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(去年のある日、雑誌のダヴィンチさんが
『黄昏』の単行本を記事にしてくれることになり、
早朝の神保町にみんなで集まりました。
喫茶店に集まったふたりはまだ少し眠そうです。
そのときの雑談を、どうぞ) |
南 |
何頼む? |
糸井 |
コーシー。 |
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南 |
コーヒーだね。 |
糸井 |
うん、コーヒー。普通のコーヒー。 |
南 |
普通のコーヒーね。 |
スタッフ |
(お店の奥に向かって)
すみませーん、すみませーん! |
糸井 |
なんか謝ってますね。
あ、ガラスを割ったんだ。 |
南 |
お店の人を呼んでるんじゃないかな。 |
糸井 |
あ、そっかぁ。 |
南 |
(やってきたお店の人に)
普通のコーヒーをください。 |
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糸井 |
ぼくも‥‥それを‥‥。
ちょっと声が出てません。
伸坊は、朝起きたとき、
声がうまく出ないことってある? |
南 |
うん。 |
糸井 |
‥‥あの‥‥こんなふうにさ。 |
南 |
うん(笑)。 |
糸井 |
年をとると、そういうことが増えるんだよなぁ。
あとさ、もうご覧のとおりなんだけどさ、
うつぶせで寝るとね、シーツのシワとか、
枕の端っことか、そういうもののあとが
顔にくっきりつくのよ。 |
南 |
ああ、ほんとだ(笑)、
こっちにもついて、こっちにもついてる。
おいおい、どういうことなの、それ(笑)。 |
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糸井 |
あっちこち、つくのよ。
でね、若いときは、ついたとしても、
朝ご飯食べてるうちに戻るんだけど、
年取ると、なかなか戻んない。 |
南 |
そうやって頬杖ついてると、
ほっぺたに手のあとがつくんじゃない? |
糸井 |
まじめに答えると、
手は、柔らかいから、つかないんだ。
でも、木綿とかは硬いんだよね、わりとね。 |
南 |
木綿は、あとがつくと(笑)。 |
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糸井 |
この、起きぬけの顔のしわについては、
今朝、妻に指摘されてさ。
「あと、ついてるよ」って。 |
南 |
ははははは。 |
糸井 |
「知ってるよ」って答えたけどね。
でも、「知ってるよ」って言ってるときは、
だいたい知らないんだよね。 |
南 |
わはははははは。 |
糸井 |
会社にいてもそうだよ、オレ。
「知ってるよ」って言うときは、
知らないんだよ。 |
一同 |
(笑) |
南 |
ほんとうに起きたばっかり? |
糸井 |
けっこうぎりぎりに起きた。
あわてて帽子をかぶってね。
だから、今日は帽子が脱げないよ。
その点、伸坊は、坊主だから気楽だね。
帽子をかぶるも脱ぐも自由でいいな。 |
南 |
いや、そうでもないんだ。
じつに微妙な問題だけど、
(耳の上あたりの頭囲をぐるりと指しながら)
ここにけっこう、あとがつくんだよ。 |
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糸井 |
ははははは。 |
南 |
坊主っぽいけど、坊主じゃないからさ。
このあたりにぐるりと
輪っかみたいなあとがついちゃうんだよ。 |
糸井 |
つまり、道路工事のパイロンで
輪投げをしているような
あとがついちゃうわけね。 |
南 |
ふふふふふふ。
頭、とんがってるから
輪投げもしやすいと。 |
糸井 |
しやすい、しやすい(笑)。
そんなに狙って投げなくても
スポッと入ると思うよ。 |
南 |
人の頭を道路工事あつかいかい。 |
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糸井 |
ふふふふふ。 |
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(いつでもどこでも、こうなんだ。つづきます) |