41、「ママママママ!」
息子は「ママ」よりも先に「パパ」を言うようになった、
それはわりと珍しいことだと思います。
それで、少しだけ気持ちがあせって、
うらやましくなったりしたことも、
なぜか突然フロリダのホテルで夜中の三時過ぎに
「ママ〜!」と言われてびっくりしたことも
記憶に新しいのです。
「ママ」と呼んでくれなかったあいだ、
「いや、一生呼ばないってことはないだろう。
きっとそのうちいやというほど呼ばれるのだから、
いいのだ」
などと思って気をまぎらわせていました。
しかし・・・!
今、なぜか寝付く前の彼はいつでも超ハイテンション。
「ママ〜ん!!!!ママママママママ!」と言いながら、
私の出っ腹の上にかかとおとしを何発もくらわせ、
「ママママ!ママ!ねんねあっこ」
(ネンネするから抱っこしろ)
と言いながら全身で顔の上に覆い被さってきて、
「ママママ〜!」(絶叫!)と耳元で怒鳴ります。
それを見て見ぬふりで背中を向けて寝るパパ。
そして私は思う。
「どうして、今こそパパじゃないんだよ!
力でする遊びはパパのものなんじゃ?」
そういえばこの間帰宅したとき、
野菜の宅配の箱が十箱くらい届いていました。
パパは犬や猫のトイレの掃除にかかり、
バイトのなっつくんは子供を抱っこして寝かしつけ、
気づくとなぜか私が野菜のぎっしりつまった箱を
次々に運び入れていました。
その三つの中では、どう考えても、
いちばん私がしないはずの役じゃない?
いや、ママとはきっといちばん強いものなのだろう。
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