ほぼ日で東京を特集するにあたって、
やはりどうしても
この方に話を訊かずには
いられませんでした。
京都出身のみうらじゅんさんは、
1977年に19歳で東京へやってきて、
今年で上京40周年。
みうらさんにとって、
東京はどんな場所ですか?
最終回
ぼくは東京がいちばん好きです。
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-
40年間、東京に住んでこられたみうらさんですが、
東京をお好きですか?
- みうら
-
好きです。東京がいちばん好きですね。
まず、関西に象徴される
「おかん」的要素がないことが大きいです。
つまり、おかん=干渉です。
干渉がない街としては、東京はナンバーワンでしょう。
上京してすぐのときは、このノン干渉状態を
「冷たい!」と思ってしまいましたが、
それがこんなにも好都合だったとは、驚きでした。
東京は、ぼくらに何も言いません。
「私は黙ってるから、
ここにいてもいいし、
買いたいもの買えばいいし」
という感じです。
- ──
- とても住みやすい場所ですね。
- みうら
- こんな住みやすいところ、ないですよね。
- ──
- おいしいものもいっぱいあるし。
- みうら
-
そうですよね。
ぼくは地方をいろいろ旅してきましたが、
「いちばんおいしいところは東京と京都にまわす」
ということをたびたび耳にしました。
高いお金を出してまで、希少部分を
現地ではしょっちゅう食べないわけです。
そりゃそうですよね、理にかなってます。
‥‥となると、東京では
お金をもってなきゃならない、ということに
なりますけどね。
でも、お金がなくても、
ハングリーをたのしめば
いいわけですから。
その両面を兼ね揃えてる東京、
これが最高なんです。
- ──
- 両方にふれるわけですね。
- みうら
-
たとえ預金残高があっても、おろさずにいるだけで
「金がねぇ!」と言うことができるのです。
お金に対して極端な街であるぶん、
エセハングリーは実行しやすいです。
- ──
- キャッシュカードを捨てさえすれば、いつでも。
- みうら
-
そうですね、
カードをパキンとやりさえすれば、
その夜は確実にハングリーですから。
地方にいたら
「そんなんおまえ、家帰りゃあいいじゃん」
ということになりますもんね。
- ──
- ところで、これから日本および東京は
観光に力を入れていくと思います。
今後、東京が人気を得るためには
どうしたらいいでしょうか。
- みうら
-
話の流れでもわかるとおり、
ハングリーが東京のウリだと思います。
「京都でハングリーなんだ」と友達に言われても
あまりピンとこないですよね?
「他県+ハングリー」は、セットとして合いません。
ですから、東京はハングリーなものを
もっと生み出すべきじゃないですかねぇ。
年をとったらいやですけれども、
ハングリーは一回、若いときに
ちょっとやっとくもんじゃないですか?
「東京ハングリー」みたいな店を
作るのはどうでしょう?
- ──
- その店には何が置いてあるんでしょうか。
- みうら
-
カードを粉砕する機械が置いてあります。
自分ではちょっとやりにくいと思うんで、
機械に割ってもらいましょう。
- ──
-
では、外国からの観光の方々も、入店されたら
「クレジットカードをどうぞ」と
機械が案内すればいいですね。
- みうら
-
「東京のハングリーになりませんか?」
という誘い文句でね。
ハングリーのダウンタウンに住む体験も
あるといいですね。
- ──
-
では、ハングリースポットを
あちこちに作るといいかもしれません。
- みうら
-
いいですね。
「東京ハングリースポット」などと呼んで、
4畳半のアパートをめぐるといいでしょう。
東京にはまだハングリースポットが
学生街に残っていますが、
これからオリンピックで
建て替えが行われるでしょう。
マンションも林立してきて、
ハングリーアパートが
目立たないことになっていきます。
瓦が2~3枚ずり落ちてるような
ハングリーアパートをちゃんと保護して
外国のみなさんをご案内するといいですね。
- ──
-
そこではみなさんに、
ぜひ「流し」のお風呂に入っていただいて。
- みうら
-
そうですね、
「屈葬」が共通言語になっていくといいですね。
日本の家屋はその昔、外国から
「ウサギ小屋」と言われていました。
その頃はバカにされたような気分でいましたけど、
ここで逆転がはじまっていることに
ぼくたちももう、気づくべきです。
ウサギ小屋はどこでも体験できるものではありません。
「ウサギ小屋ビューティフル!」
と称賛が出ます。
こうなったら存分に体験していただくといいですね。
- ──
- そして、ハングリースポットを一歩出たら、
「サインプリーズ!」の嵐にあうわけですね。
- みうら
-
そうです、子どもたちがワーッとやってきて
ちょっとしたスターになった気持ちにもなれます。
成田空港の入国審査の段階で
「日本人」「外国の人」のあいだに
「上京」というレーンを作るのはどうでしょう?
そこを通った人は、コインローファーとか、
自分にとうてい似合わないものが
与えられる仕掛けになっています。
そうやってみなさんに
「上京したときの気持ち」を味わっていただくのです。
その服装で、オリンピック会場を歩く
はずかしさったらないですよ。
上京というセンスはたぶん日本だけでしょ?
- ──
- そうですね、だいいち「京」がついてませんから。
- みうら
-
そうですね、「京」というのは北京くらいでしょうか?
京に来て、ダサい格好して
ドキドキできるというのは、
日本のみのサービスポイントということになりますね。
- ──
- そうですね。
機体に「上京」という文字が
大きくデザインされた飛行機で
みなさんにいらしていただきたいです。
みうらさんの東京、
たっぷりお聞かせいただきありがとうございました。
- みうら
-
こちらこそぼくのプランを聞いていただき
ありがとうございました。
~それでは、本日の動画をごらんください。~
本日の動画ポイント
- 東京はおかん(干渉)のいないいい場所です。
- 東京は「上京」に世界一向いています。
これを観光の目玉にしましょう。 - みうらさんは糸井重里にはじめて会ったとき
「ついに東京の人と会った!」と思ったそうです。
でものちに群馬出身とわかりました。
(おしまいです。ご愛読ありがとうございました。)2017-06-07-WED