「映画は“字幕”より “吹き替え”が人気?」
みなさんはよく映画に行きますか? フランスでもちろん。 友達同士、恋人同士、家族で。 若者も大人たちも楽しむ 人気エンターテインメントのひとつだよ。
さて、その映画。 フランスでは映画や美術館など やたらとどこでも学生だったり、 26歳未満だったりすると 格安ということもあって、 渡仏したばかりの頃は かなりしょっちゅう楽しんでいました。
そこで一体なんでなのだ と不思議でならなかったのが、 フランスではとにかく「字幕」ではなく 「吹替」バージョンが多いこと。
有名な俳優さんが吹替をして 話題になることもありますが、 なんとなく、日本で外国映画を見る時って 「字幕」バージョンが スタンダードな気がしませんか??
ところがこちらフランスは、 外国映画といえば 「吹替」バージョンがスタンダード。
いや、「吹替」が圧倒的に多くて むしろオリジナルの音声が聞ける 「字幕」バージョンを探す方が難しいんだ。
調べてみれば、かつてフランスでは ハリウッド映画が台頭してきた時代、 外国映画は全部吹替にしなくてはいけない という法律があった時代もあったそう。 そういう背景もあり 「吹替」バージョンの方が人々に 馴染んでいったという理由もありそう。
それにしても「字幕」、 つまりオリジナルの 「VO」(Version Originale) (バージョン・オリジナル)の 回数が少ないのですよ‥‥。
最近は昔よりは、俄然オリジナルが 増えてきたような気はしますが、 とにかく少なかったのですよ‥‥。
席に座って見始めて気づけば 「VF」(Version Francaise) (バージョン・フランセーズ)。
▲作品名の右側に書いてある(VF)フランス語吹替版と (VO)オリジナルバージョンをチェック。 例えばこの3つの映画のうち2つは字幕版がないということ!
そうか! 映画館の時間の横に書いてあった 「VF」とはまさかの フランス語吹替だったのか‥‥。 と気づいてみれば、 上映のほとんどが「VF」。
フランス人と映画に行くときは みんな割と当たり前に 「吹替」版の回に行こうとするので、 「字幕」で見たいという日本人と どっちが譲るか言い合いになるというのは 日仏グループの「あるある」なのです。
▲上映時間の横に、必ず字幕バージョン「VO」か 吹替バージョン「VF」かの記載があります。 これをみてもいかに吹替が多いかわかりますよね?! これでも近年オリジナル音声の字幕バージョンが増えた方なのです。
パリにはけっこうあちこちにある映画館。 ちょっと立ち止まって 「VO」(字幕) vs. 「VF」(フランス語吹替) の比率を観察してみてね!
そしてパリで映画を見ようなんて思うときは 「VO」と「VF」の文字を チェックするのを忘れずにね!
※この連載を再編集し、 書き下ろしも入れて新潮文庫になりました。 こちらをぜひご覧ください!
2018-11-27-TUE