糸井 |
アッキィから見ると、
アッキィが育った時代よりも、
伊賀くんは、また若いわけじゃない?
10歳ぐらい違うでしょ。 |
秋山 |
11歳違うかな。
'77年生まれでしょ? |
伊賀 |
'77年です。 |
糸井 |
僕とアッキィが、また10歳以上違う。
でも、これまでずっと、
こういう人たちが出てくる気配が
あったんですよね。 |
秋山 |
僕らが高校生の頃って、ほんっっと、ダサくて。
もしかして、いちばんダサかった
世代かもしれないですよ。
高校を卒業するぐらいに、
やっとデザイナーズブーム
みたいなのがやってきて、
デパートの前に並んだり。 |
糸井 |
あぁ、そういう時代ね。 |
秋山 |
大学んときは、服を並んで買って、
ローンを組んで、
ダサい感じはありつつ、がんばってた。
高校生のときって、ほんっと金ないし、
それ以前の問題として、
洋服がね、ぜんぜんなかったの。
で、タカキューとかのバーゲンを
武道館でやってて、
みんなで1万円握りしめて、買いに行く。
かなり苦労してたし、ひどい時代だったんです。
だから、いまがほんっとに、
うらやましくて(笑)。
すごく安くてもそこそこ
かっこよくできるじゃないですか。 |
伊賀 |
いまはみんな、
「平均点」なかんじがありますね。 |
秋山 |
僕が20代の頃の10代っていうと、
チーマーがはやったときかな? |
伊賀 |
ちょうど僕らから5コ上ぐらいまでは、
シブカジ、アメカジの世代。ベルボトム。 |
秋山 |
バンダナとか。 |
伊賀 |
そうですね。
僕が高1のときの高3とかが、
そういうのが「絶好調」でしたね。
僕らは、そういうのを経験して、
そのあと古着にいった、って感じです。 |
糸井 |
古着っていうのは、
どのくらい昔のものなんだろう? |
伊賀 |
それは、ほんと、バラバラですね。
60年代とか70年代とか。 |
糸井 |
伊賀くん世代の人たちって、
音楽も古着みたいな買い方してるよね、
昔のを。 |
伊賀 |
でも、もっと若い子は、
ちょっと違うんですよ。
ふつうは、お金がなきゃないなりに、
服も買うけど、
レコードも買って本も買って、
お酒も飲んで、と、
そういうお金の回し方をします。
でも、いまの19、20歳の子は、
たとえば服だったら
服にしか金を使わないんです。 |
糸井 |
そうか。
そういう局部的なお金のつぎこみ方は、
ちょっと、つまんないね。 |
伊賀 |
この『First time』は
そういう人たちに見てほしかったんですよ、
いろんなことをやってくうちに、
こういういい顔になるんだよ、と。
でも昔の、すごいいい世代の人たちからすれば、
僕らもひと括りで「ぜんぜんダメだ」って
言われると思うんですけど。 |
糸井 |
下の世代というのはそうやって、
ずっと言われてるんですよ、いつも。 |
秋山 |
そのくり返しなんですね。
とはいえ、いまの10代は、
やっぱり歪んでると思いますよ。 |
糸井 |
おぉ、そう? |
秋山 |
伊賀くんの言うとおり、
ひとつのところにいったら、
もうそこにしか目がいかない、
というかんじがする。 |
伊賀 |
「遊び」がないんですよ。 |
秋山 |
女の子たちもそうだよね。
渋谷行ったらもう「キューツー」行くぞー!って、
ワーッて行って、
そこのなかで起っているものごとに対しては、
みんな受け入れちゃう。 |
伊賀 |
そうですね。小学生も。 |
秋山 |
あれは理解できないというか、
すごい世界ですよね。 |
伊賀 |
すごいです |
糸井 |
お、こういう人たちが言うと、
そういう気になってきたぞ! |
伊賀 |
たぶん、生まれたときから
ゲームをやってる世代だからかな。
僕たちの世代が、
メンコもやるけどテレビゲームもやるという
ギリギリの世代だと思いますよ。
やっぱ、外で遊べば先輩とかいるし。 |
糸井 |
そっか、おんなじ種類の人ばっかりと
つき合うことができるようになっちゃったんだ。
それは‥‥、ジジイ化してるってことだね。 |
伊賀 |
「嫌だけどしょうがない」とか、
そういうことがないですし、
ぶつかることもない。 |
秋山 |
あの‥‥なんか、
「ほぼ日」で言うのもなんなんですけどね、
僕は、インターネットが悪いなって
思ってるんですよ。 |
糸井 |
そう? |
秋山 |
とくに男が。
中学のときとか、僕たちは、
「エロ」を見るのって、
すごくエネルギーが要ったんです。 |
糸井 |
買いに行くだけで大変よね。 |
秋山 |
本屋で「プレイボーイ」を買うのだって、
すごく恥ずかしい思いをして。
バターで雑誌の修正部分を消したり(笑)。
でも今は、インターネットでカチカチってやると、
とめどなく出てくる。
あれは、麻痺するっていうか、
かわいそうだなって思う。 |
伊賀 |
レコードとかにしても、
すぐオークションで落としちゃったりできる。
やっぱ、友だちがレコード屋まわって、
「ねぇよ、ほんっとにねぇよ」っていって、
誕生日プレゼントにいきなりくれたりすると。 |
糸井 |
ドーン、とくるね。 |
伊賀 |
誰かに「うわぁ、やるー!」と言われるような、
そういう「遠回り」がなくなってきました。 |
糸井 |
ふだんからよく言ってることなんだけど、
値段のつかないものに価値があるんだよね。
それこそ、お店で女の子の
生つばが売られていたりとか。
あれ、ふつうは買えないものだからこそ
値段がつくわけでしょう? |
伊賀 |
そうですね。 |
糸井 |
ああいう、ほんとうは変にみえることの中に、
価値の気配が現われてるんじゃないかなって
気がするんだよ。
岡本太郎も、あの人が「いた」っていうことが
すごいんです。
絵は、もしかしたら買えるかもしれない。
だけど、岡本太郎が生きてた軌跡っていうのは
買えないんです。
(つづきます!)
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