糸井 | ぜーんぶで幾つになったの、お店のうつわ? |
ほぼ日 | ぜんぶ足していくと 3000個ぐらいの規模です。 |
糸井 | 愉快だね。 |
ほぼ日 | 2000円台から1万5000円台までという 幅広い価格帯です。 |
糸井 | そこが、俺、ものすごく愉快でしょうがない。 |
ほぼ日 | 福森雅武さんがいちばん高くて 1万5750円。 でも毎日使うと思えば、 たとえば1年で割り算しても‥‥。 |
糸井 | 割り算したらえらいことだよね。 逆に「安いから買う」っていう人が俺、 初めて混じるような気がしてね。 うちの商品てそう言われたこと、 1回もないんですよ。 だけど、こういう企画のときに 初めてそれが出るような気がしてね。 |
ほぼ日 | 企画のいちばん最初は、 糸井さんの価格設定、 もっと高かったんですよ。 |
糸井 | そんなことしなくてもいいって、分かったんだ。 数作ればいいって分かったんで、 ほっと一安心。 彫刻の石原さんは幾らですか? |
ほぼ日 | 若干やっぱり手間がかかってる分、 お高くなるんですが、 湯のみで3150円、 ごはん茶わんで4200円です。 |
糸井 | そうですか。 もしかしたら労働量以下になってる可能性があるね。 今の時代、やっぱり冷や飯食わされてますよ。 好きでなきゃしょうがないってひと言なんですよね。 |
円さん | そういうことだと思ってます。 |
糸井 | この人(道歩さん)は すぐ作ったですよ。 |
道歩さん | (笑)すぐはつくりましたけど、 いっぱい考えたんですよー。 |
糸井 | そうでしょうね。 |
道歩さん | いっぱいテストしたん。 |
円さん | しました、してました。 |
ほぼ日 | 「これはちがいますね」 って言ったのもいっぱいありました。 |
糸井 | もちろん、そうに決まってます。 |
道歩さん | ありがとうございます。 |
糸井 | 2年はかからなかったけれど、 それなりの時間はかかりましたね。 もし、食うに困ってて、 それで飯食ってく、 って言ったら、できてますよね。 |
道歩さん | できてますね。 そうなんです、 そこをいつも考えるんですよ。 |
糸井 | そこ、面白いとこですよね。 |
道歩さん | はい、そこってね、全然違う。 |
糸井 | それに追われちゃいけないんだけど、 それがないってやっぱり何か 宙ぶらりんな気がしますよね。 「俺は小説を書くんだ」って言いながら 死ぬ人、いるからね。 いつか小説を書きたいんだよって言いながら 他の仕事をして、死ぬ人は山ほどいる。 |
道歩さん | ああ‥‥。 |
糸井 | そういうものじゃあだめなんだよなあ。 ほんとにお父さんが考えた通りに 土楽を進めてたら、みんな、 今、何してたか分かんないよね。 |
道歩さん | 何してたか、分からん、ねえ。 |
糸井 | 道歩、何してたんだろうね。 |
道歩さん | ま、料理してるかな、どっかで。 あるいはお寺行ってるかもしれない。 |
糸井 | お父さんはだから、 そういうことを考えるのは 自分の仕事じゃないと思ってたから。 でもこれで作る気になったんだったら、 よかったよね。 |
ほぼ日 | ビックリしました。 お茶わん、ひきだしたとき、目の前で。 |
道歩さん | そうでしょう? |
糸井 | 目の前で? |
ほぼ日 | 動画を撮らせてくださいとお願いしたら、 ならこれ用のお茶わんをひくって、 目の前でろくろに向かわれたんです。 |
道歩さん | ね。 |
糸井 | いま、登り窯を焚くと おっしゃっているんですってね。 |
道歩さん | そうなんです! 困ってるんです。 |
糸井 | 困ってるんだ(笑)。 |
ほぼ日 | 何かものすごく燃えておられて、 まわりのみんなが もうやめてくださいっていうぐらい ろくろを引いているとか。 |
糸井 | 「私が窯だ!」とか言ってる? |
道歩 | はい(笑)。 |
糸井 | それはそれで困るんですか? |
道歩さん | 個展の日程は決まっているわけなので 急いで窯に詰めて焼かんといけないのに、 その時間も取ってくれなくて ろくろに向かっているんです。 |
糸井 | あ、どんどん、ひいちゃって! |
道歩さん | もうすぐ火が入るっていうのに 乾かないんじゃないかっていうくらい。 |
円さん | こんな(と、両手をひろげる) 大きいの、作り始めてましたよ。 |
ほぼ日 | うわぁ。 |
糸井 | 何か、要するに、 「のった」んですか? |
道歩さん | 「のり」ましたね。 これから2度、 1週間ずつ窯焚きせなあかんのに。 |
糸井 | おおむね、「いいこと」ですよね? |
道歩さん | いいことなんですけれど、 「もう2週間早かったら!」 と思います。 |
糸井 | でも、そういう悩みがないのも困るでしょ。 |
道歩さん | そうですね、もちろんそうですよね、本当に。 |
円さん | (笑)。 |
糸井 | お父さんどこ行ったのかな、なんてのより。 |
道歩さん | いや、その心配も本当にあるんです。 今、ちょっと、船の上ちゃうか、 どこの国におるんや、とか、 そういうの、よくありますからね。 |
糸井 | いっしょに旅をする仲間がいるからね。 |
道歩さん | よう行くんですわ、これがまた。 ほんまに大好きです。困ったもんです。 |
(座談会は、これでおわりです。 このあと、参加してくださった作家のみなさんを 順番に紹介してゆくコンテンツがはじまります。 どうぞ、おたのしみに!) |
2011-02-15-TUE |
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