この数年、パリの飲食業界を
激変させているもの。
それがデリバリーサービスだよ。

デリバリー代表といえばピザでしょ？！
パリにも昔から
ピザのデリバリーはあったものの、
日本の宅配ピザと比べたらおいしさは劣るし、
時間も適当だし
（待てども待てども来ないとかね）
魅力的なサービスではなかったんだ。

▲デリバリーサービスは自分が忙しいときだけではなく
友人達と集まるご飯の時も大活躍。

中華料理、インド料理など
ごくごく一部のレストランで
近所への宅配サービスをしているお店も
あるのですが、
電話で注文したものの中身が違うとか、
足りないものがあるとか‥‥
これまた魅力的なサービスでは
ありませんでした。

というわけで、
「使える」もしくは「使いたい」
デリバリーサービスというのは
ほぼなかったパリ。

ところが数年前から一気に
デリバリーサービスが広がり始め、
パリを歩いていれば1日中
宅配の自転車やバイクを
見かけるようになりました。

日本でも「Uber Eats」などは
有名ですよね？！

▲日本でもお馴染みのケンタッキーフライドチキン。
お店を出入りする人はヘルメットをかぶった配達の人ばっかり。

配達してもらいたい住所を入れると
その住所に配達可能な店の一覧が出てくるんだ。
フレンチからアジア料理から
ハンバーガーから中華から寿司から
クッキーからアイスまで！
ジャンルは様々。

そしてネット上で注文して支払いも済ませ、
あとは家に届くのを待つだけ。
配達状況も全てパソコンや携帯でわかるし
配達してきた人とのお金のやりとりなども
一切なく、とにかく受け取るだけだから
外国人でも心配ない。
ホテルにだって宅配可能。

24時間営業のコンビニなどもない
世界にとっては革命的に便利なサービス。
一気に広まったよ。

▲深夜に何か気軽にお持ち帰りしたいときに使うことが多いケバブサンド屋さん。
お店にもデリバリーサービスのいろいろなステッカーが貼ってあります。
このステッカーが貼ってあるお店やレストランがとっても増えているパリ。

ちょっと曖昧ですが、
私の記憶や写真の記録を辿ると、
メトロのホームなどで大掛かりに
デリバリーサービスの宣伝が始まったのが
2016年くらい。

私が初めて利用してみたのも2016年。

そこからまだ４年くらいしかたっていませんが、
今じゃパリは宅配のお兄さんでいっぱいです。

▲これは2016年のメトロのホームの写真。
この頃からメトロのホームにいろいろなデリバリーサービスの広告ポスター
が貼られるようになり、気になってよく見ていました。

宅配に向いている
アジア料理、レバノン料理、ケバブサンド、
ファーストフードなどのお店は
店内で食べている人の数よりも
圧倒的に宅配用の荷物を取りに来る
お兄さんたちの数の方が多いくらい。

私たちがよく利用する
家の真下のレストランは、
客がほとんどいない日でも
宅配注文の荷物を作るのでとっても忙しそう。

▲いつもお世話になっているケバブサンド家にも
なんと7台のスマホやタブレットが設置され、
すべての機会で注文を受注していました。
待ってる間にもしょっちゅうピコンピコン注文が入ります。

逆にデリバリー注文が増えすぎて、
自分で買いに行くと
かなり待たされる羽目に‥‥。

▲デリバリーサービスが始まる前はガラガラだった店内が、
今はかなりの行列になることも多い。
私と向こうに見えてるヘルメットかぶっていないムッシュー以外は
全員配達用の商品ができるのを待っている人たち。

先週タッチパネル式の注文が主流だよと
紹介したパリのファーストフード店も。
宅配用の注文を取りに来るムッシューたちで
常にいっぱい。

ヘルメットをかぶった
がっつりした体のムッシューたちが
群れをなして出来上がりを待つ光景。
あちこちで見かけるようになったよ。

▲ファーストフードの商品出来上がりカウンターにも
ヘルメットをかぶった配達用商品待ちのお兄さんがずらり。
これがデリバリーサービスが飛躍的に伸びている最近のパリの日常風景です。

日本みたいに、24時間どこにいても
冷凍食品も惣菜もお弁当も買えるという
世界ではないからこそ
こんなにデリバリーサービスが
当たり前になったんだと思うんだ。

数年前のパリと比べると
考えられないくらい便利になったパリ。
ボクの家もしょっちゅう
デリバリーサービスにお世話になってるよ！

※この連載を再編集し、
　書き下ろしも入れて新潮文庫になりました。
　こちらをぜひご覧ください！（2015年8月出版）