつすぎず、 ホールドしてくれるものをつけています。
ジャンボ 私も10年くらい使っているかな。 むかし、友人と旅行に行ったときに、 夜寝る前にその友人がナイトブラをつけてたんです。 「苦しくないの?」って聞いたら、 「ずっとつけていたら、 癖になってくるから苦しくないよ」って。 あと、「つけているほうが安心というか、 胸を支えてくれるから、垂れの原因をふせげる」 って言ってたんですよ。
ハサウェイ 言いますよね。 なにも支えていないと 胸が右や左に流れちゃうから、 きれいな胸をキープしたいなら ナイトブラだって。
ジャンボ 30代後半に入ってからかな。 胸のかたちが変わった気がして、 これは、寝るときも対策をしたほうがいいかも、 と思って、ナイトブラを探し始めました。 でもね、探しても探しても、 ナイトブラってかわいいのが全然なくて。
ハサウェイ そうなんですか。
ジャンボ 品質がいいものはあるんだよ。 すごくいろいろ研究されてて、 きっと構造としては抜群なんだろうなって。 でも、だいたい似たようなデザインで、 つけるのがいやだなあって思ってしまって。
さゆり 機能をもとめるか、 デザインをもとめるか、 2択になっちゃうときってありますよね。 どっちもほしいのに。
ジャンボ そうそう。 いろいろ探して、けっきょく、 さらしみたいに胸を巻くタイプのものを 使っていたんだけど、 胸が押しつぶされているような感じで きつくてすぐに手放しちゃいました。 そのあとは、ノンワイヤーで オーガニックコットン素材のものを見つけて。 昼夜兼用のブラで、着心地はよかったんだけど、 それもちょっときつかったですね。
ハサウェイ なかなか理想のものに出会うのは、 難しいんですね。
ジャンボ 自分の好みにぴったりあうものが 見つからなくて、 ずーっと探している感じです。
ハサウェイ ずばり、どんなナイトブラが理想ですか?
ジャンボ デザインが素敵で、 肌ざわりがよく着心地がいいもの。 それでいて、胸のためになるようなものだと うれしいなって思います。
なつみ 私もデザインが素敵なものがほしいです。 かわいらしすぎるものが多くて、 リボンやレースよりも 着たときにきれいだったり、 シンプルなもののほうが好みです。
ジャンボ わかる、大人に似合う感じがいいよね。
さゆり 私は身体を甘やかしたいタイプだから、 なんなら裸族でおふとんに入りたいくらい。
ハサウェイ めちゃくちゃわかります。 お風呂から出て、何もつけずに 気持ちのいいパジャマに着替えるのが、 至福の瞬間。
さゆり 寝てるときに、 何かが身体にピタッとフィットしているのが、 どうしてもダメなんだよね。 気になって眠れなくなっちゃうから、 腹巻きをつけてても、途中で起きて脱いだりしてる。
全員 (笑)。
さゆり だから、なかなかナイトブラに 手が伸びなかったんですよ。 でも、さっき話にあったみたいに、 年齢とともに胸の形の変化があるっていうことを 身をもって実感していて、 「やらなきゃいけないのかも」と思うように。 でもね、かわいくないの!
ジャンボ でしょう! どうしてナイトになると、 急にそうなるのって思う。
さゆり だから、ほしいって気持ちにならなくて、 私もデザインが素敵で、肌ざわりがよくて、 胸のためになるものがあればほしいです。
ハサウェイ 惠谷さんがウズウズしてますね。
惠谷 はい。早く喋りたいけど、 もうちょっとがまんします。 みんなの意見も、聞かないと。
加藤 私もほしかったんですけど、 デザインのところが引っかかります。 スポブラっぽいですよね。
ジャンボ かわいくないか、スポーティーか、 どちらかだよね。
ハサウェイ なんでそうなるんですかね(笑)。
加藤 私が探しきれてないだけかもしれないんですけど、 もう少しおしゃれだったらほしいなと思います。 あとは、どうしてつけないといけないのか、 未だにきちんと理解できていなくて。
ハサウェイ その辺りはぜひ、 惠谷さん教えてください!
惠谷 任せてください。 まず、身体のためを思うか、 ボディラインのためを思うか、 この2択でわかれるんですね。 身体のためにストレスフリーな状態を 優先したいのであれば、裸族ですよね。 そして、ボディラインのためを思うなら、 ナイトブラや運動などで 身体を支える必要があります。
ハサウェイ さっき話があったみたいに、 やっぱり年齢とともに胸の形は 変化するものなんですか?
惠谷 それは、残念ながら、 まぬがれることはできないんです。 たとえ体重が変わらなかったとしても、 ボディラインは年齢とともに必ず変わる。 それは、筋肉の影響も大きくて、 年齢を重ねると筋力が落ちていくので 自然とバストポイントやヒップラインが、 どんどんどんどん下がっていくんです。
ジャンボ どんどん、どんどん‥‥(低音)
さゆり 言い方が怖い(笑)。
惠谷 二の腕あたりの肉付きも 変わってくると思います。 なので、もしボディラインを キープしたいと思われるのなら、 落ちてきそうなものを支えたり 筋肉を鍛えたりする必要があります。 たとえば、よくバストケアのための ヨガのポーズとかってあるじゃないですか。 あれは、落ちていく筋肉を鍛えることで、 身体の中からコントロールしているんです。 そういう意識の方が増えているので、 がっちり支えなくても デザイン性を意識したナイトブラは すこしずつ出てきているかなと思います。
なつみ でも、胸って筋肉がないですよね?
惠谷 そうなんです。 胸は筋肉ではなく脂肪なので、 合掌ポーズで鍛えたりしますけれど、 あれは胸の上の大胸筋を鍛えているだけ。 胸は、脇近くの筋肉で吊り上げるしかないので、 どうしたって落ちてきます。 この柔らかい部分をどうキープするのか、 そのために登場するのがナイトブラで、 パターンの腕の見せどころでもあります。
ハサウェイ 惠谷さんがいちばん得意なところですね!
惠谷 キープという意味では 胸が適切な位置に固定されるのがいいのですが、 そのためにガッチガチに胸を覆ったものしか これまでなかったんです。 ですが、それは苦しいですよね。
ジャンボ 私はうまく寝られなかったです。 毎日着けられないなら、 意味ないのかなと思いますし。
惠谷 逆にデザイン性に長けていて、 覆う面積が狭かったりすると、 それはエクササイズをすること前提で つくっていらっしゃるのかもしれません。 じゃあ、つきのみせらしいナイトブラ ってなんだろう、という話を みなさんとさせていただきました。 まず、第一に肌ざわりのよさ。
さゆり 肌にあたる素材がストレスフリー、 というのはつきのみせが ずっと大事にしてきていることです。
惠谷 あとは、身につけたときの素敵さ。 それでいて、胸の形を支えるという、 相反したものをデザインにして 提案をさせていただきました。 なので、見た感じは華奢に見えるのですが、 実は胸を支えてくれる構造が 随所に入っているんです。
(つづきます。)