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バブー&とのまりこの パリこれ! 住んでみてわかった、パリのあれこれ。


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「開会式の観客は
たいへんだった?!」

 
     
バブー&とのまりこの パリこれ! 住んでみてわかった、パリのあれこれ。
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「開会式の観客はたいへんだった?!」

バブー

パリ・オリンピック、毎日見てるよ見てるよ。
ボクたちパリに留まって、
競技を見に行って、
そしてオリンピックにきているお客さまたちの
アテンドをしたりして、
毎日24時間オリンピックモードで動いているよ。

「オリンピックには興味ない」
「オリンピック期間中パリに残るなんて
面白いことするね。勇気あるね」
という周りの友人・知人フランス人からの
反応をよそに、とてもとても楽しんでいるよ。

とのまりこ
確かに、
オリンピック期間中のパリは
日本の通勤電車のように
すしづめになっちゃうのかな。
とか、
仕切りが悪くて会場に入るのに長蛇の列で
問題多発したりするのかな‥‥などなど、
心配はしていたのですが。

蓋を開けてみたら思っていた以上にスムーズ。
いつもの夏のパリよりすいているし
(オリンピックを避けたかったパリ住人は
例年以上にパリを脱出しているし、
今パリに来ている人のほとんどが
オリンピック観戦目的なので、
それ以外の通常の観光の人が
どうやらとても少ないから。)
メトロにも会場にも
大量のボランティアや職員が投入されていて、
とてもスムーズです。

あんなに心配していたスリ問題も、
会場周辺やメトロなどに
あまりにも大量の
警備・職員・ボランティアがいるので、
スリが入り込む余地がない感じ。
今はどこへ出かけて行っているのだろうというほど
目にせず、いつもの何倍も安全なパリになってます。
(いつもこうだったらいいのに‥‥。)

バブー
みなさんが夜更かしをしながら、
もしくは録画したビデオで見た開会式から、
10日間が経ちました。
美しいパリを舞台に、
雨模様の中行われたオリンピックの開会式。
みなさんはどう思いながら見ましたか?!
今日はあの日のテレビには映らなかった裏側を、
ちょっぴりご紹介するよ♪

実はあの開会式、
あちこちから厳しい意見が来るんじゃないかと
ボクたちはドキドキしていたよ。

ところが、意外にも日本の家族や友人、
そしてメディアの反応を見る限り、
「すごいフランス!
さすがパリよね。素敵!」
という意見が多いのを目の当たりにして
すご〜くホッとしていたんだよ。

実はもっともっと「酷評」を覚悟したくらい、
ざんざんぶりの雨の中で体験する、
観客席から見る開会式は
ちょっと別の景色だったんだよ。


▲オリンピック開会式のセーヌ川沿いの観客席。
ここはエッフェル塔のすぐ手前、最も高い金額を払った方々のゾーン。


▲こんな感じでスクリーンが設置されているので
そこに流れる中継を見ながら選手団を乗せた船が流れてついてくるのを待ちます。
放送での説明などはないのでどこの国かは国旗を見て判断。

とのまりこ
開会式の直前になって、
開会式を客席から見ることになった私。
あの雨の中、いちばんいいカテゴリーの席で
開会式を観察することになりました。

テレビ中継ではほぼ映し出されることのなかった、
屋根もないざんざん降りの中の観客席。
(たまに映し出されるのは屋根のある
セーヌ沿いのアパートから楽しむ人たちの
姿だったりしませんでしたか?!)

とてつもなく高いお金(チケットや交通費や‥‥)を
払って世界中から見にきているお客さまたちが、
まるで修行僧のようにずぶ濡れになりながら、
ポンチョの中にうずくまりながら、
セーヌ川を見つめる姿は、なかなかな光景でした。

客席にはあらかじめ、
世界各国の国旗の小旗が用意されていて。
本当だったら青空の美しいパリの下、
旗を振って応援する笑顔の観客席の人々と
選手団とセーヌ川、という
開会式のイメージ図通りの姿を
中継で流す予定だったのでしょうが、
旗を振るどころか、携帯すら出せない大雨(泣)。

客席の反対側にはスクリーンが設置され、
世界に流れているのと同じ中継を見ながら、
セーヌ川を進んでくる選手団を待つ
というスタイルだったのですが、
テレビ中継ではできる限り雨の様子が
小降りに見えるように、
そしてどんより暗い最悪のお天気が
少しでも黄色みを加えて明るく見えるように、
カメラで映し出す場所や角度や
色味を工夫しているなあぁ‥‥、
なんて思いながら、
スクリーンの中継を見ていました。


▲セーヌ川の広い範囲に客席が設置されて行われた開会式。
こんな風に自分達の目の前に出し物がやってきた時だけリアルに見れるという感じです。

バブー
テレビはいいところ取りで、
全ての場面を映し出していくけれど、
セーヌ川で待っている方の観客席側から見ると、
自分達の席の目の前で行われること以外は
何も実際に目でみれない、ということだからね。

ただただ、選手団が流れ着いてくるのを
待っている感じだったよ。

パリに住んでいる人だったら、
スクリーンの中継を見ながら、
「ああ、今どこどこの橋でこの煙が上がっているな」
とか、
「選手団まだあの辺りを通過しているから、
自分の目の前にくるのは30分くらい先だな‥‥」
とか、
「この歌手、あの橋の上で踊っているんだな」
などと分かるわけだけど、地理的感覚もない
観光客の人にとっては、
一体どこで何が行われているのかわからず、
キョロキョロしながら
「なんでここから煙が見えないの?!」
「あれ? 
 聖火を乗せたこのボート、どこにいるの??」
と話している人があちこちにいたんだよ。

とのまりこ
自分の席の目の前で行われることしか見れない、
というセーヌ川での開会式で、
その辺りをどう工夫してくるのかなということに
個人的にはいちばん注目していたのですが、
そこは何も工夫されておらず。
世界中のテレビの前で見ている人向けの
開会式だったなあという印象。

この辺りはきっと、
メディアでは語られない
開会式の部分なのかなあなんて思いながら、
貴重な体験をしてきました。

開会式を見たみなさんならご存知の通り、
聖火を持ってパリの屋根を駆け巡るシーンなど、
事前に撮影された映像が
かなり多く使われていましたが
その中に登場する青い空、白い雲と、
目の前のどんより灰色の空と雨との違いが
対照的すぎて、
雨に打たれながら複雑な気持ちでした。


▲テレビの中継用にセーヌ川左岸側から強いライトを当てているけれど観客席側からはなし。
というわけで、暗くなってからは選手の顔すら真っ黒で見えないという悲しさもありました。
もう少し観客席にいる人たちのことを考えてあげたらよかったのに‥‥泣。


▲旗を振って大騒ぎで盛り上がるというよりは、大雨に打たれる修行僧という感じ‥‥。
特別なラウンジを使えるホスピタリティチケットという高い金額を払っているから
帽子やポンチョが配られたけれど、それでもずぶ濡れです。

バブー
特別なラウンジでの体験とセットになった、
いちばん高いチケットは数十万円から100万近く。
そんな高いチケットを買っていた人たちも
途中で帰ってしまう人が続出していたんだって。

テレビには決して映し出されなかった観客席には、
そんな裏事情もあったのでした。
映し出されなかったというよりは、
映したくても映せなかったという感じだね。


▲最もランクの高いホスピタリティチケットの専用ラウンジは観客席のすぐ真後ろ、
セーヌ川沿いのパレドトーキョーに設置され競技の合間などにくつろげる場所になっています。
このラウンジを使えるチケットを買っていた人には
ポンチョと麦わら帽子などプレゼントも配布されたけれど、
麦わら帽子は残念ながら日除けではなくて雨よけになってしまった‥‥。

とのまりこ
ちなみに最後は、マクロン大統領以下、
偉い方々が集まっていたトロカデロ広場で
フィナーレを迎えていたわけですが、
あまりのひどい雨であの広場には参加せず、
選手村に先に帰る国の選手団も、実はいくつも。

「参加しない」
という選択をした国の選手団は、
いちばん高いカテゴリーの観客席の斜め前、
エッフェル塔のちょっと手前の船着場で
降ろしてもらっていました。

選手たちは、ポケットに入るものしか
持ち物が許されなかったそうで、
ただただずぶ濡れになって
バスに乗って帰って行ったそう。

次の日以降の体調管理もあったと思うので、
本当に大変だったと思います。
風邪をひいた選手がいなかったことを祈るばかり!
日本選手団も、さすがにあの雨の中のパレードに
心折れて先に帰ったと聞きました。

バブー
というわけで、
テレビには映し出されなかった
パリ・オリンピックの開会式の裏側ですが、
その後お天気も回復して、
一応滞りなく競技が行われていて、
世界中から来た人たちが楽しんでいるのは、
何より嬉しいこと!

メトロの中もオリンピックTシャツを着て、
国旗のフェイスペインティングとかをしている人で
いっぱいで、
ウキウキ・ワクワクしたムードに包まれているよ!

オリンピックも後半戦。
みんなで2024年の夏を楽しもう!


▲開会式にも登場した聖火の気球。
パリのチュイルリー公園に設置されて連日大人気の観光スポットになっています。


▲パリのディオール美術館。
開会式で着用された衣装が展示されていて間近で見ることができます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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※この連載を再編集し、
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illustration:Jérôme Cointre