ーー お二人は、回文を
いつも、どういうふうに
つくっているんですか?
秋山 うーーん‥‥
たとえば、ニュースやTwitterなんかで
人の名前をみていると、
「この名前、文字をひっくりかえしたら
 うまくいきそうだな」
って予感がするときがあるんですよ。



山内 そうそう! 一緒です。
私も、まずは名前をひっくりかえして
逆から読みます。
それでメインを1つ考えて、
その上下を構文で
はさむことが多いです。
秋山 あとは、パソコンで
ひらがなを打ってみて、
「こう組み合わせたらいけるなー」
というのをパズルのように
あれこれやってみたり。
山内 漢字だったものを
ひらがなにしてみると、
そのなかで思いがけない
単語がうかんでくることが
ありますよね。
秋山 ニュースなども
やっぱり回文を意識してみています。
以前、沢尻エリカさんが
ワイドショーを賑わせていたときに
つくったものがあるんですけど‥‥。
ーー どんな回文ですか?
秋山 これです。



秋山 3つめの「理事」っていうのは、
「沢尻会」っていう集まりが
あると聞いたので‥‥そこからです。
沢尻さんは、なんとなく
回文にしやすいんですよ。
山内 沢尻さんもポテンシャルの高い名前ですね。
秋山 うん、山内さんも同じだと思うんですけど、
ぱっと名前を聞いたときに、
ピンとくるんだと思うんです。
「この人はいけるな」と。



山内 そうですね。
秋山 それから、これも
バンクーバーオリンピックのときに
選手たちの名前をみていて
思いつきました。



山内 あははは。くだらなすぎる(笑)。
「真央でおま」って、
絶対言わないでしょう、真央ちゃん。
でも、そこが逆にいいですね。
秋山 そうなんですよ。
これも、そのときの時事ネタですね。



ーー こういうのがポンポン出てくるって‥‥すごい。
ところで、ブログで拝見したんですけど、
山内さんは人とお会いする前に
回文をつくるっていうエピソードがあって、
おもしろかったです。
山内 あっ、そうなんです。
以前、三谷幸喜さんの作品で、
野田秀樹さんが出演されている舞台の
司会を務めさせていただいたんですけど、
行きの電車でとても緊張してしまって。
それで、緊張をほぐすために
回文をつくることにしました。



秋山 いいねー(笑)。
山内 それで、電車のなかで完成したのが、
この2つです!



山内 むしろ、この文で興奮してしまって
よりドキドキしちゃったっていう‥‥。
で、本人たちに言えなかったんですけどね。
秋山 ははははは。
本人に言えなかったんだ。
この、三谷さんのは、
「ニタニタ」がポイントですね。
山内 はい(笑)。
それから、私、わりと
地名を用いたものも好きなんですよ。



ーー あ、はじめて回文に目覚められたのも
「武蔵小杉」の駅名が
きっかけでしたもんね。
山内 そうなんです。
それで、以前、新潟に着いたときに
つくったのがこれです。



山内 なんかいいでしょ?
日本海側の、道ならぬ恋‥‥みたいな。
秋山 いいですね。
日本海側っていうのが特に。
山内 あと、これも。
仙台って、わりと「夜の町」という
雰囲気もありますから‥‥。



秋山 呼び込みっぽくていいですね。
色気がある。
山内 うふふ。
ちょっとエロを盛り込んでみました。
秋山 うん、そういう要素が入っていると、
人は気になるし、覚えやすいですよね。
ーー なるほど、エロは大事‥‥と。
お話をうかがっていると、
山内さんは、人と会ったり
出会った土地のことをきっかけに
回文をつくられることが多そうですね。
山内 そうですね。
秋山 あの、実はぼくも、
今日呼ばれたのをきっかけに、
糸井さんの回文をつくってきたんです。



ーー えーっ!
山内 みたーい!
秋山 けっこうすぐできたんですよ。
これです。



秋山 ふたつめの「シートE」というのは、
野球のシートのことですね。
個人的にけっこう好きなのが最後のです。
糸井さんの愛犬のブイヨンちゃんが
健康診断に行ったら、
胃も健康だった、みたいな‥‥。



山内 ふふふふ。
絵で浮かびますね。
秋山 やっぱり糸井さんの名前って
すごいですよ。
すごくポテンシャルが高い。
山内 そう。真ん中においても回文になるし、
はしっこに置いても回文になる。
こんな名前は、なかなかないですよ。



秋山 糸井さんだけで、
一冊の本ができると思うんですよね。
ーー そ、そんなに‥‥?
山内 写真とかイラストをつけてね。
「土佐、夏至、糸井重里」とか‥‥
井上陽水みたい。
「少年時代」がバックに流れてそう。
秋山 夏至に
糸井さんに
土佐へ行ってほしいなぁ‥‥。



山内 土佐のお酒なんかの
コマーシャルだったら
ばっちりですね。
着流しなんか着たりして。
雰囲気でそう。
ーー ポスターもすてきになりそう。
秋山 「糸井と糸井」
これも、糸井さんが
オリックスの糸井さんと握手しててね。
いいなぁ、本出したいなぁ。
山内 いけますねー。
ーー なるほど、回文って
絵が浮かぶっていうか、
こういう妄想でも遊べるんですね。
だんだん楽しさがわかってきました。
(つづきます)

2013-05-15-WED