糸井 |
いま、ちょっと考えている商品があってさ。
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南 |
うん。
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糸井 |
枕なんだけどね。
オレはいいと思ってるんだけど、
ほかのみんながあんまり、
ノってくれなくてさ。
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南 |
ふぅん。
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糸井 |
なにかっていうと、座布団型の枕でね、
それをこう、二つに折って使う。
そういう枕なの。
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南 |
ほう。
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糸井 |
なんでそれを思いついたかっていうと、
こう、和室で雑魚寝したりするときにね、
座布団を二つに折って枕にしたときって、
案外、みんなよく眠るんだよ。
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南 |
ああ、そうだね。
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糸井 |
つまり、あれは、
「まあ、これでいいや」って
思ってるから、よく眠れる。
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南 |
ふふふふ。
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糸井 |
ところが、ものすごく
形にこだわった最新の枕なんかだと、
その枕に自分を合わせようとするから、
逆に眠りづらかったりするんだ。
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南 |
ああー、はいはいはい、
それはわかる気がする。
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糸井 |
あ、そう?
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南 |
ぼくも、枕はいろいろ試してね。
こ〜んな形がいいとか、
テーハンパツとかさ、いろいろ試して、
いまは、いちばんふつうの枕になってる。
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糸井 |
はいはい。
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南 |
それでけっこう大丈夫なんだよ。
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糸井 |
そうでしょ。
つまり、「究極の枕」は、ないんだよ。
ところが、「これでいいや」って言って、
座布団2つに折ると、それで眠れちゃうんだよ。
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南 |
なるほどね。
ていうか、言っちゃうけどね、
たぶん、そのアイディアを聞いた人は
みんな思ってると思うんだけどね。
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糸井 |
うん?
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南 |
座布団だよ、それ。
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一同 |
(笑)
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糸井 |
‥‥それでみんな、ノリが悪いのかな。
こう、いろんなサンプルをつくってくれる
業者の人に「座布団枕」の話をしてもね、
「それはおもしろいですね」って言うんだけど、
ちっとも試作品をつくってくれない。
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南 |
明日までに試作品つくれって言われたら、
うちの座布団持ってくると思うよ。
「あの、試作品です」って。
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糸井 |
でもさ、形は座布団でも、
いろいろ工夫すべきところはあるでしょ。
中に何を入れると寝やすいかとかさ。
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南 |
まぁ、でも、綿でしょ、だいたい座布団は。
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糸井 |
綿‥‥綿にもいろいろあるし。
あるいは、こうすると洗えますよとかさ。
座布団にもいろいろあるわけだから‥‥。
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南 |
枕にこだわりすぎるのがよくないっていって、
座布団にはこだわるんだねぇ。
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糸井 |
たしかに、妙だね。
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南 |
ま、寝るときにサッと二つ折りにできるのは、
もう、薄くなっちゃってる、
せんべい布団みたいな座布団なんじゃない?
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糸井 |
‥‥そうか。パッとしないね。
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南 |
あの、おすもうさんが座るような、
ぱんぱんの座布団じゃないでしょ?
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糸井 |
あれじゃない。
あれは二つ折りにできない。
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南 |
つくるとなると難しいね。
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糸井 |
そうだね。
どうりで進まないわけだね、話が。
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南 |
でも、どうしても、ほしいと。
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糸井 |
いや、そんなでもない。
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南 |
えっ。
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糸井 |
もっと言うとね、オレね、
枕なくても寝られるんだよ、じつは。
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南 |
ええっ。
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糸井 |
妙に寝苦しいときなんかは、
枕をわざとはずして、
うつ伏せになったり横向いたりして寝るんだ。
ほら、うつ伏せで寝るときなんか、
枕はむしろジャマだから。
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南 |
そうなの?
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糸井 |
うん。
オレの究極は、それ。
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南 |
究極の枕は、枕なし?
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糸井 |
うん。
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南 |
すごいね、枕問答ですか? |
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(枕問答‥‥。つづきます) |