ほぼ日 | じつはタオルのチームで、大橋さんにぜひ タオルをカンバスだと思って イラストを描いていただけないかと思っていて、 あらかじめそんなお話しをさせていただいたんです。 |
大橋 | ありがとうございます。 実は私、汗拭きには、 ユナイテッドアローズにあった、 ワッフルの濃い色のタオルを使っているんですね。 ブルーのすごい激しい色なんですけど、 それはもう何枚もあって。 それから麻布の「MITATE」という ショップがあって、 そこには四角くていろんな色の 小さなタオルがあるんですね。 すごくそれもよくて、買っていて。 それでね、きょう伺うのに、 それとはまったく逆のことを考えてきたんです。 「やさしいタオル」に、 ちっちゃな絵のプリントはどうかしらと。 こんな絵なんですけれど。 |
糸井 | え、もうこれは完成品?! |
大橋 | 違うんですよ。ちょっと描いてみたんです。 |
伊藤 | かわいい。 |
大橋 | 例えば「四つ葉のクローバー探し」。 三つ葉のなかに、四つ葉のクローバーが 入っているとか。 |
伊藤 | かわいい! |
ほぼ日 | ああ! かわいい! |
大橋 | で、これは「うさちゃんのラジオ体操」。 なんだかこどもっぽくって、すみません(笑)。 |
糸井 | とんでもない、大橋さん、 キャーキャー言わせてますよ、女子を。 |
伊藤 | かわいい! |
大橋 | これは「ぴよぴよぴよぴよ」と 自分で勝手に呼んでいるんですけれど。 |
伊藤 | これもかわいい! |
大橋 | ほかにも、「ジャムにするイチゴ」とか、 ちゃんとしたラフじゃなくて申し訳ないんですけど、 いままでの「やさしいタオル」にないもの、 と思って、私の中でくっついたのが こういうことだったんですよ。 |
糸井 | 小さい柄。 大橋さん、当たりだと思います。 |
大橋 | いや‥‥ |
糸井 | 今までまだ、大橋さんとは タオルで組んでないんですよね。 ハラマキでいろいろお願いしたじゃないですか。 ハラマキは編み込みですが タオルはプリントなので、 こまかな線が出るんですよ。 シルクスクリーンと同じ要領で プリントができるので。 |
大橋 | ああ、なるほど。 |
糸井 | 大橋さん、偶然かもしれないけど、 ぼくらが考えた方向、 多分そういうことだと思うんです。 |
大橋 | あ、そうですか、よかった。 こちらを拝見してたので、 もしかすると違うんじゃないと‥‥ そう思っていたものですから。 |
伊藤 | うちの娘は、わたしが無地のタオルばかりなので、 「うちは、何も柄がない」みたいな感じで、 送っていただいた「やさしいタオル」の 柄のあるものをとても喜んでいます。 「学校に持ってく」って。 で、こんどは黒地に白の水玉のタオルを 作ってくれって言ってました(笑)。 |
糸井 | 水玉。大橋さんの感じですよね。 |
大橋 | そうですね、白地に黒もいいけど(笑)。 |
糸井 | そうですね。 黒地に白になると、染料の関係で、 白よりも硬く感じちゃうんでしょうね。 濃い色のタオルは、 手触りが、ほんのちょっとだけですが、 損なんです。 |
大橋 | 確かにそうですね。 ちょっとごわごわって感じに なるかもしれないですね。 でも、彼女は黒地に 白の水玉が好きなんだね。 |
伊藤 | はい。それがいいと言ってて。 「白地に黒じゃダメなの?」と言ったら‥‥ |
大橋 | それは違うって? |
伊藤 | 「黒が浮いて見え過ぎるから」と言ってて、 「へぇー」って。 |
大橋 | あ、そうですよね。 |
糸井 | すごいね。 |
ほぼ日 | 技術的なことを言いますと 黒地に白ということは、 「捺染」という手法を使うんですが、 それがうまくできるかどうか、 とてもむずかしいかもしれません。 「水玉」ということで言うと、 大橋さんのフリーハンドの水玉って、 すごくかわいいですよね。 |
大橋 | いや、そんな、すみません(笑)。 |
ほぼ日 | じつはチームでも、 水玉案が出ていて、 作るんだったら大橋さんに、 と考えていたんです。 |
伊藤 | うんうんうん! |
糸井 | いわゆる幾何学模様じゃなくて、 フリーハンドでやってみたいね。 |
ほぼ日 | はい、つくってみたいです。 |
伊藤 | ぜひ。 |
大橋 | あらあら。いいのかしら。 |
糸井 | そういえば、最初にぼくが大橋さんに 頼んだ仕事、ひどいんですよ。 カレンダーの月の数字だけ 書いてくださいっていう仕事。 絵じゃないんです。 そしたら大橋さんが遊んでくれて(笑)。 |
伊藤 | へぇー! |
大橋 | でも、すごい面白かったんです、それ。 パンやレタスで数字をつくったりね。 |
ほぼ日 | そうでした。 そのパンが、撮影する前に乾いて 形が変わっちゃって。 |
伊藤 | あ、え? え? 描いたのではなくて‥‥ |
ほぼ日 | 大橋さんが、パンを切ったんです。 |
伊藤 | あ、そうなんですか! |
ほぼ日 | 切り絵、貼り絵、 12か月全然違う表現でした。 |
大橋 | あれはすごく楽しかった! |
糸井 | ああいう、デザイナーに作れない何か、 イラストレーターしか持ってない何かがあって。 ぼくらも頼むのに、絵じゃないし、 悪いかなっていうのもあったんですけど、 でも、あれで最初に一緒にできたおかげで、 いろんなことが逆に広がれたんですよね。 そうか──だいぶわかってきました。 「こうじゃなきゃいやです」 っていうのを全部聞いてたら、 できっこないんですよね。 「もっといいの見つけました」 みたいなことを言われると、 ドキドキしちゃうんですよ。 |
大橋 | うんうんうん。 |
糸井 | じゃあ自分たちはどうするんだってことを やっぱり問いかけられてるわけだから、 最後は自分たちが一所懸命考えるしかない。 さっき水を吸い込むのを見てくださって 面白がってもらったわけだから‥‥ |
伊藤 | うん! あれはもう! |
大橋 | あれはものすごかった! |
糸井 | 「これで白だったらいいわ」 と言ってもらえるように。 |
ほぼ日 | はい。いま、こちらでは、 あたらしい糸の縒りの強さを 調整しているところなんです。 あたらしい「やさしいタオル」を もっとやわらかくしたいいっぽうで、 縒りをあまくすると、弱くもなる。 そのぎりぎりのところを さぐっているんです。 |
「やさしいタオル」の「やさしい」のところを 大橋歩さんにたくしてみたら、 どんなふうになるだろう、と考えていました。 「白」とはまた別の「かわいい」、 そして「あたたかい」ものができるかも? 次回に、つづきます。 |