糸井 |
深い眠りだけでなく、
浅い眠りである「レム睡眠」がなければ、
「満足のいく眠り」は、得られない。
たしかに、風邪薬を飲んだときなんか
目覚めの感覚からすると
「損した」ような気になること、ありますね。 |
高橋 |
それは「浅いノンレム睡眠」が
ずっと続いていたから。
実際には8時間くらい眠ったとしても、
レム睡眠が少ないから、
よく眠れたとは、とても思えないんです。
そして、ノンレム睡眠が深いところまでいかないと、
レム睡眠は、きれいに出てこないことがわかっています。
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糸井 |
そうか‥‥睡眠薬や風邪薬なんかの場合は
「ノンレム睡眠が浅い」から、
つまり、深い眠りがないから、
レム睡眠が訪れず、満足感が得られない‥‥と。 |
高橋 |
ややこしいですが、そういうことです。 |
糸井 |
やはり、「満足のいく眠り」には
ノンレム睡眠とレム睡眠が
健康的なパターンで繰り返されることが
重要だということですね。 |
高橋 |
そもそも、ノンレム睡眠は
高等生物が、複雑な脳を休めるための深い眠り。
他方で、レム睡眠というのは
基本的には、身体を休めるための浅い眠りで、
身体は金縛りになったように、動かせなくなります。
そのとき、脳は活発に活動しているので、
昔は、「逆説睡眠」なんて呼んでいましたが。 |
糸井 |
ふん、ふん。
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高橋 |
でも、睡眠による「脳の休息」ということを
よくよく調べると、さらにパラドキシカルでして‥‥。 |
糸井 |
逆説の逆説? |
高橋 |
わたしたちが起きているときっていうのは、
ある種の「制約」を受けているんですね。
じつは、自由気ままに動いているわけではなくて、
脳のいろんな部位が働いていて、
それらがお互いに作用しながら、何かをしているんです。
おもしろくないと思っていても
さも、おもしろいかのような顔をするとか‥‥。 |
糸井 |
つまり、すごく苦労をしながら生きている(笑)。 |
高橋 |
ええ、なすがまま、自由にやってるわけじゃない。
で、「脳よ、もっと自由に動きたまえよ」という
役割をになっているのが
どうやら「レム睡眠」らしいぞ、ってことが
このごろ、言われだしたんですよ。
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糸井 |
ははぁ‥‥夢なんか、
それこそ「自由に」見てるわけですもんね。 |
高橋 |
ええ、そのとおりです。
で、レム睡眠のあとっていうのは、
睡眠全体からみると「覚醒度」が上がっていますから、
目覚めることが、けっこうあるんですよ。
で、その時点で起きると、
比較的、目覚めが不快でないことがわかっています。 |
糸井 |
じゃ、レム睡眠のときに、起きればいいんだ。 |
高橋 |
ええ、レム睡眠が続いたかたちで覚醒すると
非常に快適に起きられるんです。
また、レム睡眠のときには
かならず夢を見ているだろうっていうのが
通説になってきていますね、今。
だから、レム睡眠の直後に目が覚めると、
夢として、起きた後も覚えているんです。 |
糸井 |
ああ、なるほど‥‥。 |
高橋 |
でも、そこで目覚めずに
ふたたびノンレム睡眠に入っちゃうと、
見ていたはずの夢のことは、もう覚えていない。 |
糸井 |
つまり、眠りというのは「二層」に別れていて、
上層のレム睡眠で、夢を見ているんですね。 |
高橋 |
レム睡眠時の脳波をとってみると、
まるで「起きている」かのようなパターンなんです。 |
糸井 |
ああ、それで「逆説睡眠」。なるほどなぁ‥‥。
<つづきます>
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