さて、次回の課題を最後にしましょう。
最終授業のつもりでご応募ください。
それでは、テキスト、
『土屋耕一のことばの遊び場。』の
『回文の愉しみ』のほうを出してください。
そうです、和田誠さんが編集したほうの本です。
その162ページに、「蠅句」という章があります。
あるいは、179ページには「キングコン句」が。
このふたつは、題材は違うけれども構造は一緒、
いってみれば同じ種類の「遊び」です。
ご説明しましょう。
「蠅句」は映画『ザ・フライ』をテーマに、
「キングコン句」のほうは、
映画『キングコング』をテーマにしています。
どちらも遊びのルールは共通です。
「映画の物語を、五七五の俳句で追いかけていく」。
これだけです。
例を挙げてみましょう。
まず、映画『ザ・フライ』。
物語を簡単に説明すると、この作品は
「人が徐々に蠅になっていく」という恐怖映画です。
土屋さんはその「蠅になっていくさま」を
主人公目線で五七五の句に詠んでいます。
というとなんだか真面目そうに聞こえますが、
ま、そういう遊びです。
だって、ふつうしないですよ、こんなこと。
主人公が人間から徐々に蠅になっていく感じ、
土屋さんの「蠅句」でおたのしみください。
飛べと誘う飛ぶなと叫ぶ草いきれ
短夜の右足で掻く左足
虫の声手と足細くなりにけり
夏痩せて瞳を閉じることもなし
新涼のミルクにのばす黒い舌
──とまあ、こんな感じ。
わあ、なんだか、怖いですね。
ちなみに「蠅句」というのは
「俳句」とかけているんですよ。
一方「キングコン句」はというと、こんな感じ。
こちらも、キングコング目線ですから
もの悲しい句が多い。
コングがニューヨークで暴れ、
エンパイア・ステート・ビルをのぼっていく様子を
五七五でご堪能ください。
踏みつぶすものやわらかき裸足かな
虚空から人間(ヒト)を見おろす暑さかな
登っても登ってもまだ夜暑し
香水の匂う窓べを過ぎにけり
金髪を見ているしきりに喉かわく
──いかがですか?
遊びの趣旨がおわかりになりましたか?
さぁ、それでは、みなさん、最後の課題です。
ある映画の物語を、五七五で追いかけてください。
どの場面でもかまいません。
今回は特別に、目線も自由とします。
物語のなかの、誰の目線でもかまいません。
え? なんの映画かって?
そうですよね、それがこの遊びの肝心なところ。
観てない人は遊べませんから、
できるだけ多くのヒトが観ているものにしたい。
どの映画がいいかと考えて、選んだのはこちらです。
『となりのトトロ』
さあ、これなら観てる人も多いでしょう。
観てない人はこの機会に観てください。
おもしろいから。
あと、お父さんの声を演じてる人が知ってる人だから。
コーナーのタイトルは
「蠅句」「キングコン句」にならって
こうすることにしました。
「句サカベです」
くり返します。
『となりのトトロ』の物語を五七五で表してください。
どこの場面でも、かまいません。
誰目線でも、かまいません。
選ぶときのガイドとして、
「どの場面を誰の目線で詠んだか」
メモ程度でかまいませんから
書いておいていただけると助かります。
あ、あと、ペンネームというかハンドルネームというか
俳号も添えておいてくださいね。
例によって締切は曖昧です。
ほどよく集まったころ、集めて選んで掲載します。
それでは、みなさんの投稿をお待ちしています! |