── |
美術作品をつくられるのと、
Tシャツをつくるのとは
ちょっと勝手がちがうかもしれませんが、
よろしくお願いいたします。
ポー・ワングさんの作品で
「存在を入れ替える」というコンセプトのものを
以前みたことがあるんですが。 |
伊賀 |
服もそうですね。
服を真上からみたり斜めからみたりして
存在を入れ替えることが大切だと思うんです。
そんなことが、このTARO-Tシャツでも
できるとおもしろいと思います。 
|
ポー・
ワング |
そういう発想ができるといいですね。 |
伊賀 |
ところでポー・ワングさん、
はいていらっしゃるジーンズ、かわいいですね。 |
ポー・
ワング |

そうですか?
穴が空くとついでいるだけで‥‥(笑)。
伊賀さんは、ジーンズを
何本か持っていらっしゃるんですか? |
伊賀 |
黒いのと青いのを1本ずつ持ってて、
1年のうち330日くらいは
青いのをはいてます。
だから、ずーーーーと同じジーンズを
はいているんですよ。
たま~に、今日みたいに着物を着て。 |
ポー・
ワング |
このTARO-Tシャツは、
これまで集っているメンバーをみても
「この人は自分にぜんぜん関係ない人だろうけど
でも、この人のことは知ってる」
という人がたくさんいました。
どんなことになるんだろうって、純粋に
すごく楽しみになります。 |
伊賀 |
あ「舞台の人ね」「映画の人ね」とか、
そういう系統立った人選じゃなくて、
こういう「ありえないメンツ」が 岡本太郎でつながってるってとこが
おもしろいと思うんです。 |
── |
ポー・ワングさんは、
TAROとはどんな形で出会われましたか? |
ポー・
ワング |
わたしが幼いころ、はじめて日本に来たときに、
大阪に滞在したことがあるんです。
父が「遊びに連れてってやるぞ」と言っては
わたしたちを万博公園に連れていきました。
遊園地なんかじゃなくて、万博公園(笑)。
そこに、ご存知のとおり
「太陽の塔」がありました。 |
伊賀 |
ああ、それは、いい関係ですね。 |
ポー・
ワング |
だから、岡本太郎って、
てっきり大阪の人だと思ってたし、
「こういうのがいわゆる芸術家なんだ」って
小さいときから思ってたんですよ。
でも、 そのときは
「太陽の塔」のオモテの面しか
みなかったんです。

子どもがみていい、オモテ面。
オモテの面って、生命力がプラスの方向で
あふれているかんじなんですけれども、
裏側の黒い太陽はすごく怖くて、
「向こう側は大人の世界で、
こっち側が子どもの世界だから、
わたしは大人になるまで
向こう側に行っちゃダメだ」
と勝手に決めてたんです。
向こう側の世界、ウラ面。
|
伊賀 |
ハハハハ。なるほど。 |
ポー・
ワング |
わたしが美術に関わり出した当初は
どういうものが「作品」で、
そもそも美術ってなんなのか、
よくわからないでいました。
そんなときに、幼いころにみた 太郎さんが出てくるんですよ。
「やればいいじゃん」って。
自分でさまざまなことを考えて
「ああ、できないや」と思ったり、
いろんなことを気にして
自分をつくっていくんじゃなくて、
「とりあえず、やれば?」と
太郎さんはいつも言ってくれる。 |
伊賀 |
TAROのその言葉は、
芸術家だけではなくて、
どこでなにをしている人にも通じますよね。
どうしようかな、と迷っている人たちに
それぞれ「やればいいじゃん」と言ってる。
ぜんぜん高尚なかんじはしない。
あるポイントで小さく迷っていて、
そのせいでものすごく動けなくなっているときに
「おめえは、生きてんのか、生きてねえのか」
って、そんな視点からTAROは言ってきますよね。
みんなが「そこかよー?!」って
なるような(笑)。
それがTAROのとっても楽しいところだと
思います。 |
── |
このTARO-Tシャツの収益は、
メキシコで発見されたTAROの巨大壁画
「明日の神話」を日本へ持ち運ぶための
運搬費用に寄付したいと考えているんですよ。 |
ポー・
ワング |
少しでもお役に立てればうれしいです。 |
── |
もととなるボディのTシャツを
お選びいただきますが、
新品と古着があります。
|
ポー・
ワング |
わたしは、古着のほうがいいです。
ああ、古着をみていると
このまま自分で
ふつうに欲しくなりますね(笑)。  |
── |
真剣ですね。 |
伊賀 |
新品のボディもありますよ。
こっちは煮たり焼いたり、自由にできますよ。
|
ポー・
ワング |
味つきTシャツとかね(笑)。
なんか、期待を裏切れるようなものが
できるといいですねえ。
|