その7わたしは、わたしらしくありたい。

武井です。前回までの男子編に、
いっぱい感想のメールをいただきましたよ!
ありがとうございます。はげみになります。
すこしだけ、紹介させてくださいね。

自分に似合う白いシャツ!
私もとーっても憧れているので、
この企画に注目しています。
武井さん、大丈夫ですよ、
女性ですがシャツのオーダーメイドのくだりは
楽しく読ませていただきましたよ!
(中略)
女性編も楽しみにしています。
私も最近、白いシャツにトライしています。
デザインでどうにかこうにか逃げていますが、
正統派でしっくりくるものを探したいですねぇ~。
(はねださん)

よかったあ。
そして、女性も「自分に似合う白いシャツ」、
あこがれとわかってほっとしました。
だって、かっこいいものね、
白いシャツを着こなしている女性って、すごく。
男性の目からも、きっと女性の目からも。

シャツでこんなに印象が上がるなんて、
うちの夫のシャツも見直しすべきか?とおもいました。
女子の白シャツ、凄く楽しみです。
(50代主婦さん)

だんなさまは、きっとぼくとよりちょっと年長かな。
こんかい4人でいろいろ着て思ったんですが、
若い男子よりも、あるていど歳を重ねた男のほうが、
似合う白いシャツがハマったときの「変化」、
大きいんじゃないかなあって思います。

大変興味深く毎週楽しみに見ております。
白いシャツを上手に着て「おーっ!」と
二度見したり振り返ったりする事がなかった気がします。
自分も白いシャツを
材質を選んだスカートやパンツに合わせてみましたが
思い描く白シャツスタイルにならずあきらめていたところ、
先日「ディオールと私」という映画の中で
ラフ・シモンズの右腕ピーター・ミュリエーという
男性の白いシャツの着方にボーッとなりました。
何で白いシャツ一枚でおしゃれに見えるのか、
ブランドか、仕立てか、何が違っているのかと
映画を2度も見てしまいました。
是非見て下さい。
女子編ますます楽しみにしております。
(育子さん)

ぼくもこのコンテンツを始めてから、
「白いシャツをかっこよく着こなしている人」に
フォーカスをあてるクセがつきました。
「ディオールと私」、未見です。見なくちゃ!

本当に面白かったです。
興味深く読みました。
そして、男子羨ましい。
50越え女の人の場合は
どうなんだろう?
白いシャツ着たいです。
白いシャツが似合う人になりたい。
でもね、体形がそれを許さない。
似合わない!
鏡がおかしいか?
いえ、ぜんぜんカッコ良くないのです。
以前、ジャージで、(ジャージで歩いていたわけは、
子どものクラブの引率のため、保護者会役員も
それを着せられた訳で)歩いていたら見知らぬ人から、
日体大の方ですかと、真顔で尋ねられるほど、
肩幅があるのです。ガッチリしています、
普通のおばさんなのに。
あー、だから女子編も楽しみにしています!
すごーく!
似合う服は、3割増し。いいなー。
(匿名さん)

体型のいろいろ。なやみどころですよね。
ぼくの友人女子にも、
「カタハバ問題」に悩むものがおります。
ほかにいただいたメールにも
「わたしは『肩幅ひろみ』と呼ばれていました!」
というかたがいらっしゃいました。
このテーマ、いったん預からせてください。
それこそ伊勢丹のかたに訊いてみたい。
そういうお客様もいらっしゃるはずだから。

今度は女子編ですね!!
録音テープから、とっちらかって、、ということは、
それだけ驚いたり、新鮮だったり、
発見があったということでは。
などと、勝手に想像しております。
シェフ、次回も楽しみにしてます!
(MIOさん)

そうなのです。驚きや発見、いろいろありましたよー。
男子は「いい感じに見られたい!」という、
客観的な評価に重きを置くのに対し、
女性たちは「わたしは、こうありたい」
「わたしは、わたしらしくありたい」
というテーマをそれぞれが持っていて、
それはけっしてブレないんですね。
自分に対してブレが少ないから、
ほかのメンバーの「似合う・似合わない」への評価も、
「そのひとの個性」を尊重する。
ぴったりだけれど、ちがう、とか、
ちょっと大きいけど、似合う、とかもアリ!
男子は「ちょっと大きい」はNGでしたからねー。

ということで、いまだ、まとめる自信のないままに、
これを書き始めている武井です。
とにもかくにも、女子編スタートいたしましょう!

ここは伊勢丹新宿店の4F、婦人服のフロア。
2階から4階、3フロアにわたる
婦人服の広大なショッピングエリアで、
「理想の白いシャツ」をさがします。
「ぜひとも、今日、1枚、買いたい!」と、
財布を手に集まったのは、
40代のトミタ、
30代のゆーないと、
20代のもも、3人です。

まずは彼女たちのプロフィールを紹介します。

40代前半。体型はわりと長身(166センチ)
「中肉で、手が長いです」。
5割デスクワーク、
5割ミーティングや人に会う仕事で、
ミーティングでも座っているので、
勤務時間の8割は座っているようなワークスタイルです。

仕事の日は、シンプル目のカットソーやシャツと
スカートの組み合わせ中心。
真夏は涼しいのでワンピースが多いです。
そして週末はジーンズ率高め。
服を買う基準は、
「着て、うれしくなる服」。
着心地が良いとか、着た時のシルエットがいいとか、
作り手のデザインが好き、
というものが増えているようです。
長く着ているブランドは、mina perhonenやA&S。
そのなかで「お気に入りのシャツ」は、
「いつ着てもうれしい」と思える、
A&Sの白いシャツ(えりなし)です。

今回は、ふだん使いができるけれど
(家で洗濯ができる、できればアイロンがけ不要)、
ちょっとしたお出かけにも着ていけるシャツを探します。
もうひとつ、手が長いため、
既成のシャツはだいたい袖が短い!
ちゃんとサイズがあうものに
出会えたらうれしいなぁとも思っています。

「ふだん、家をでるときに、洋服にあわせて、
靴をどうするか、ちょっと悩むのですが、
白いシャツはスニーカーもブーツも
サンダルもなんでも合うので、らくちんです」

30代前半、ふつう体型。
基本座ったままのパソコン仕事ですが、
取材や撮影、打ち合わせで
外に出かけることも多い人です。
わりと「ポップ」というんでしょうか、
ふだん、カラフルなものや、柄もの、
(主にねこなど)目鼻のある絵のついた服が多いんですが、
「そろそろ年齢的にも、それはどうなの?感もあり」
と、本人。ちょっとずつ、モノトーンを
取り入れたりしているようです。

でも洋服を買うときの基準はいまだ、
「おもしろいかどうか」
「カワイイ!と心踊るかどうか」。
「これは誰も着ないだろう」というものにも、
バンバン手を出すタイプです。
あこがれのブランドは、コムデギャルソン、
sacai、muveilなど。
でもじっさいは、ブランドをあんまり気にせず、
柄や形で探してるみたい。
好みのものがある気の合うセレクトショップや
おもしろいものがある古着屋も好きらしいです。

白いシャツは、以前、イベントで着る必要があって
ユニクロで取り急ぎで買ったものと、
古着、それもキッズサイズのものを持ってます。
「でも‥‥まったく気に入ってません!」
シャツ1枚でさらりと着るというよりも、
秋冬にセーターの下に着たりして使っています。
いっちょうらとして、A&Sで買ったものもあるそう。

今回、参加にあたって、探したいシャツは、
1枚でさらりと着ても、
「店員さん的」「制服的」な感じではなく、
かっこよく見えるもの!
変な形とかじゃなく「さりげな系」希望。

「そんなシャツ、あるかなあ‥‥。
自分が悪いのかも?
顔とか、性格、態度とか、
白いシャツに、好かれてないのかも?!」

とまで、言っております。

「あまり、みなさんの参考に
ならないようなタイプで、すみません」

年齢は20代前半。
デザイナーなので基本的には座る仕事。
ふつう体型ですが「肩幅があります」。
ふだんの服装はシンプル。品のあるカジュアル。
うん、たしかに、とても落ち着いた服装をしています。
服を買う基準は「身体に合うシルエットかどうか」
そして「素材が好きかどうか」。
安物買いの銭失いもたまにあるので、買い物は慎重。
最近うれしかったのは、
MARGARET HOWELLでのお買い物だったそうです。

そしてこの取材に行くまで、
「白いシャツ」は一枚もなし。
そもそも、襟なしブラウスが主で、
襟付きのシャツというものを、ほとんど持っていない!
だから今回は「そもそも、自分の雰囲気に合う
シャツって、あるのかなあ?」
というところからのスタート。
ないかもしれない!とすら思っています。

ほんと、ばらばらですね。
年齢も、志向も個性的で。
でも、このちょっと極端な3人が、
それぞれお気に入りの白いシャツを
見つけることができたならば、
この企画、大きく前進するはずです。

「そもそもわたし、シャツとブラウスのちがいも、
わかっていないんです」

伊勢丹に入るやいなや、不安げにそう言うのは、もも。
彼女は、そもそも若いんですが、そのなかでも
「ただでさえ歳が若く見られる」という人。
うん、たしかにそうだ。だから
「制服っぽくなるから、白いシャツは着ません‥‥」
なんですね。
シャツとブラウスの違い‥‥、
えーっとね、それはね‥‥‥‥。あれ?
シャツとブラウスって、どう違うんでしたっけ?

「そうですよね、そもそもの疑問ですよね。
けれどもそれは、気になさらないでくださいね」

やさしく教えてくださったのは、
伊勢丹新宿店本店で、この取材当時、
“フロアアテンダント”をなさっていた清水さん。
“フロアアテンダント”というのは、
通常、担当エリアが決まっているところを、
複数のフロアにわたってお客さまを案内するお仕事。
当時、清水さんは本館2階、3階、4階にわたり
婦人服を担当していたので、
ちょうどわれわれの取材にぴったりということで、
おつきあいくださったのでした。

「デザイナーやブランドの表現のちがいなんですよ。
ブラウスという言葉に感じる女性的なイメージと、
シャツという言葉に感じる男性的なイメージが
ありますよね。
シャツは、もともと
紳士のアンダーウエアだった時代があり、
ですからよりメンズ的なものを
シャツと呼ぶことが多いように思います」

そういえばぼくの買うブランドは、
紳士物のシャツも、あえて「ブラウス」って言います。
最初、違和感があったけれど、
長年聞くうちに慣れちゃいました。

「どのようにお召しになられたいかで、
シャツ選びの基準も変わるかもしれないですね。
アウターの下に重ねて着るのか、
シャツ1枚で胸元を開けて恰好良く着るのか‥‥」

これを聞いて、大きく頷いたのがトミタです。

「タイトスカートか、フレアスカートか、
あるいはデニムか、ボトムスの選び方でも
大きくかわりそうですよね!
シャツをインにするか、出すかでも」

彼女はふだんよくロングのフレアスカートをはいています。
そこに合わせるのは、「シャツっぽいシャツ」が多い。
それも、洗いざらしで、ラフ、
デニム素材のものもあったりします。
それをじょうずに重ね着をすることで、
ラフなのに、かえって女性的な印象を引き立ている。
そんな印象をぼくは持っています。

「ありがとうございます。でも、じつはわたし、
アイロンが苦手で、
それでそんなスタイルが多いんですよ」

トミタの発言に、もも&ゆーないとも賛同。

「そうですよね!プレスたいへーん!」

「わたしはアイロン、
はっきり、きらいと言ってもいいくらいですっ!」

ありゃま。逆に男子からは
「アイロンのぴしっとかかったシャツって気持ちいいよー」
という声もあり、また、
「今回の取材を機に、
アイロンをちゃんと習いたいくらいだ!」
というお調子者な声もありましたが
(もちろんシャツを買ってから目覚めました。
そして、あたりまえですが、自分でやる前提です)、
それはいったん置いておきましょう。

たしかに「アイロンいらず」のシャツ、
女性のカジュアルなラインには多い気がしますねー。

清水さんは言います。

「そうですよね、とてもよくわかります。
1度洗った状態で提供している製品も多いですよ」

だんだん、方向がかたまってきたかな?
では、いざ、シャツ選びにGO!

2015-06-11-THU