牛がふたたびやって来て、
わが家を思い出したのか、キョロキョロしていた。
海苔を探しているように、見えてしまう。
牛が来て2日間。どういうわけか、ミッツは鳴き続けた。
それまで、ごはんのとき以外は、
ほとんど鳴かなかったミッツ。
牛に何かをうったえているのか?
わからない。
牛は、
「うるさいなぁ」という素振りで、
人間のベッドの中で、しらんぷり。
とにかくミッツは、何かを探していた。
一晩中、部屋を、鳴きながらウロウロと。
ミグノンさんに
「何かを探しているように見えるんです」
と相談したら、
「そういえば、
ミッツのこどもも、白と黒のねこだったんだ」
なんと、ミッツには、こどもがいた。
一緒に東京にやって来たはいいが、
ミッツはまったくひとに慣れず、
こどもはすぐにひとに慣れたので、
そっちの子だけ病院が引き取ってくれたそうだ。
もしかしたら、牛をこどもと
見まちがえたのかもしれない。
でも、目の前にいるのは別人。
とにかくミッツは、何かを探していた。
もしかしたら、ミッツは、
息子と離れたことが、ショックだったのかな。
人間の勝手な想像だけど、そこには、ドラマが、あった。
ミッツと牛には、これからどんなドラマが
待っているんだろう。
とにかく、しあわせに暮らしてほしい。
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(つづく)
2012-05-05-SAT
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