「すべての歩行者用 信号機にボタン?!」
先週、冒頭に ちょっとお知らせを入れてもらったように、 実はボク、17才と1ヶ月で空の星になりました。
ほぼ日乗組員の方達にも、 ほぼ日読者の方達にも 本当にたくさんかわいがってもらって、 思い出もいっぱいで、 パリの空からたくさんのメルシーを送ります!
▲「パリこれ!」第1回に登場したときのバブー。
これからはボクが17年間暮らしたパリ。 空の上から様子を観察してみようと思うんだ♪
ほぼパリ初心者だった 渡仏2年目から一緒に暮らし、 おフランスの素敵なところも 素敵じゃないところも、 驚くことも許せないことも羨ましいことも。 全部一緒に体験してきたバブー。
このコラムを通して、 いつも心の中で会話してたので、 なんとなくどこにいても 変わらずおしゃべりができていて。 とてもとても感謝しています。
パリでの犬との暮らしのこと、 そしてお別れまでいっしょにいて思ったこと、 また後日、ここでお知らせしますね。
さて、先週はパリのディズニーランドの ショーで活躍する手話専属の俳優さんたちの 紹介をしたけれど、今日もちょっと 関連がある話。 視覚障害者のための信号の話だよ。
▲白杖を持った視覚障害の方達。日本で生活していた時よりも見かける頻度がかなり高く さっとヘルプに声をかけたり手を差し出す人もよく見かけます。
パリって、歩行者用の信号のすべてに、 視覚障害者用の音を出すための ボタンがついてます。 歩行者用の信号が赤の時は、 「赤信号・歩行者・○○通り」 というアナウンスが繰り返され、 信号が青に変わると音が鳴り始めます。 そしてまた赤に変わると 先ほどのメッセージに。
▲信号機に近づくとボタンはこんな感じ。この下側に押しボタンがついてます。
パリはすべての通りに 「○○通り」と名前がついていて 番地と通り名さえわかれば 必ずたどり着ける、 とてもわかりやすい街。 人々は常に番地名と通り名を基準に 地図を見ているので、 信号のアナウンスも 「○○通り」 を言ってくれることで、 どこが赤信号かが すごくわかりやすいよね!
このボタンがあること、お恥ずかしながら 我が家の4才の息子プチモンスターに 教えてもらって、 すべての信号機についていることに 気付きました‥‥。
この視覚障害者の方用の信号の音は、 日常生活の中でも よく耳にしていたのですが、 どういうタイミングで鳴っているのか 全然知らなかったというか、 自分に必要のないものだから、 知ろうとしていなかったのかも‥‥。 大人の目線の高さよりもかなり低いところに 設置されているせいもあり 全く目に入っていませんでした‥‥。
プチモンスターが信号待ちをするたびに、 何やらボタンを押しに行くので それで気づかせてもらいました。
▲信号まちのたびにボタンを押していく息子。 大人が立った時に手で押しやすいくらいの位置についているので ちょっと低めの位置なので子供の目線にちょうど入るらしいのです。
世界で最初の盲学校だという、 大きな敷地にある特別学校もね、 ボクたちの生活圏内にあって 毎日のように通りかかるんだ。
▲パリにある盲学生のための特別学校。 世界で最初の盲学生の特別学校だそうで、多くの学校のモデルにもなったのだそう。
ボクたちの住んでいるアパートの周りも 白杖を持った人が歩いているのを ほぼ毎日見かけるのだけど、 パリってレンタル式の電動キックボードが 歩道の真ん中に倒されて放置されていたり、 横断歩道上に駐車してしまう人がいたり、 大きな粗大ゴミが 大量に道路に置いてあったりと マナー違反も多く、 視覚障害の方達には危険もいっぱい。
▲こんなふうに道端にゴミが落ちていたり (これはゴミ袋一つだけですがこんなものではない!) 視覚障害の方にとっては危ないシーンもたくさんのパリ‥‥。
でもね、その代わり、 周りを歩いている人たちは みんなが注意して見守り、 必要があればすぐに手を差し出すのが 当たり前の国。
パリっ子の足であるメトロにも ほとんどエレベーターや エスカレーターはついていないし 決してバリアフリーの街ではないのだけど、 その分、周りの人が当たり前に手を差し出す 暖かさを感じるよ。
▲パリの信号がある横断歩道。 この信号機ひとつひとつすべてに音を鳴らすためのボタンがついてます。
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「シンプルシックで心地よい暮らし パリの小さなアパルトマンで楽しむおうち時間」 出版社 : 世界文化社 発売日 : 2021/5/29
※この連載を再編集し、 書き下ろしも入れて新潮文庫になりました。 こちらをぜひご覧ください!(2015年8月出版)
2021-11-16-TUE