大橋歩さん & 伊藤まさこさんと ほんとうにほしいタオルのはなし。 おまたせしました、「やさしいタオル」再始動です。

その6 「やさしい」+「かわいい」=?
ほぼ日 じつはタオルのチームで、大橋さんにぜひ
タオルをカンバスだと思って
イラストを描いていただけないかと思っていて、
あらかじめそんなお話しをさせていただいたんです。
大橋 ありがとうございます。
実は私、汗拭きには、
ユナイテッドアローズにあった、
ワッフルの濃い色のタオルを使っているんですね。
ブルーのすごい激しい色なんですけど、
それはもう何枚もあって。
それから麻布の「MITATE」という
ショップがあって、
そこには四角くていろんな色の
小さなタオルがあるんですね。
すごくそれもよくて、買っていて。
それでね、きょう伺うのに、
それとはまったく逆のことを考えてきたんです。
「やさしいタオル」に、
ちっちゃな絵のプリントはどうかしらと。
こんな絵なんですけれど。
糸井 え、もうこれは完成品?!
大橋 違うんですよ。ちょっと描いてみたんです。
伊藤 かわいい。
大橋 例えば「四つ葉のクローバー探し」。
三つ葉のなかに、四つ葉のクローバーが
入っているとか。
伊藤 かわいい!
ほぼ日 ああ! かわいい!
大橋 で、これは「うさちゃんのラジオ体操」。
なんだかこどもっぽくって、すみません(笑)。
糸井 とんでもない、大橋さん、
キャーキャー言わせてますよ、女子を。
伊藤 かわいい!
大橋 これは「ぴよぴよぴよぴよ」と
自分で勝手に呼んでいるんですけれど。
伊藤 これもかわいい!
大橋 ほかにも、「ジャムにするイチゴ」とか、
ちゃんとしたラフじゃなくて申し訳ないんですけど、
いままでの「やさしいタオル」にないもの、
と思って、私の中でくっついたのが
こういうことだったんですよ。
糸井 小さい柄。
大橋さん、当たりだと思います。
大橋 いや‥‥
糸井 今までまだ、大橋さんとは
タオルで組んでないんですよね。
ハラマキでいろいろお願いしたじゃないですか。
ハラマキは編み込みですが
タオルはプリントなので、
こまかな線が出るんですよ。
シルクスクリーンと同じ要領で
プリントができるので。
大橋 ああ、なるほど。
糸井 大橋さん、偶然かもしれないけど、
ぼくらが考えた方向、
多分そういうことだと思うんです。
大橋 あ、そうですか、よかった。
こちらを拝見してたので、
もしかすると違うんじゃないと‥‥
そう思っていたものですから。
伊藤 うちの娘は、わたしが無地のタオルばかりなので、
「うちは、何も柄がない」みたいな感じで、
送っていただいた「やさしいタオル」の
柄のあるものをとても喜んでいます。
「学校に持ってく」って。
で、こんどは黒地に白の水玉のタオルを
作ってくれって言ってました(笑)。
糸井 水玉。大橋さんの感じですよね。
大橋 そうですね、白地に黒もいいけど(笑)。
糸井 そうですね。
黒地に白になると、染料の関係で、
白よりも硬く感じちゃうんでしょうね。
濃い色のタオルは、
手触りが、ほんのちょっとだけですが、
損なんです。
大橋 確かにそうですね。
ちょっとごわごわって感じに
なるかもしれないですね。
でも、彼女は黒地に
白の水玉が好きなんだね。
伊藤 はい。それがいいと言ってて。
「白地に黒じゃダメなの?」と言ったら‥‥
大橋 それは違うって?
伊藤 「黒が浮いて見え過ぎるから」と言ってて、
「へぇー」って。
大橋 あ、そうですよね。
糸井 すごいね。
ほぼ日 技術的なことを言いますと
黒地に白ということは、
「捺染」という手法を使うんですが、
それがうまくできるかどうか、
とてもむずかしいかもしれません。
「水玉」ということで言うと、
大橋さんのフリーハンドの水玉って、
すごくかわいいですよね。
大橋 いや、そんな、すみません(笑)。
ほぼ日 じつはチームでも、
水玉案が出ていて、
作るんだったら大橋さんに、
と考えていたんです。
伊藤 うんうんうん!
糸井 いわゆる幾何学模様じゃなくて、
フリーハンドでやってみたいね。
ほぼ日 はい、つくってみたいです。
伊藤 ぜひ。
大橋 あらあら。いいのかしら。
糸井 そういえば、最初にぼくが大橋さんに
頼んだ仕事、ひどいんですよ。
カレンダーの月の数字だけ
書いてくださいっていう仕事。
絵じゃないんです。
そしたら大橋さんが遊んでくれて(笑)。
伊藤 へぇー!
大橋 でも、すごい面白かったんです、それ。
パンやレタスで数字をつくったりね。
ほぼ日 そうでした。
そのパンが、撮影する前に乾いて
形が変わっちゃって。
伊藤 あ、え? え?
描いたのではなくて‥‥
ほぼ日 大橋さんが、パンを切ったんです。
伊藤 あ、そうなんですか!
ほぼ日 切り絵、貼り絵、
12か月全然違う表現でした。
大橋 あれはすごく楽しかった!
糸井 ああいう、デザイナーに作れない何か、
イラストレーターしか持ってない何かがあって。
ぼくらも頼むのに、絵じゃないし、
悪いかなっていうのもあったんですけど、
でも、あれで最初に一緒にできたおかげで、
いろんなことが逆に広がれたんですよね。
そうか──だいぶわかってきました。
「こうじゃなきゃいやです」
っていうのを全部聞いてたら、
できっこないんですよね。
「もっといいの見つけました」
みたいなことを言われると、
ドキドキしちゃうんですよ。
大橋 うんうんうん。
糸井 じゃあ自分たちはどうするんだってことを
やっぱり問いかけられてるわけだから、
最後は自分たちが一所懸命考えるしかない。
さっき水を吸い込むのを見てくださって
面白がってもらったわけだから‥‥
伊藤 うん! あれはもう!
大橋 あれはものすごかった!
糸井 「これで白だったらいいわ」
と言ってもらえるように。
ほぼ日 はい。いま、こちらでは、
あたらしい糸の縒りの強さを
調整しているところなんです。
あたらしい「やさしいタオル」を
もっとやわらかくしたいいっぽうで、
縒りをあまくすると、弱くもなる。
そのぎりぎりのところを
さぐっているんです。

「やさしいタオル」の「やさしい」のところを
大橋歩さんにたくしてみたら、
どんなふうになるだろう、と考えていました。
「白」とはまた別の「かわいい」、
そして「あたたかい」ものができるかも?
次回に、つづきます。
2010-10-11-MON

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