糸井 |
最近、何十代のときどうでしたか、と
訊かれることばっかりだなぁ。
いやぁ、年齢を感じます。 |
鈴木 |
でも、それを訊きたい人であるってことが
すごいことですよ。 |
糸井 |
今日は鈴木さんと
いったい何の話をしに集まったんだか
わかんないけど(笑)、
お互いテレビが好きで、
テレビに出てる人の話が
充分できて、うれしかったです。 |
鈴木 |
はい。 |
糸井 |
鈴木さんはこの先も
たぶん何年かは
放送作家をやっていくんですよね。 |
鈴木 |
やっていきます。 |
糸井 |
うん。
テレビを助けてあげてください。 |
鈴木 |
はい。
‥‥と、ぼくは思っているんですけどね。 |
糸井 |
ぼく、大好きですから、テレビ。 |
鈴木 |
テレビに対して批判的な人も多いけど、
それは単純に、
批判を言うツールが
増えてしまったからだと思います。
文句はみんな、
昔っから言ってたと思うんですよ。 |
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糸井 |
ああ、なるほど。 |
鈴木 |
ツールが異常に発達したから、
そういう行為も多いのかなと思うんです。
欽ちゃん(萩本欽一さん)が
「欽どこ」(「欽ちゃんのどこまでやるの!?」)
をはじめるとき、
夜9時の時間帯に
バラエティ番組がなかったそうです。
そう考えると、
いま、純粋にバラエティーの数が多いんだろう、
ということがわかります。
多すぎると、文句を言われる対象になりますから。 |
糸井 |
しかも、バラエティがどんどん
ドキュメンタリーになってるでしょう。
鈴木さんの『ブスの瞳に恋してる』も
自分のドキュメンタリー化だし、
芸人さんたちが
普段の生活で何をしてるか、という
ドキュメンタリーを語ることが
バラエティーになっています。 |
鈴木 |
そうですね、多いですね。 |
糸井 |
だから、言いようによっては
出演者たちが、生活と命、全部かけて
番組を成立させてるとも言えます。
フィクションもいいけど
一緒に知らないものを見ていくという番組を
やっぱり作りたくなっていくんでしょう。
それは寿命も短くなるよ、ということは
よーくわかります。
その振り幅をどうしていくかが
これからの道かもしれません。 |
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鈴木 |
うーん、そうですね。 |
糸井 |
鈴木さん自身が
『キミハ・ブレイク』で
スタジオに、放送作家として座られました。
あれは、ひとつの過渡期だと思います。
これからはおそらくプロデューサーが
あの場所に座るようになると思うんですよ。
どういう意図で番組をやってるのか、
いちばん知ってるのはプロデューサーだからです。 |
鈴木 |
実は、あの番組のプロデューサーに
最初に言われたことが、まさに、
「ぼくの代わりに座ってください」
ということでした。 |
糸井 |
ああ、そうなんですか。 |
鈴木 |
「ほんとだったら、ぼくが座りたいんですよ。
ぼくの代わりに座ってください。
そういう理由で、タレントさんじゃ
ダメなんです」
と言われました。 |
糸井 |
そのとおりだと思います。
ハリウッド映画でも
Jブラッケンハイマーみたいなプロデューサーが
いまは人を集められますよね。
テレビはもっとそうなると思います。
ディレクター感覚で言う
「ものづくり」ではなく、
システムまで構築することが
「ものづくり」になりますから。 |
鈴木 |
いま、農作物も
誰が作ってるのか見える
時代になってますよね。 |
糸井 |
そうですね。 |
鈴木 |
テレビって、ぼくらが思ってる以上に
「作り手」で見る時期が、
いよいよ来てるんだと思います。 |
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糸井 |
そうなりますよ。 |
鈴木 |
映画は、もちろんもともとそうですし、
日本の映画もどんどんそうなっていますが、
そういう意味では、ぼくは、
三谷幸喜さんがすごいなと思っています。
「作り手でテレビを見る」という空気を
作った人だなと思います。
宮藤さんもそうです。
銘柄で見るということは、
テレビは、実はいちばん
遠かったと思うんですが、
そういう時代になってくるのかなぁ。 |
糸井 |
うん。
こうしてぼくと鈴木さんが話してることは、
結局ネットで出すしかありません。
人数限られてるけど、ネット上に、
おもしろいと思ってくれる人がいる。
ほんとうはもう、テレビもそのくらいまで、
やっちゃっていいと思うんですよね。
テレビって、時間の不動産価値が高すぎるから、
いまはやっかいなんだけど、
いろんなやり方があると思う。
昼も夜も関係ない、
アンダーグラウンドなものでもない。
「ああ、この時間に
こういうことやってるんだぁ」
ということだって、何だってある。
これまで稼ぎすぎたんだ、
ということだって言えるよね。 |
鈴木 |
いままで稼ぎすぎた、
たぶんそうなんでしょうね。
放送開始から60年くらいで。 |
糸井 |
いちど定年ですね。 |
鈴木 |
おそらく一回、仕切り直しでしょう。
テレビの稼ぎ方がCMであることもそうだし、
そのCM価値も見直していく、
そういう時期に来ている。 |
糸井 |
やりながら探すしかないよね。 |
鈴木 |
そうするしかないです。
なんだか‥‥、今日は自分の中で
いろんなこと整理されていきました。
たのしかったです。 |
糸井 |
人の整理してるときに、
自分の整理もできます。
それはお互いにそうですね。 |
鈴木 |
人から受けた相談とかも、
けっこうそういうふうになってる気がします。 |
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糸井 |
そういう意味でも、奥さんの存在、
ほんとにでかいね。
どうぞ、よろしく伝えてください。 |
鈴木 |
ありがとうございました。 |
糸井 |
ありがとうございました。 |
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(おしまい) |