「undose」(ウントエーゼ)のバッグは、
一点一点すべて、木曽総子さん嘉子さん姉妹の、
手づくりの作品です。
おふたりが創作する上で大切にしているのは、
つねに、「自分たちがほしいものをつくること」。
このバッグも、2003年に製作開始して以来、
実際に自分たちでいろんな形のバッグを使いながら、
少しずつ形を変えていき、
徐々にいまの形ができあがっていったそうです。
このバッグは、
「偶然に生まれたもの」と、あえてつくる「味」、
この一見対照的な二つの要素が
バランスよく組み合わさっています。
おふたりのセンスや
「こうなっていたらいいのになあ」という工夫が、
随所にほどこされた、「作品」なのです。
「undose」のバッグは、
何枚もある革を1枚1枚重ね、
ピッチの太い糸で縫い合わせて、
それぞれの大きさのバッグの形につくっていきます。
「もともと、わたしたちが、
革でかっこいいと思う場所は、
端の切りっぱなしの部分や
本来使われないようなキズのある部位でした。
革が、そのまま1枚置いてあるだけで
かっこいいですし、
1枚1枚重ね合わせて
それがバッグの形になっていたら
かっこいいなと思ったのが
このバッグをつくりはじめたきっかけです。」
(木曽総子さん、嘉子さん)
このバッグは、切りっぱなしの部分や
それぞれの革が生まれながらに持つキズなどの特徴を
そのまま活かしているので、
使う革によって、形やデザインが異なります。
まったく同じものは二度とつくれない、
まさしく“一点もの”です。
ちなみに、それぞれの革が持つ形やキズを
そのまま活かしたデザインは、
革製品だからと言って、きれいに使うのではなく、
ラフに使ってほしいという、
おふたりの気持ちの表れでもあります。
このバッグのデザインの特徴である、
いろんな色の革の組み合わせは、
おふたりが、
「革だからといってハードになりすぎないように」
と心がけて、きれいな配色をえらんでいます。
白いTシャツや無地系の、
ちょっと抑え気味の洋服を着た人が
このバッグを持っていたら、アクセントになって
かなりおしゃれなのではないでしょうか。
実際、おふたりも、無地の洋服を着て、
このバッグをアクセントにしていることが
多いそうですよ。
表面のプリントは、シルクプリントです。
最初、プリントを刷っていたときに、
かすれてしまった失敗作を見て、
「かすれているのが、かえってよかった」ので、
“かすれプリント”にすることにしたそうです。
革の表面のキズの程度によって
微妙にプリントのかすれ具合も異なるので、
プリントも、同じものは二度とできない、
一点ものです。
「実際にバッグを肩からかけたり、
持ってみたりして、
“プリントがここにあったらいいな”
と思うところにプリントを刷っています。
ただ、それだけだと面白くないので、
プリントを載せることで、
さらに、革の切れ端の形やキズが活きるように
心がけて、プリントを刷っています。」
(木曽総子さん、嘉子さん)
「undose」とはドイツ語で、
「und」が英語のand、
「ose」は鳩目(ハトメ)(はとめ)という意味です。
総子さんと嘉子さんのおふたりは子供のころから
鳩目(ハトメ)、クギ、ボルトなどの金具類が大好きで、
近くの工場や工事現場から
拾ってきたりしていたそうです。
自分たちでバッグや箱をつくるようになってからも、
気づいたら、ほとんどすべてのものに、
鳩目(ハトメ)やカシメといった金具を使っていたそうです。
鳩目(ハトメ)やカシメは、デザイン的にも革との相性がよく、
かっこよくするのもさることながら、
バッグを丈夫にするという大事な役割も
果たしています。
ここで使用している鳩目(ハトメ)やカシメは、
あらかじめ少し錆びさせて、
何年も使い込んだような味わいを出しています。
もうひとつ、味わいを出すために工夫しているのは、
革ヒモです。
革ヒモに、革用の黒のクリームをしみこませて、
少しよごします。
「ツヤを出すためのクリームではなく、
ためしに、しみこむタイプのクリームを
表面に塗ってみたら、
そんなに黒くならずに、味が出てよかったので、
それ以来、この方法を採用しています。」
(木曽総子さん、嘉子さん)
バッグの内側の布は、帆布を使用しています。
買ってきたままの帆布ですと<
真っ白いので、紅茶の葉っぱを煮て
その中に帆布を入れて色をつけています。
「帆布は、丈夫さと質感からえらびました。
帆布の色は、真っ白ではなく、
色がうっすらついていたらいいな
と思っていました。
ただ、染料を使うとしっかり色がつきすぎるので、
身近にあるもので、ためしてみて、
紅茶の色がやさしい色合いでよかったので
紅茶で染めるようになりました。」
(木曽総子さん、嘉子さん)
バッグについているタグは、
油絵のキャンバス地を使っています。
キャンバス地をじゃぶじゃぶ手で洗って、
そのまま乾かしているので、
シュリンクして、ダメージ風の味わいが出ています。