みうら |
岡本太郎記念館って、こんなところにあったんだ。
へえぇ、ぜんぜん知らなかった。 |
── |
ここは、TAROが住んでいたところなんですよ。
いまは記念館になって、 作品がたくさん展示されています。
アトリエだったところもみることができます。
じゃあ、2階から行きましょうか‥‥
あれ? みうらさん!
あー、おみやげものですね。
まずは売店をのぞくみうらさん。
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みうら |
うん、そうだよ。
いっぱいあるねー、岡本さんのグッズ。
あ、この「太陽の塔」のキーホルダー、
万博のときに買ったよ、持ってるよ! |
── |
おんなじモノですかね? |
みうら |
キーホルダーの金具が今風になってるよ。
むかしは、カシャン、カシャンって やつだったのになぁ。
ああ、あのおっきい太陽の塔、ほしいな。
ネクタイもあるね、すごいねー。 |
── |
‥‥みうらさん、
みやげものはあとにして、
2階から見て回りましょう。
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みうら |
ハッ、行きましょう行きましょう。
(2階へあがります)
うあああ!!
生々しいですね、原画って。 |
── |
筆の勢いとか、
やっぱり生で見ないと
わかんないですよね。 |
みうら |
すげえ!
エンピツで描いた下絵とか、
見えちゃってるもんな。
あ、これ見てよ。すごいね。
修正しないもんねぇ!
黒い絵の具が垂れているのに。
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みうら |
うーん、‥‥すっごいな。
けっこう荒々しいですね、作品は。 |
── |
みうらさんは、
いわゆる現代アートのようなものって
お描きになるんですか? |
みうら |
描いたことないねえ。
あ、でも、こういう絵って
人と電話してるとき描くじゃん? |
── |
電話してるときに(笑)。はい。 |
みうら |
電話してるときって、
へっんな絵、描くでしょ?
グリグリグリーって。ボールペンで。
でも、ふつうは、電話していないかぎり、
こういう絵って、出てこないよね‥‥。
この人は、電話してないもんね! |
── |
逆に、常に電話してたか、ですね。 |
みうら |
どっかと交信してたのかな(笑)。
あっ「太陽の塔」だ。
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── |
みうらさんの初TARO体験は、
やはり「太陽の塔」ですか? |
みうら |
そうだね、ぼくらの世代はみんな
「太陽の塔」でしょう。
いまでもまだ、万博公園に立ってるし。
俺、たまに見に行くんだよ。
こないだも、行ったんだ。
やっぱり、シンボリックなものだからね、
70年代の象徴ですよね、この塔は。 |
── |
「太陽の塔」は、万博に行ったときに
はじめてごらんになったんですか? |
みうら |
えっとね、俺が小学校高学年くらいのころ、
『少年マガジン』に
巻頭グラビアの連載があったんだよ。
その巻頭グラビアってね、
「未来はこうなる」とか
「出羽三山の即神仏ミイラとは?」とか
とにかく内容が毎回むっちゃくちゃだったんだ。
俺、そのグラビアシリーズの
影響をたぶん、すーごく受けてて(笑)。
そこで、「太陽の塔」が特集してあったの。
とぉーにかく、印象的だった。 |
── |
なるほど。雑誌で、
小学生にとってはわりと
ショッキングなことを取り上げられるページで、
はじめてみた、と。 |
みうら |
俺ね、そこで「太陽の塔」をみたとき、
怪獣だと思ったんだ、やっぱ。
「ウルトラセブン」に出てくる
エレキングってヤツに似てるんだ。
エレキングも白くて、脇腹んとこに
いなずまみたいな模様が入ってるんだよ。
ここのワキのいなずまが、エレキング風。
「太陽の塔」の足下には、
万博当時はお祭り広場ってのがあってさ、
「その広場から顔出してる怪獣、ってイメージで
つくったのかなあ、岡本さん」
って、思ってたけど。
だから岡本さんは
「怪獣好きな人」ってイメージが
すごくあった。 |
── |
怪獣好きな芸術家。 |
みうら |
だって、芸術は
破壊したり創造したりすることだから。
怪獣も、破壊するからね!
で、そうこうするうちにCMで岡本さんに
今度は「爆発だ!」って言われたからさ。
ほら、怪獣はもう、爆発させるから! |
── |
なお、怪獣の人だ、と(笑)! |
みうら |
うん。 |
── |
「太陽の塔」は、当時の大人には
賛否両論だったそうなんですけど。 |
みうら |
でしょ?!
子どもには大ウケだったよ。
子どもにウケたのはね、
「太陽の塔」と、あと「ワコール館」!
「ワコール館」には、
女の下着がいっぱいつってあったのよ。
すーっごいワクワクした、それは!
「ワコール館」と「太陽の塔」はもう、
「要チェキ」っていうことだったよ、
当時から。 |
── |
TAROが「太陽の塔」のデザインを発表したときには、
内部から反対の声もあったといいますが。 |
みうら |
そうなの?
いまとなっては、万博というと、
まず、あれなのにねぇ。
だって、「日本庭園」なんつったって、
覚えてないもの。 |
── |
ですよね。 |
みうら |
世のなかの判断ってのは
やっぱりまちがってたんだ。
ふーん。
なにがいいか、
子どもに投票させりゃあよかったのにね。
だって、子どもが行くんだもん!
俺も小6だったけど、
何回も行ったよ、万博は。 |
── |
かなりお好きだったんですね。 |
みうら |
いや、万博に通ったのは
いろんなパビリオンのスタンプを
集めるのが好きだったからで、
万博自体は、あーんま、好きなことなかったな。 |
── |
あら、急に。
そうなんですか、
あまりお好きではなかった。 |
みうら |
「太陽の塔」と「ワコール館」、
それから「せんい館」は
横尾忠則さんがつくったことを
あとで知ったんだけど、
その3つ以外は
あんまり好きじゃなかったなあ。
なにしろ人がいっぱいでね。
万博を好きな人っていうのは、
ほら、バーゲンを好きな人でしょ。 |
── |
流行りものを追いかける、というか。
見ておかないと遅れてしまうというか。 |
みうら |
そうそう、ブランドの店ができたら並ぶ、
みたいな人たちね。
俺、その頃はすでに
メインストリートを逸脱した人生を
送っていたからね。
じつはすごくいやだったんだ、万博。
(来週の水曜日に、つづきます!) |