伊藤 | これ‥‥バスタオルじゃないですよね。 |
糸井 | うん? バスタオルですよ。 |
伊藤 | バスタオル! こうやってたたんで置いてあるのを見たら、 私が使ってるフェイスタオルぐらいの かさなんですよ。 だから「えっ?!」と思って‥‥。 |
ほぼ日 | 厚さが違うんでしょうね。 |
伊藤 | そうそうそう、うん。 |
糸井 | その、バルキーな(分厚い、かさばった、 ごわごわした)タオルに 憧れた時代がやっぱりぼくもありますよ。 もこっとしてるのが豊かさのシンボルで。 たとえば今でもぼく、外国に行った時の 分厚いバスローブって大好きですよ。 でも、大橋さんと伊藤さんは、 おうちでも、真っ白でごわごわの 分厚いタオルがお好きなんですね。 |
大橋 | ええ。ただ、 あまりにも洗濯回数が頻繁なので、 へりのところがやっぱり‥‥ |
糸井 | ダメになってくる? |
大橋 | そう、ダメになってきてしまうんです。 わたしは、ランズエンドで一時売ってた、 分厚くてアメリカっぽーいのを、 これはいいと思っていっぱい買って、 まだ全部使い切れてなくてストックしているんですが、 いざ買おうと思うと、なかなか見つからないんです。 見つかります? |
伊藤 | 私はフランスのコテ・バスティッドと ベルギーのリベコを もう15年ぐらい使ってるんです。 |
大橋 | わたし、そういうところ知らないから(笑)。 |
伊藤 | いや、そんな(笑)。 |
大橋 | スタイリストの人が本や雑誌で 「こういうの使ってます」っていうと、 すぐそこに電話かけて「ありますか?」 ってやってたんですけど、 あまり最近、真っ白いというのを 見聞きしなくなりましたね。 |
伊藤 | そうですね。 コテ・バスティッドは、 最初、都内のセレクトショップで買いました。 それで、フランスに行った時に見つけて、 こっちでは安いじゃんと思って(笑)、 すごくかさばるのに 5枚ぐらい買ってきた覚えが。 |
糸井 | なるほど、なるほど。 そのへんって、何ていうかな、 ルノー5(サンク)とか ルノー4(キャトル)とか、 現地では市場の人が仕事で使ってんだよ、 ってクルマが、 日本ですごくかわいく思えるっていう、 そういうのとちょっと似てますね。 ぼくも乗ってたんですけど。 |
大橋 | あ、そうなんですか! |
糸井 | うん。何だろう‥‥「何でもない」みたいな、 ひょいとそこにあるものみたいなのが選びたい時に、 ヨーロッパの安いものというか、 そういうところのほうが 逆に生活感がフィットするというか。 そうか‥‥お2人ともいわゆるホテルの 「高級・ふわふわ」 というのではないんですね、志向は。 |
大橋 | ごわごわです。 |
伊藤 | わりと業務用っぽいタオルが好きです。 |
ほぼ日 | 骨董通りの先にパラブーツっていう フランスの靴屋さんがあるんですが。 |
大橋 | あ、わかった。先のね。 |
ほぼ日 | はい。そこに冬のブーツが置いてあって、 「これフランスでは 市場で冷凍庫に入る人用に つくられたんですよ」 なんて言われて、 すごくグッと来ちゃって(笑)。 |
大橋 | ああ、なるほど。 |
ほぼ日 | ですからその気分はわかります。 でも、伊藤さんのそのタオルは、 洗ってちゃんと乾く厚さなんですか。 |
伊藤 | そう、そこなんですよ! |
糸井 | おっ(笑)。 |
伊藤 | なかなか乾かないんですよね。 でも、半乾きで使うのは 絶対いやじゃないですか。 |
大橋 | いやですね。 |
伊藤 | ごわごわが好きだから。 |
大橋 | 好きだからね(笑)。 |
伊藤 | (笑)だから、冬は、 オイルヒーターのそばで乾かすんです。 |
ほぼ日 | 弊社にアメリカに長く住んでた女性がいて、 彼女もやっぱり「ごわごわ厚くて重いタオル」が 大好きだったんだけれども、 日本でそれを使ったら乾きが悪くて においがするようになっちゃったそうです。 |
伊藤 | そう、そうなんですよね。 |
ほぼ日 | 子供がいるととくに、 毎日たくさん洗濯しなきゃいけないから、 そんな厚いタオルは 使えなくなってしまったと。 |
大橋 | うん、そうですね。 |
ほぼ日 | そういう意味で 「やさしいタオル」はよかったというふうに。 |
糸井 | 彼女は変更したんですか。 |
ほぼ日 | 変更したそうです。 「待ってました!」って感じだったって。 |
伊藤 | そうなんですね。 |
大橋 | これって、パイルと、ガーゼでしょ? 織り方が違ったら、 どっちかが縮んじゃうと思ったんですけど、 全然そんなことないんですね。 |
糸井 | ないです。 |
ほぼ日 | 大丈夫です。 |
大橋 | すごーい。 |
糸井 | パイルとガーゼを 糸留めしてあるんですよね、細かく。 |
大橋 | その糸留めも、 こうやって引っ張って 外れるわけではないし。 |
糸井 | ものすごく雑に何年も使ってたら、 外れる糸留めがいくつか出てくる 可能性はありますよ。 |
ほぼ日 | でも、普通に使う分には大丈夫です。 |
糸井 | ついぼくらは、柔らかいということとか 軽いってことを言いたくなるんだけれど、 もう一つは吸水性を ものすごく真面目に追求してきました。 けれど今お2人の話を聞いたら、 やっぱり「好み」だから。 |
大橋 | そうですね、ごめんなさいね。 |
伊藤 | そう、そうなんですけど、 私、松本に住んでいるので、 温泉に行くことが多くて。 |
糸井 | あ、そうかそうか、うんうん。 |
伊藤 | それで、温泉に そのごわごわタオルを 持っていってたんですよ。 |
大橋 | 無理じゃない? |
伊藤 | そうなんです。カゴに入らなくて! |
大橋 | あら(笑)。 |
伊藤 | 入るカゴを探すと とても大きくなっちゃって、 これはなんか違う! と思って。 |
糸井 | うんうん。 |
伊藤 | それで、薄いタオル、 MAROBAYAさんっていう、 男の人2人がやっている ブランドがあるんですね。 そこのタオルを買ってみたら、 大判なのに薄くて吸水性もよくて、 「これだ!」と思って、 温泉にはそれで、家ではごわごわ。 使い分けてます。 |
糸井 | ほう(笑)。 |
大橋 | (笑)そういうのってありますよね。 やっぱり用途。 ちょっと旅行に行くとか、 海に行ったらこれぐらい 軽いもののほうがいいとか、 そんなふうに使う場所で 選んでいく気がしますね。 |
「ごわごわ」が好きな伊藤さんも、 温泉に行く時は軽くて吸水性のいいタオルを使う。 大橋さんも、さすがに 旅行には持って行かないとおっしゃる。 それなら、外国の業務用的なよさとはちがう、 「やさしいタオル」をおうちで使うよさを、 もっと知ってもらわなくちゃ! というところで、つづきます。 |