白いシャツをつくるひとびとへの取材。
今回はイタリア人のエンリコ・デ・ピエリさんに
お話をききました。
ピエリさんは、1876年創業の
イタリアのアルビニ社という老舗生地メーカーの社員。
アジア、そして日本のメーカーに
自社の生地を紹介する仕事をしています。
今回の「白いシャツをめぐる旅。」では、
「レディ フォア ザ ウィークエンド」
のシャツで使っているのが、アルビニ社のリネンです。
洗いっ放しで、ノーアイロンのまま、
しわ感をいかして着られるシャツで、
ウエストをちょっとだけ絞った
女性的なシルエットがとてもきれいなシャツ。
「レディ フォア ザ ウィークエンド」では、
数年前、ブランド立上げと同時に、ずっと、
アルビニ社のリネンを使っているそうで、
バイヤーさんによれば
「レディ フォア ザ ウィークエンドの
最も大切なアイテムのひとつです」。
店頭では「白」だけじゃなく、
さまざまなカラーで展開しているので、
ひときわ目をひくのが
このアルビニ社の素材を使ったシャツなんです。
「クオリティの高さが、
店全体の雰囲気まで押し上げてくれているようです!」
カジュアルなのに、ふわっと香りたつような品があるのは、
そのデザインだけじゃなく、
うんと上質なリネンの生地にもひみつがありそうです。
世界じゅうでつくられている繊維のなかで
1%にも満たないのがリネンです。
紀元前8000年にまでさかのぼるといわれる
人とリネンのかかわりですが、
いま私たちが使っているものは、
エジプトが由来だと言われており、
古代エジプトのミイラの包帯もリネンでした。
フェニキア人貿易商が
高品質なリネンをヨーロッパにもたらし、
アイルランド、英国、フランスへとひろげ、
ローマ帝国の時代には、
エジプトを征服したローマ人たちが、
さらに広範囲にリネンを普及させました。
いま、リネンは、ヨーロッパの家々で、
衣類はもちろん、ベッドまわりやキッチンまわりなど
生活のいろいろな場面で
多く使われる素材になっていますが、
その主な産地は、フランス、ベルギー、オランダです。
そのなかで、私たちアルビニ社のリネンは、
フランスのノルマンディ地方が生産地。
一緒に仕事をしているのは、
この土地で、600以上の農家が加盟している
ヨーロッパ最大のリネン協同組合のかたがたです。
およそ100日の成育期間を経て、
7月から8月にかけて収穫されたリネンは、
数週間、地面に寝かせ、雨水に晒して。
土壌のなかの微生物のはたらきで茎をやわらかくし、
繊維をとりだすための準備をします。
さらに貯蔵期間を経て、
じっさいに茎から繊維をとりだす作業にすすみます。
ここで色や特質によって等級分けしていきます。
そののち、イタリアのベルガモ地方にはこんだリネンは、
糸へと加工されていきます。
「梳いて整える」「平らにする」「漂白する」
「紡績する」という過程です。
そして、リネンの糸は、染色過程を経て、
熟練工たちの手によって製織工程へ。
今回の、レディ フォア ザ ウィークエンドの
シャツのように、
やがて最上級のシャツになる生地を、
うみだしていくんです。
気に入ったものは、長く着ますよ。
イタリア人がどう、日本人がどう、
という話ではなくて、個人的なことですけれど、
少しくらいぼろぼろになっていても、
ぼくが愛しているシャツであれば、大事に着ます。
だから、みなさんも、自由に着ていただいて
いいと思います。
とくに東京に来て、街を歩くと、
いろんな人がいろんな装いで歩いていますよね。
ぼくたち、見るたびに、驚かされるというか、
逆に、デザインのインスピレーションをもらうくらいです。
一枚のリネンのシャツも、ただ着るだけじゃなくて、
寒かったら、肩からかけたりとか、くびにまいてみたり、
腰にスカートみたいにまきつけて歩いたり。
そういういろんな着方って、すごく楽しいですよね。
洗濯ですか? 自分でしますよ。
もちろんです。
アイロンも自分でかけます。
なぜかというと、
トマトソースをちょっとつけちゃったとするでしょう?
人に任せてしまうと、
気にせず洗濯機に放り込んでしまうかもしれない。
でも自分だったらわかるので、
そこを漂白してから洗うとか、
細かいケアができますよね。
特に白いシャツの場合は、襟や袖の汚れ、黄ばみも
自分で洗えば、ケアができるし、長持ちしますよね。
ぼくは、食器用洗剤をちょっと使って
黄ばみ防止にしていますよ。
ピエリさん、ありがとうございました!
ちなみに、しわをのばして着たいシャツなどに関しては、
アイロンがけも、じぶんでなさるそうです。
それは、ぴしっとしておきたいという
意味だけじゃなくて、スタイリングの
最終チェックの意味があるのだそう。
次回は「グランマ ママ ドーター」にお邪魔します!