2010年、スイカの季節。
梅雨明け宣言と同時に列島を駆け抜けた、
1本のニュース――。


 
まさかの「大喜利大会」連続出場――。

誰も予期し得なかったこの事態に、
他の出場選手は? 勝算は? ‥‥締切りは?
さまざまな疑問がウズを巻く。

すぐさま、われわれ取材班は
「ギャグ漫画家大喜利バトル」を主宰している
おおひなたごう氏と都内某所で接触。

大阪での開催を間近に控えた
「第三回ギャグ漫画家大喜利バトル」について
独占インタビューに成功した。

その結果、
まさに「地獄のトーナメント」ともいうべき
驚愕の出場選手ラインナップが
白日のもとに、さらされたのである――!



── おおひなた先生、はじめまして。
ごう はじめまして。



── 話せば長いのですが、大きく言いますと
今日は
「第三回ギャグ漫画家大喜利バトル」について
お話をおうかがいに来ました。
ごう ようこそ。
── さっそくですが、
出場選手の紹介をお願いしたいのですが。
ごう いいでしょう。
── ちなみに、おおひなた先生、
なんでしょう、
そのおメガネは、そのままで‥‥?

ごう このままで結構。
── 失礼いたしました。
それでは、どうぞ、お願いいたします!


エントリーナンバー、1番――。
『すごいよ!!マサルさん』で一世を風靡、
全国区の知名度を誇る「ジャンプ作家」であり、
栄えある初代チャンピオン。
しかし、連覇を狙った第二回大会では
とり・みき選手に初戦で敗退。
泣いた、その晩――。
今回も、そのたぐいまれなイケメンっぷりで
女性客をぎょうさん連れてこいや!
前回の屈辱をバネに「返り咲き」をめざす
手負いのセクシーコマンドー、
うすーたァーーーーー京ーーーー介ーーーー!






エントリーナンバー、2番――。
ダ・ヴィンチ「泣けた本ランキング」第1位――。
西田敏行さん主演で映画化も決定――。
そんな感動マンガ『星守る犬』
世間を感涙の海にたたき落としたマンガ家が
今回、自ら「出たい」と参戦表明。
そんな人は滅多にいない‥‥いったい、なぜ!?
それはかつて『EXテレビ』の「お暗いマンガ道場」で
蛭子さんたちと大喜利の腕を競っていたから。
ギャグ漫画界きってのトップ感動作ブリーダーが
道場やぶりにやってきた!
村上ーーーーたかァーーーーしィィーーーー!




エントリーナンバー、3番――。
全国東宝系公開? ナンボのもんじゃい!
『星守る犬』が映画化ならば
無職の煩悶、決意の上京、そして都会で右往左往――
そんなワシの自伝的マンガ『おのぼり物語』なんか
この夏、すでに映画化済みや!
30過ぎで手にしたマンガ誌の「欄外」作家から
一気に「頂点」とったるで!
そんな、ノリにノッてる気鋭の若手は
そのアートの域にまで達した「スベリ芸」で
先輩たちをケムに巻けるか?
カラスヤーーーーーサトーーーーシィィィィ!




エントリーナンバー、4番――。
今大会、たったひとつだけ用意された、予選枠。
ピョコタン氏をはじめ、
あまたの剛の者が熾烈な争奪戦を演じた
予選トーナメントを制したのは
「元エンジニア」という異色のマンガ家だった――。
半導体製造工場勤務時代の経験を
エッセイ風に描いた『シブすぎ技術に男泣き!』
現在なんと20万部突破のヒット街道爆走中。
ノリにノッてるのは、オレのほうだぜ!
日本工学院専門学校メカトロニクス科卒業、
みるのーーーーーーえいーーーじーーーーー!




エントリーナンバー、5番――。
日本ギャグ漫画界のリーダー的存在であり、
説明不要の絶対王者――。
対戦相手によって変幻自在に使いわける
大喜利スタイルと
異様に精度の高いイラスト回答で、ピカイチの安定感。
当然、下馬評では優勝候補筆頭、
今大会も「とりコンピューター」に狂いはないのか?
目指すはもちろん、2連覇だ!
ギャグからSF、ホラーまでを巧みに操る
大喜利界のアントニオ・ホドリゴ・ノゲイラ、
とりーーーーーーー・みーーーーきーーーー!




エントリーナンバー、6番――。
これまで、幾度とないオファーを退けてきた
日本ギャグ漫画界のチョモランマ――。
未完の名作と呼ばれた『ストップ!! ひばりくん!』
今年、27年越しに完結させた大御所が
ついに「大喜利バトル」の参戦承諾書に泥酔して署名。
ハードパンチャー? グラップラー?
ストロングスタイル? ヒット・アンド・アウエー?
そのファイトスタイルは、
現時点では、まったく予想だにすることができない!
ともあれ、ついに、「山」が動いた――。
江口ーーーーーーーひさーーーーしーーーー!




エントリーナンバー、7番――。
大喜利大会の「ワールドカップ」ともいうべき
「ダイナマイト関西」でベスト4――。
「ギャグ漫画家大喜利バトル」には初参戦ながら、
有名お笑い芸人を
次々と打ち破ってきたその大喜利ファイトは、
いうまでもなく、ウルトラヘヴィ級。
しかし今年5月の「D関」で、まさかの初戦敗退――。
無冠の帝王、雪辱なるか?
それとも、ただの「大喜利好き」で終わるのか?
どん底から這い上がってこいや!
和田ーーーーーーーーラヂーーーヲーーーー!




ごう …これはわたしですが。
── ええ。
ごう やりますか。
── よろしければ、ぜひ。

…エントリーナンバー、8番――。
2008年より「ギャグ漫画家大喜利バトル」を主宰。
みずから選手として戦うだけでなく、
他の参加選手のスカウト、
会場の下見から、優勝記念グッズの発注まで
「大喜利バトル」のすべてを司る!
え? 何? 何のためにやってんのかって?
そりゃあ、自分が勝つために、やってんだ!
過去2回の悔しさをバネに
悲願の優勝めざして、気持ちはいつでも丸坊主!
ふだんは家族を愛するマイホーム・パパ――。
おおひなたーーーーーごーーーーうーーーー!
‥‥なんなんだ、この出場選手たちは!

独占インタビューからの帰り道、
われら取材班の胸には
「ラヂヲ先生、勝てるのか‥‥!?」の想いが
激しく去来していた。

どのような組み合わせになるのであれ、
それはまさに
「地獄のトーナメント」と呼ぶにふさわしい。

これらの強豪を打ち破り、
「てっぺん」まで登り詰めるための戦いは、
まるで、主人公ビリー・ローが
各階で待ち受ける武道の達人を倒しながら
五重の塔を登ってゆく映画、
ブルース・リーの『死亡遊戯』じゃないか‥‥。






<つづく>
2010-10-20-WED