9、「沖縄の人」
友達のSくんと
共通の知人についてしゃべっていたら、
「沖縄の人って、なんであんなに、
なにをしゃべってもいいふうに、
かっこよく聞こえるんだろうね」
とつぶやきました。
私は、ものすごく大きくうなずきました。
というのも、このあいだ那覇に行って、
友達の友達がやっている居酒屋で
飲んでいたときのことです。
よく考えてみると、
店の店長がずっと私たちのテーブルで
いっしょにみっちりと飲んでいること自体が
「?」なのかもしれないけれど、
まずそこからして全然かっこ悪く見えないので、
うらやましい。
そして私の連れが「ケイコです」と名乗っただけで、
その店のすてきな店長は、
「ケイコか~・・・。
私が何十年も連れ添った妻もケイコと言いました。
もう今はこの世にいません。
だから、私は、ケイコと口に出すだけで、懐かしい。
それだけで、幸せになるよ。
ケイコ・・・、ケイコ・・・」
(沖縄なまりで読んでください)
と言って、ケイコの肩をさりげなく抱いていた。
これだけの話の中にすでに、
・男の切なさ
・くどき
・泣きそうないい話
・ユーモア
・いいかげんさ
などがもりだくさんに混在しており、
私はしみじみと彼を見つめながら、
沖縄の人は得だな~、と思ったのです。
 
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