黄昏 た そ が れ  日光・東北編       南伸坊さんと、糸井重里。昔なじみのふたりが、始終しゃべりながら小旅行。前回は鎌倉の名所をめぐりましたが、今回は日光、松島、花巻あたりを回ります。ゆっくと変わる風景と、めくるめく無駄話。いったいいつまで続くのかな‥‥? そしてこの不思議な企画は、なんとすべてをまとめて本になるのです。いえ、ほんとの話です。
第33回 オケラに大きさを訊く。
糸井 オケラは見たことある?
ないんだよね、オケラ。
糸井 ぼくは、オケラも好きでねぇ。
平素は土の中にいて、
なんかの拍子に発見されるんだけど。
そういうの、好きだよね。
セミの幼虫とか、モグラとか、オケラとか。
糸井 やっぱり、めったに出会えないからさ。
そういうことだろうね。
あのさ、オケラにさ、
「大きい? 小さい?」って
訊く遊びがあるでしょ。
糸井 はいはいはい。
なんなの、あれは?
糸井 ええとね、まず、オケラって、
穴を掘るときのために、
両手がシャベルみたいになってるんだよ。
全身の大きさでいえば、どうだろうな、
小指の第一関節分ぐらいの虫なんだけど。
その全身に対しての割合からいうと、
両手のシャベルは、けっこう大きめで、
オケラを持つ場合は、
そのシャベルの両手の付け根を
持つことになるんだ。
人間でいうと、脇の下を持つ感じ?
こう、ザリガニを持つときのように。
糸井 そう、そう、そう。
で、そこを持つとね、オケラは
「やめてくれ」っていう感じで、
シャベルの両手を、こう、思いっきり、
左右に大きく開くわけだよ。
(オケラのマネをして手を左右に開きながら)
もう、こう、なんだ。こう、こう。
つまり、釣った魚の大きさを
自慢するようなポーズを。
糸井 そう、そう。で、オケラをつかまえて、
「伸坊のちんぽがどーのくらい?」って訊くと、
こう、両手を、こうやって。
あ、それでなんだ(笑)。
糸井 そういう遊びさ。
知らなかったわ、その遊びは。
糸井 くだらないんだけどさ。
いや、それが盛り上がるのはわかるよ。
そうか、そういう遊びだったんだな。
なんとなく、ニュアンスだけは
微妙にかぎ取ってたんだけど。
糸井 ちょっとした、きわどさがあるんだよね。
男の子特有の。
うん。そんな感じがしてた。
糸井 なんだか知らないけど、当時、誰かに
「ちんぽこがデカい」って言われるのは
ものすごくイヤなことだったんだよ。
で、「そんなことはねぇ」みたいな感じで、
言ったやつをなぐったりしてさ。
あらら(笑)。
糸井 そういうナーバスなテーマを、
「オケラが言ってることだから」
ってことで曖昧にしちゃうのが
おもしろかったんだろうな。
だってオケラが言ってるんだもんね。
糸井 そうそう、オケラが言ってるんだもん。
(オケラ、見たことあります? つづきます)

2009-11-06-FRI

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