タモリ先生の午後2006。
去年と今年と、昭和と平成。
第7回 ネエ、アソンデカナイ?
昭和33年は、
東京タワーができて、
長嶋茂雄が巨人軍に入団して、
売春防止法があって……

売春防止法は
昭和33年3月31日なんですよ。
あぁ、そうだそうだ。
中学1年のときが33年だから。

ちょうどそのころ、
家に女の人が何か売りにきて、
ばあさんに
何を売りに来たか訊ねたら、
「赤線が廃止になって、
 そこで働いていた人が失業して
 こういう仕事に変わったんだ」

あれは強烈におぼえています。
「赤線って何だろう?」と。
そうそう。
知らないけど、
知りたいものですよね。
その1年後の
中学2年の時には
教室の廊下側の窓を開けて、
廊下を通るやつらに

「ネェ、ヨッテカナイ?」

「ネェ、アソンデカナイ?」

と、ずーっと、
言ってたヤツがいたんです。
(笑)
バカみたいな声なんだけど、
ずーっとくりかえしてるの。

「おまえ、何をしてるんだ?」と。
……オレも、ちょっと、やってみたくて。
(笑)興味はあったんだ。
そいつの話をきいて、
「あぁ、そういうことか」
と、やっとわかった。
つまり、昭和33年よりも前は、
子どもの目には隠されていたけども
売春が防止されていなかったんですよね。
そうですよ。もう公認ですよね。
麻薬も、売ってたんですからね。

麻薬やっても、
何にもつかまんない。
薬局いって、
「あ、すみませーん、
 ヒロポンください」
と言えばくれるんだからね。
学校で見た映画の中に
「ヒロポンはやめましょう」
という映像が入ってましたもんね。

「わかんないけど、
 ヒロポンはよくないんだなぁ」
と思っていたけど、
あとになってから、
役者さんの回顧録とかを読むと、
「みんな、ヒロポンして、がんばってた」
とか書いてあったりして。
そうそう。
戦後のつらさをまぎらわすために
発売されたんですよね。
ベトナム戦争における
マリファナみたいなもんか。
誰かから聞いたんだけど、
ヒロポンを打つ場所では、
上からゴムで注射器がぶらさがっていて、
「なんで、上からぶらさがってるんですか」
ときいたら、「見てりゃわかる」と。
見ていたら、打ったとたんに人が倒れこむ。

注射針が落ちて割れるとあぶないから、
ぶらさげていたという……。
しかも、家庭では大便と共存していた。
ウンコ、見えるところにありましたね。
家にはウンコがあり、
町には売春があり、
ちょっといりくんだところにいけば
ヒロポンがあって。
明日に、続きます

2006-01-23-MON