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バブー&とのまりこの パリこれ! 住んでみてわかった、パリのあれこれ。


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「快適な生活は
管理人さん次第?!」

 
     
バブー&とのまりこの パリこれ! 住んでみてわかった、パリのあれこれ。
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「快適な生活は管理人さん次第?!」

バブー

ボクの住む街パリはね、
住宅のほとんどがアパルトマンと呼ばれる
集合住宅。
パリ市内にも一戸建ては実はあるにはあるけれど、
本当に数少なくてほぼ全てが集合住宅と言っていい、
アパルトマンが立ち並ぶ街だよ。

今日はそのアパルトマンの住人たちが
快適に生活できるように働いてくれている
管理人さんのお話だよ!

とのまりこ
昔は全てのアパルトマンにいたという
管理人さん。
日本でもホテルやタワマンなどで使われる
「コンシェルジュ」、
もしくは「ガルディアン」と呼ばれます。

管理人代は管理費から支払われますが
かなりのお金がかかるため
(建物内に住居を与えられ賃金も支払われるから)、
住み込みの管理人システムを導入するアパートは
年々減っており、掃除やゴミの出し入れだけ
外部に委託するというアパートも増えています。

管理人さん常駐システムのアパルトマンでは、
たいてい同じ建物の地上階に住んでいて
(住居を与えられている)、
共有部分の掃除、植物の世話、
ゴミ箱の出し入れ、郵便物の管理などをしてくれます。


▲今はだいぶ減っているというアパートに住み込み型の管理人さん。
毎日共有部分の掃除をしたり、ゴミ箱を通りに出したり回収したり、
郵便物を受け取ったりしてくれます。


▲たいてい建物の0階(地上階)に住居を与えられる管理人さん。
こんな感じで建物入ってすぐのところが管理人室のことが多い。
必ず顔をのぞかせているというわけでもない。

バブー
パリのアパルトマンの管理人さんは
ポルトガル人が圧倒的に多いと言われていて、
親の世代から受け継いだり、
親戚を国から呼んで一族で管理人の仕事を
広げていきその一帯を管理しているという
ファミリーも多かったりするよ。

2008年から住んでいるボクたちのアパートには
住人たちから絶大なる信頼を得ている
超働き者の管理人さんがいるよ。
なにしろ管理人さんの働きぶりで
アパートの共有部分のきれいさも決まり、
トラブルの多いこの国で郵便物が
ちゃんと届くかも決まり、
強盗や泥棒がどんどん増えている
治安のあまりいいとは言えないパリで
安全に暮らせるかが決まるとあって、
いい管理人さんがいるアパートに住めるというのは
毎日の生活を大きく左右することなんだ。


▲住み込みの管理人さんがいるアパルトマンは、
こんな風に郵便物を各家の玄関前に置きにきてくれるところが多い(こちらは友人宅)。


▲我が家の郵便うけは昔のホテルのような(?!)部屋ごとのボックス方式。
ここに管理人さんが毎日郵便を振り分けてくれる。
この管理人室には管理人さんがいる時間帯にしか入れない仕組み。
盗難事件がありそうだけど今まで大きな事件があったのは聞いたことがないから
割と平和なアパルトマン?!

とのまりこ
このコラムをずっと読んでくださっている方は
ご存知かと思いますが、
毎年高騰していくばかりの家賃がとても高いパリ、
息子が生まれてからも引っ越せなくて、
小さな小さな住まいで暮らしている我が家。

いつか引っ越さなくてはいけないとは
ず〜っと思っているのですが、
超働き者の管理人さんのおかげで
とても快適なパリ生活を送れているため、
このアパートからどうしても離れたくない
という理由もあって引っ越さなかったりするのです。
管理人さんの働きが大きく左右するパリ生活。

バブー
なにしろ郵便物も宅急便もきちんと届かぬフランス。
盗難事件とか、勝手に届いたことになっている事件とか
日常茶飯事なので、
管理人さんが確実に受け取ってくれて
荷物がなくなることがないってことだけでも
すごくありがたいことなんだよね。

アパートの共有部分もいつもピカピカで、
怪しい人が入ってきたらすぐ声をかけ、
そして中庭の植物たちは常に美しく手入れされて、
ゴミ箱も週に1回はきれいに洗浄しているような
働き者の管理人さんだよ。


▲管理人さんの大切な仕事のひとつ。
ごみ収集の時間に合わせて建物からゴミ箱を出して置いたりそれを回収したり。
住み込みの管理人はお金がかかるため、
この作業や掃除だけを外部に委託するアパートも増えてきたパリ。

とのまりこ
さて、このアパートの管理人さんには、
毎年年末(たいていはクリスマスに合わせて)になると
「エトレンヌ」(=心づけ)と呼ばれるものを
渡す習慣があるのも、フランスあるある。

たいていはお金を包んで。
(なにしろ日本以上の階級社会で上から下まで
生活がだいぶ違うパリ、こういう時に
渡す金額もちろんピンキリなのですが、
私調べによると40ユーロから50ユーロ
(=約6,600円から8,250円)が一番多かった。)
あとはチョコレートとかシャンパンとか
美味しいものをプレゼントしたり人により様々。
我が家は年末お金を包んで心づけを渡す以外、
日本から帰る時に日本のお菓子や雑貨など
ちょっとしたものをプレゼントするようにしています。


▲我が家のアパルトマンの人気者、超働き者の管理人ムッシュー・モーリス。
何棟もあるうちの建物以外にも周りのアパートを何軒も任されている姿を見ると
さらに働き者でみんなの信頼を得ているのがわかります♪


▲建物がいくつかある大きなアパルトマンなので、
管理人アシスタントのお兄さんがこんな感じの掃除用具を持って
毎日廊下や階段やエレベーターを掃除してくれています。

バブー
アパートの管理人に「エトレンヌ」を渡す人も
年々減ってきているそうなのだけど
これをするかしないかで、
ガラッと態度が変わったりするのも
おフランスあるある。
現金なものだけど、フランスで快適な暮らしを
するためにもかなり重要なポイントだと感じるよ。

まるで「賄賂」みたいだけど?!
実際「賄賂」に近いのかもしれない(笑)?!
でも実際にこれをするかしないかで、
管理人さんから受ける態度の話が
良くも悪くもすっごく変わるのを聞くから、
やっぱりけっこう大切な習慣なんだなって
思っているよ。

ボクたちの管理人さんは最初から
とってもいい人だったから
意地悪されたことはないけれど、
フランス人に教えてもらったこの習慣を
きちんとするようになってからは
何か問題があってもすぐ飛んできてくれるし、
荷物が届いたらわざわざ電話までかけてくれるし、
長い旅行中の留守期間などには
鍵を預かってくれたり
とてもよくしてもらっているよ。

それではみなさん今日も良い1日を。
ボンジョルネ〜!


▲バカンスで長い間留守にすることが多いフランス。
この夏もプチモンスターのクラスメイトの家が強盗に入られたばかり
(高級住宅街の管理人がいない建物)。
そんなニュースが身近な知り合いだけでもしょっちゅうある治安がいいとは言えないパリ。
管理費も高くなりお金がかかるとはいえ管理人さんの存在はとっても重要だったりするよ。

 

 

 

 

 

 

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「シンプルシックで心地よい暮らし
パリの小さなアパルトマンで楽しむおうち時間」
出版社 : 世界文化社
発売日 : 2021/5/29

 

 

※この連載を再編集し、
 書き下ろしも入れて新潮文庫になりました。
 こちらをぜひご覧ください!(2015年8月出版)

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illustration:Jérôme Cointre