22、「わかった!」
よく街を歩いていると、
十年前のお化粧の人がいます。
昨日も見た。
目の上が青で、チークが鋭角に入っていて、
耳のあたりだけくるくるドライヤーで
後ろに流している五十代。
たいていの場合そういう人は
服も髪型も十年前なのだが、
理由が今ひとつわからなかったのです。
よく言われているのは
「自分がいちばん輝いていたときのものを
そのまま採用している」
というものなのだけれど、
なにか、今ひとつ違う気がする。
あれだけ手間のかかることをしているのだから、
おしゃれに関心がないわけではなさそうだし、
いちばん近いのはどの言い方かな~などと
よく考えていた。
だって、たとえばですが
ジョージア・オキーフって、
きっといつ会っても十年前と
さほど変わっていないまま
亡くなったはずなんですけれど、
きっと
「普遍だなあ」
と思うだけで、
だれも
「古いなあ」
とは思わなかったわけですから・・・。
うちの姉は漫画家なので、
私はよく姉といっしょにイラストなどを描きました。
高校生の頃です。
姉は大人っぽい絵柄、私はかわいいふうでした。
そして、このあいだふと
「今も少女漫画の人物描けるかな?」
と思って、描いてみたのです。
そうしたら、なんと、
描けるんだけれど、絵が当時で止まっているのです。
その人たちに今の服を着せても、
今の髪型をさせても似合わないのです。
「わかった!
単にそこで成長が止まっているんだ、
あらゆる意味で。
それで、止まったから
普遍までたどりつかなかったんだ!」
と私はみょ~に納得したのでした。
きっとオキーフは同じようでも
微妙に日々変化し続けていたのでしょう。
その違いが見た目でわかるとは
なんとおそろしいことじゃろう。
気をつけねば・・・。

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