2匹のねこがやってきて、去ってった。〜ミッツと牛との日々〜
第7回

牛がふたたびやって来て、
わが家を思い出したのか、キョロキョロしていた。
海苔を探しているように、見えてしまう。

牛が来て2日間。どういうわけか、ミッツは鳴き続けた。
それまで、ごはんのとき以外は、
ほとんど鳴かなかったミッツ。
牛に何かをうったえているのか?
わからない。
牛は、
「うるさいなぁ」という素振りで、
人間のベッドの中で、しらんぷり。

とにかくミッツは、何かを探していた。
一晩中、部屋を、鳴きながらウロウロと。

ミグノンさんに
「何かを探しているように見えるんです」
と相談したら、
「そういえば、
 ミッツのこどもも、白と黒のねこだったんだ」
なんと、ミッツには、こどもがいた。
一緒に東京にやって来たはいいが、
ミッツはまったくひとに慣れず、
こどもはすぐにひとに慣れたので、
そっちの子だけ病院が引き取ってくれたそうだ。
もしかしたら、牛をこどもと
見まちがえたのかもしれない。
でも、目の前にいるのは別人。
とにかくミッツは、何かを探していた。
もしかしたら、ミッツは、
息子と離れたことが、ショックだったのかな。
人間の勝手な想像だけど、そこには、ドラマが、あった。

ミッツと牛には、これからどんなドラマが
待っているんだろう。
とにかく、しあわせに暮らしてほしい。



(つづく)

2012-05-05-SAT
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