タモリ先生の午後2006。
去年と今年と、昭和と平成。
第11回 ヘンタイには、たのしい時代
『三丁目の夕日』もそうだけど、
今、昭和がブームになっていますよね。

「なんで昭和がブームになるのかねぇ」
と話していたら、知りあいが
「……平成になったからじゃないの?」
たしかに、そうですよね。
ほんとに平成になっちゃったんでしょうね。
平成2年や平成3年ではないですから。
平成の生活は、
ウンコと暮らすわけではないし、
だんだん、
死人を見なくなってきますよね。

「家の中で、おばあさんがこときれた」
ということはなくて、
「病院にかけつけたら……」
とかいうような話になってくる。
家の中から、
死が排除されていくわけです。

昔は、しょっちゅう、そのへんで
のたれ死にしてるやつがいただろうし、
過労の果てに
死んだ馬なんかも転がっていただろうし。

まわりに、死は、
たくさんあったわけで。
いま、ぼくが、
冬の寒さを感じるのは、
「ホームレスの人が
 寒そうにしている姿」ですもの。
 
つまり、もはや、
他人の体を媒体にしないと
寒さがわからないのか? おれは。
そうですね。
いまは、冬の寒さなんて感じない。
ダウン着て、
クルマで、
あったかい場所から
あったかい別の場所まで
動いているかぎりは、
冬であろうと夏であろうと、関係ないから。
「歩いた何歩か」だけ寒いけど、
ほんとは、体が冷えきって
実感するのが、「寒さ」だもんね。
「死」とか「寒さ」とかいう
負の要素は、もう、
物語の中にしかなくなりつつある……。

そうやって、人間がどんどん
バービー人形みたいになってきているわけで。

家の中で、
ジャニーズ事務所の子と
山田優が、一緒に暮らしているようだからね。
そうなると、
まぁ、ヘンタイにとっては
おもしろくなりますけど。
(笑)複雑ですね。
キチッとしてくると、活躍しやすくなる。

あのですね……
家の中にウンコがあった時代には、
スカトロは、少なかったと思うんですよ。
(笑)ありふれてると、価値がなかったんだ。
きちんとしてくると、
何とかそれを崩そうという
ヘンタイが出てくる。

それから、
西洋的なものが、これだけいきわたると、
今度は、
日本的なものが、見直されるんでしょうね。
明日に、続きます

2006-01-27-FRI