糸井 | 大橋さん、伊藤さん、 お越しくださって嬉しいです。 どうぞよろしくおねがいします。 |
大橋 | お声掛けいただいてありがとうございます。 よろしくおねがいします。 |
伊藤 | 糸井さんはじめまして、 よろしくおねがいします。 お役に立てれば。 |
ほぼ日 | きょうはおふたりに あたらしい「やさしいタオル」のための アドバイスをいただきたくて、 おいでいただいたのですが、 そもそもどうして 「やさしいタオル」ができたのかを、 かんたんにお話しさせてください。 |
大橋&伊藤 | はい。 |
ほぼ日 | 最初は「お気に入りのタオルって、ないね」 「つくりたいね」 というところからはじまりました。 当時の乗組員たちで、 自分が使っているお気に入りのタオルを 持ち寄ろう、というなかに、 片面がガーゼで、片面がパイルという とても風合いのよいタオルがあって。 けれどもそれはもう、15年以上使っていて、 ぼろぼろだったので、銘柄も生産国も、 なにもわからなかったんですね。 そして当時売られている製品でも そういうものは見つからなかった。 でも「これはいい」ということになったんです。 それで専門家のかたに相談し、 ガーゼを織りながらパイルを織って、 一枚に仕立てていく織機をもっている タオル工場を、みつけたんです。 |
大橋 | パイルとガーゼは ほんらい織機が違いますものね。 |
ほぼ日 | はい。それが四国の 今治っていうタオルの産地の、 古い工場に、あったんです。 |
大橋 | へぇー! |
ほぼ日 | そんなふうにして始まったのが、 このプロジェクトでした。 思い付いてから、 じっさいの製品開発スタートまでに 3年かかっています。 ちなみに「やさしいタオル」は ・肌触りがよいこと。 ・吸湿性がよいこと。 ・使ってるうちに古びないこと。 ・洗いやすいこと。 ・乾きやすいこと。 という条件を満たすタオルをということで、 どんな綿を使おうだとか、 最後の洗いをどうしようということまで 工場と相談しながらつくってきたんです。 |
伊藤 | そうだったんですね。 |
ほぼ日 | ハイ。長年、そうやって作ってきて、 その品質に疑問はなかったのですけれど、 もっと多くの人に届けたいであるとか、 デザインの自由度などをふくめて、 「もっと、よくしたい」と考え、 生産・販売を半年間お休みをして 生産規模の大きなあたらしい工場を探しながら もういちど綿糸や織りの研究をしてきました。 そして同じ四国の今治で、 ガーゼとパイルの二重織りができる 工場を見つけたんです。 糸も、スーピマコットンで、かつ、 もっとやわらかいものを見つけました。 |
伊藤 | なるほどー。 |
ほぼ日 | と、そこまでは、自分たちで進めてきました。 そして並行して、 「さあデザインだ」っていうところで、 「ほんとうに欲しいタオルってなんだろう?」 っていうことを考えたくて、 大橋さんと伊藤さんに お声掛けさせていただいたんです。 最初、大橋さんにお願いし、 大橋さんから伊藤さんをご推薦いただいて、 こうしてお目にかかることができました。 |
伊藤 | どうもありがとうございます。 |
ほぼ日 | おふたりは、仕事をしながらも、 おうちのことをすごくしっかり やってらっしゃるという印象があって──。 |
大橋 | (笑)わたしは、どうかしら。 でも伊藤さんはちゃんとしてらっしゃる。 |
伊藤 | いや、とんでもないですよ。 だいじょうぶかな(笑)。 |
ほぼ日 | いえいえ、ぜひご意見ください。 じっさいにタオルをどういうふうに 使ってらっしゃるかとか、 そんなお話を聞かせていただけたらと思います。 このタオルの開発をはじめた2000年頃、 「タオルってもらい物が多いよね」 って話していたんですが、 それから10年ちかく経って、 「タオルは、もらうもの」っていうところから いま、ずいぶん離れている気がするんです。 |
大橋 | うんうんうん。 |
伊藤 | ああ、そういえば。 |
ほぼ日 | で、だけど、もしかして まだもらったタオルを使っている、 でもそろそろ、買い換えたいと思ってる、 みたいな時期じゃないかなって 想像してたんですけど、 伊藤さんや大橋さんは どうしていらっしゃいますか。 |
伊藤 | うちは、私がスタイリストをしてるので、 くださるかたが、緊張するみたいで。 |
糸井 | そうだ(笑)。 |
大橋 | ああ! |
伊藤 | あまりいただき物のタオルとかは ないんですけれども、 実家では頂き物の ナントカ商店とか入ってるのが いっぱいあって、 72歳になる母が、 いまだにそれを使っているんですね。 それで、母の口癖が、 「ああ、もういつか、 真っ白で揃えたいわ!」。 ホテルのように真っ白にしたいと。 私も母の意見がいいなと思っていて、 独立した時、エーイって一番最初に買ったのが 真っ白いタオルだったんですよ。 ホテルみたいなごわごわの。 |
ほぼ日 | ホテルのタオルって、分厚いですよね。 |
伊藤 | そう! |
糸井 | それがよく見えたんですよね、でも。 |
伊藤 | そうなんです。 それで、買ったんですけど、 洗濯するたびにすごく毛羽が出て。 |
糸井 | 出る出る、出る出る。 |
伊藤 | で、出なくなったなと思った頃には‥‥ |
糸井 | 硬くなっちゃう(笑)。 |
伊藤 | そうなんですよ‥‥。 |
ほぼ日 | 痩せちゃいますよね、 やっぱり毛羽が出ると。 |
伊藤 | そう。で、ウーンと思いながらも、 またうっかり同じの買っちゃって、 干す時に、バンバンッてすると、 毛羽が落ちるから、 「洗濯のたびに 掃除機かけなきゃいけないんだなぁ」 っていうのをずっと繰り返しています。 |
糸井 | 厚めのタオルは毛羽が出ますよね。 それがいいんだと思い込んでるから、 自分がそれに合わせちゃう。 |
伊藤 | そうなんですよね。そう。 |
ほぼ日 | じつは「やさしいタオル」を作った時、 軽さっていうことを とても大事に考えたんですけど、 それはタオル業界の流れに逆行していたんです。 |
糸井 | そう。糸を何グラム使ってるかっていうことで 値段が決まるという、 つまり重いタオルが高級タオルなんです。 |
伊藤 | え、そうなんですか。 |
糸井 | 大橋さんとこも、 さすがにもらわないですよね。 |
大橋 | いえ、うち、いただくんですけれども、 いただき物は使わずにとっておいて、 暮れの福祉バザー用にしているんです。 自分の個人的に使ってるのは、 白いタオルです。 もう昔から白なので、その白‥‥実はね、 わたし、ごわごわが好きなんですよ。 |
糸井 | なるほど。 |
大橋 | 柔軟剤はいっさい使わず、 ガリガリっていう肌触りが好きで。 |
糸井 | 垢すりができるぐらいのですか(笑)。 |
大橋 | ええ。拭いてもごわごわごわっていうのを 「ああ、気持ちがいい」というタイプで、 長いこと来たので‥‥うーん、 私のとこはちょっと よそと違うかもしれないな(笑)。 |
伊藤 | あの、私も実は、ごわごわタオル派です。 |
大橋 | あ、そうなんですか。 |
伊藤 | はい。 もう、ごわごわしてればしてるほどうれしい。 |
大橋 | そうなんですよ。 ごわごわが柔らかくなると すぐ洗濯機にポンだから。 |
糸井 | ということは、買ったばっかりよりも 使い込んでからのほうがいいわけですね。 |
大橋 | そう、そうなんです。 |
伊藤 | そうですね。 |
糸井 | そうか、いきなり、よわったね、 「ごわごわがいい」っていう話だ! |
「やさしいタオル」と「ごわごわタオル」は もうまったく別のもの! 大橋さんと伊藤さんのご意見に、 タオルチーム一同、頭がぐるぐるしているところで、 次回につづきます。 |