ほぼ日刊イトイ新聞
その15 ma.to.wa 魔法なんかじゃない。これがシルク!

シルクがこんなにやわらかく、
まるで呼吸をするかのように
肌をまもる素材だということを、
「ma.to.wa」をつけたことのあるかたは、
きっとおわかりだと思います。

シルクって、ランジェリーの世界ではとくに、
ゴージャスで、艶のある、
どちらかというとボリュームのある生地を
思い浮かべますよね。
でも惠谷太香子さんのつくるシルクはちがいます。
しっとりしていてやわらかく、
水分を含んでもすぐにかわく。
かるくて、きゅっとまとめたら、
両手にすっぽりかくれるほど、ちいさくなる。
からだにそってのびるので、ストレス無く着用でき、
惠谷さんは「ma.to.wa」(マ・ト・ワ)で使う
シルクのことを
「第2の皮膚のようなんですよ」と表現しています。

惠谷さんについてはこれまで
たびたび「ほぼ日」で紹介をしてきましたから、
よく知っていますよ! というかたも多いと思いますが、
やっぱり、あらためて──、
このかたが、惠谷太香子さんです。

惠谷さんは、尾道の出身。
美術大学で染織を勉強したのち、
ブライダルのフォーマルドレスのデザイナーになりました。
その後、パリのオペラ座の衣裳室時代に
「肌着づくり」の大切さを知り、
帰国後はランジェリー・アンダーウエアメーカーで
自社ブランドを立ち上げるとともに、
フランスのライセンスブランドを担当します。
独立してからは映画や舞台の衣装をつくりながら、
いろいろなブランドの立ち上げにかかわったり
(そのなかには、誰もが知るあのファストファッションの
下着ラインの立ち上げの仕事もあったそう!)、
生活全般にかかわる商品の開発にたずさわったり。
そんななか、日本の「オーガニック素材」の先端を走る
名古屋の豊島株式会社と組み、スタートさせたのが
シルクの肌着ブランド
「ma.to.wa」(マ・ト・ワ)でした。
(そのいきさつ、くわしくは、
2016年のインタビューをごらんください。)
「白いシャツをめぐる旅。」で
「ma.to.wa」を扱うのも、4年目となりました。

あらためて、シルクはすごい!

「みなさんがシルクと思っている、
あのつるつるの生地は、
たしかにシルクなんですけれど、
糸の表面を薬品などで加工、
化学的にコーティングをしているものも多いそうです。
蚕から生まれた糸は、あんなふうにつるつるしていません。
どうしてそうするかというと、
なにしろ天然のもので、動物性ですから、
均一なものはできないわけです。
同じ人がいないように、同じ蚕はいない。
蚕によって糸の成分も少し変わってくるんです。
それで、均一化し、機械にかけても切れないように
丈夫な糸をつくるため、
あんなふうに加工をしてしまうわけです。
『ma.to.wa』で使うシルクは、
ある一定以上のランクの糸を中国から輸入して、
それで生地をつくっています。
それでも個性があって、染めむらがでることもある。
天然のものを均一化させるって、
とても難しいことなんですね」

しかも、「ma.to.wa」のこの生地をつくるために
必要なウォッシャブル加工の工程。
これ、じつは、京都の歴史的な工房で行なっています。
くわしいことは企業秘密とのことですが、
平安時代から続くその工房が、約20年前に
シルクのウォッシャブル化を開発しました。
なんとその工房は、
もともとは京都御所の中にあったそう!
もともと和装のための技術ですから、
これで立体裁断の下着をつくることは、
とてもチャレンジングなことだったそうです。

新作が、4つあります。

ことしの「ma.to.wa」は、型数をふやしました。
昨年のタンクトップ、ドロワース、メンズTにくわえ、
レディスT、レギンス、ブラ、ショーツが登場!
白いシャツの下に着て気持ちがよく、肌うつりがよく、
透けても気にならないことがテーマなのはかわりません。
そして、いままで「モカ」プラス「ネイビー」で
展開してきたのを、
「モカ」プラス「ブラック」のラインナップになります。
(レギンスだけは、モカがなく、ネイビーがあります。)

「30年ほど前、わたしが下着の仕事を始めたとき、
黒い下着を着てらっしゃる方は
日本にはが少なかったんです。
下着はピンクかベージュでしょ、って。
ところがいま統計をとると、
黒いインナーが一番売れているんですね。
また、シルクのインナーは
エクリュ(生成り)と黒が一般的なんですが、
わたしは皆さんと同じものはやりたくなかったので、
肌の色を調べてわたしたちの肌に合うスキニーベージュと、
日本的なインディゴ、茄子紺を出してきました。
でもこうして何年もつづけていると、
黒の下着の要望がものすごく多くて!
それで皆さんの声から黒をつくることにしたんです。
透けてもきれいですし、
ちらっと見えても下着っぽくないのもいいですよね」

ちなみにこの黒、とてもきれいなんです。
やっぱりシルクだからこその発色なのかな?

「そうなんです。黒ってシルクがいちばん
きれいに出せる色だと思いますよ。
シルク独特の光沢があるので、
それは綿の黒とも、
レーヨンの黒とも全然違って、
いちばんきれいだと思います」

さて、ではアイテム解説を。
新作を中心に行きましょう。

レディスTは、惠谷さんの
「女性のデコルテをきれいに見せたい」
という願いからデザインされたかたち。
そしてふつうのTシャツより、
襟ぐりがすこし大きめにあいています。
袖山を高くすることで、手を挙げたときに
裾がいっしょについていかない余裕があります。
メンズT同様、アームホールは前のくりが大きく、
腕がうごきやすいような立体裁断になっています。
三分袖は、どんな服にも、
どんな季節にも合わせやすい長さです。
丸胴仕上げで、脇に縫い目がなく、
平置きにすると、まっすぐ。
でも身体に沿ってストレスなくフィットします。
丈はすこし長めです。

「シルク素材のレギンスは、
みなさんがヨガの時に着られるような
スポーツ系の印象ではなく、
ストッキングの厚いものという印象です。
下着だと思わず、
上にチュニックを着るようなコーディネートも
楽しんでいただけるんじゃないかな。
そうそう、ナイロン製が一般的になる前は
ストッキングはシルク製だったんですよ。
シルクは保湿をするので、肌を守り、
これをずっと穿いていただくと、
冬、白い粉が吹くようなトラブルが減ると思います」

七分丈で、股ぐりはふかく、おなかも安心です。
ゴムの部分も肌に当たる部分はシルクでくるんでいます。

一分丈の「タップパンツ」とも呼ばれるかたち。
しっかりお尻をすっぽり包むタイプです。
「置くとペタってしているんですけど、
包み込むような立体になってます。
上から見ていただくと、足が前に出るのが
おわかりいただけるかな。
後ろを包み込むようになっているので、
お尻があがってこないので快適ですよ。

「素材を生かし、履き心地の良い立体ショーツとして
1枚ばきも出来る内マチ仕様にしました。
もちろん、見た目のスッキリ感も重視し、
ヒップのマチ部分が目立ちにくい仕様にしました。
特に、ストレッチ素材のボトムを履く際に、
ヒップのショーツマチラインが
出にくい仕様になっています。
足口にゴムを入れていないため、
素材本来のフィット感のみで、
鼠径部を締め付けず、
オーバーパンツとしても使用可能です」

ちなみに、マチ部分も
肌にやさしいシルク素材。
生地はフライス編みで、フィット感重視。
マチ生地は天竺編みで、汚れを落ちやすく。

「洗濯後は、マチ部分も形を整えて、干してくださいね。
というのは、マチ部分の天竺編みは、
素材の端がカールしやすい編み方なんです。
形を整えていただくことを、おすすめします。
全色のマチカラーはスキニーベージュです」

そして、今回はブラも登場します。
伸びが肌についてくる、フライス素材です。
締め付けないし、
重力に負けないようにはできる。
そしてストレスがすくない。
「補整は全くしていません。
けれども胸を潰すっていうこともありません。
そういう意味で、ナチュラルなラインを
キープするブラですね」

アジャスターがつくタイプなので、調節が効く。
生地もつくりもソフトなタイプですから、
コンパクトに折りたたみもできます。

「パッドは、とても薄いものを入れていますが、
嫌な方は外されて、夜寝るブラとしても着られますよ。
もっと盛りの大きい胸がいい方は、
自分のパッドを入れていただいても。
『weeksdays』で、わたしの別ブランドの
cohanのブラを紹介いただいたとき、
胸の手術をされた方のお問い合わせがありました。
わたしも着けられますか、って。
わたしも大親友を乳がんで亡くしています。
そういった方でも、胸のパッドを左右違うものを入れたり、
自分の胸のかたちに合わせてアレンジができるように
しました。もちろん立体裁断です」

生地は二重になっていて、
金具以外は全て肌に当たるほうはシルクです。

「わたしみたいに出張が多い人も、ホントに便利!
飛行機も楽ですよ」

ちょうど、ヨーロッパでのランジェリーの展示会から
帰国したばかりだった惠谷さん。
いま世界の潮流は、
「ノンワイヤーが主流になりました」とのこと。
ワイヤーつきだとしても、
とてもやわらかくなってきているらしいです。
そして注目されているのは天然繊維。
シルク、ウール、それも乾きやすいというような
機能の進化したものが注目されているそうです。
そういう意味では「ma.to.wa」のこのブラ、
じつは最先端なのかもしれません。

「ma.to.wa」の下着は、いつものタンクトップ、
メンズT、ドロワースもならびます。
それぞれネイビーにかわり黒が登場、
ドロワースやレギンスは、じつは、
男性が着用しても気持ちのよいアイテムです。
(パジャマに使っているというかたも、
いらっしゃるそう!)

‥‥というわけで、
「白いシャツをめぐる旅。2019」の
予告よみものコンテンツは、これにておしまい。
今回は過去最多ブランド、過去最多型数です。
4/24(水)の発売を、
どうぞたのしみにしていてくださいね!
伊勢丹新宿店では、「ほぼ日」バージョンとは
またことなるラインナップが登場予定。
そのことについても、あらためてお伝えしまーす。

2019-04-11-THU

INFORMATION

「ほぼ日ストア」ページで
ことしのコレクションを紹介するのが4/12(金)、
「ほぼ日ストア」と伊勢丹新宿店、
三越伊勢丹オンラインストアでの販売スタートは
4/24(水)からとなります。

また、ことしはジェイアール京都伊勢丹でも
販売を予定されています。
くわしくは、各店舗にお問い合わせください。

どうぞおたのしみに!

■ほぼ日ストア 「白いシャツをめぐる旅。」
2019年4月24日(水)午前11時より数量限定販売

■三越伊勢丹キャラバン
 「白いシャツをめぐる旅。-見惚れシャツ―」

・2019年4月24日(水)-4月30日(火)
 伊勢丹新宿店本館4階=センターパーク/ザ・ステージ#4

・2019年4月24日(水)-5月21日(火)
 三越伊勢丹オンラインストア

・2019年5月8日(水)-5月21日(火)
 ジェイアール京都伊勢丹 5階=スタンダード&モダン SPOT

■伊勢丹新宿店本館4階=センターパーク/ザ・ステージ#4では、
ほぼ日ストアでのラインナップと合わせて、
さまざまな「白シャツ」をご紹介します。
白シャツと合わせるチノパンや、カットソー、
肌着、バッグ、アクセサリーをはじめ、
「自分だけの特別な一枚」に出会えるシャツの
カスタムオーダー会も実施いたします。

※くわしくは、こちらをごらんください

・BRAND
※一部、お取扱いのない店舗がございます。

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