黄昏 た そ が れ  日光・東北編       南伸坊さんと、糸井重里。昔なじみのふたりが、始終しゃべりながら小旅行。前回は鎌倉の名所をめぐりましたが、今回は日光、松島、花巻あたりを回ります。ゆっくと変わる風景と、めくるめく無駄話。いったいいつまで続くのかな‥‥? そしてこの不思議な企画は、なんとすべてをまとめて本になるのです。いえ、ほんとの話です。
第18回 いい蚊とは。
糸井 伸坊、毎日、何時ごろ寝てるの?
いつもは12時とか。
糸井 あ、そう。いいねぇ。
昨夜は、そうなんなかったんだけどね。
糸井 なにかあったわけ?
うん。昨夜は蚊にくわれてね。
一同 (笑)
糸井 ははははは。
いや、笑うけどさ。
糸井 ごめん、ごめん(笑)。
蚊にくわれて眠れなかったんだね。
しょうがないよ。
蚊にくわれちゃったんだもの。
糸井 かゆくて?
うん。起きちゃった。ははははは。
糸井 ははははは。
かゆくて起きちゃったんだけれども、
昨日の蚊が感心だったのは、
プーンっていわなかった。
糸井 ああ(笑)。
プーンっていうやつは、
刺さなくてもヤだよね。
「黙って刺せ」と思う。
糸井 けど、プーンって言わないと、
ステルス戦闘機と同じで
退治できないじゃない。
まぁ、そうだけどさ。
ステルス戦闘機ね。
蚊とステルス戦闘機を
同じところに並べるなんて、すごいね。
糸井 自在さ。
自在だね。
糸井 蚊も戦闘機もやっかいなもんだね。
昨夜はとくに蚊だったんだけどね。
糸井 うん。蚊だ。
いちばんいい蚊は、プーンっていわないで、
刺してもかゆくないっていう蚊だろう。
糸井 それはいい(笑)。
つまり、あれだ、血がちょっとなくなるだけ。
そう、そう。
あのかゆさとかプーンとかを思えば、
血ぐらい持っていけばいいじゃないか。
糸井 そういえば、みうらじゅんが、
「そろそろ人類は蚊としっかりした
 取引をするべきだ」って言ってたよ。
ははははは。
糸井 みうらの言ってることも
いまの話と近くてさ、
つまり、血はやる、と。
だから、かゆくなる液を
入れないでくれ、って。
ああ、いっしょだね。
しかもさ、向こうがかゆくするについては、
向こうにも都合があるんだよね。
糸井 ええと、その場合の「向こう」は、蚊?
蚊、蚊(笑)。つまり、
向こう(蚊)がかゆくするについては、
向こう(蚊)にも都合があるんだよ。
糸井 どういう都合があるの?
たしか、吸ってるあいだに
血が固まらないように、
かゆい液を入れてるんじゃなかったかな?
糸井 あ、そうなの? 
それは、先生みたいな人が言ってた?
先生?
糸井 蚊を研究してるような先生がさ。
いやいや、知らないですけど。
糸井 ああ、そう。
その、まちがってるかもしれないから
これは、よそに行って言っちゃダメだよ。
インターネットで言っちゃダメだよ。
糸井 はははは。大丈夫。
インターネットで言ったことは、
みんなあんまり信用しないから。
はははは。
(はははは。つづきます)

2009-10-20-TUE

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